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桜小路古都の日常  作者: 雅流
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天才美少女JK 桜小路古都の日常

前世の私は35歳独身の商社マンだった。


独身貴族と言えば聞こえがいいけれど、あちこち転勤また転勤を繰り返しているうちに、いつの間にかそんな年になってしまった。

そこそこな社畜だったと言えるかもしれない。


35年間女性との交際経験なし、素人童貞の私はある日過労で倒れてそのまま死亡した。

死因は心不全、いわゆるポックリ病というやつだ。


死んだはずの私の前に白い服を着た、こんな定番な神様がいるのかというような神様が現れて、私を転生させてくれた。


私はモンスターと魔法のあふれるファンタジーな異世界への転生を希望したのだけれど、そんな世界はどこにも存在しないと言われてしまった。


つまり私は普通の今の世界のどこかに別の人格で転生するということのようだ。


私は自分の35年間の人生を振り返ってみて、そのモブぶりに辟易していた。


「とにかく金持ちでルックスも頭も良い、しかも弱者に優しい、そんな人間に生まれ変わりたい」と希望した。


神様はとても親切で全て私の希望のとおりにしてくれた。


驚いたことには新しい私は赤ん坊ではなくて、いきなり高校生として転生した。


この体の持ち主の人格がどうなってしまったのかは私にはよくわからない。


高校生以前の記憶も、その記憶の中での自分の感情とかまでも覚えているので、以前の人格もこの体にまだ同居しているのかもしれない。


そうして今、私はアオハル学園一年A組、一番前の窓際の席に座って授業を受けている。


今世の私の名前は桜小路古都。 


こういうのもキラネームというのだろうか?

なんだかものすごく由緒正しいというか古くさい名前だ。


成績は学年トップ、ロングヘアーの黒髪も艶々の超美形のお嬢様だ。

この辺りは「金持ちでルックスも頭も良い」という私の希望にそった転生先を神様が選んでくれたといえる。


確かに全て希望通りだ。


性別を除いては。

女子高生とか聞いてないんですけど。


しかし転生してしまったものは仕方がない。

もはや神様の声とかも聞こえないし、あとは自力で普通に生きていくしかないのだろう。


今の私は前世の35歳独身男の意識を持って生きているのだけれど、転生以前の女子高生としての桜小路古都の人格も引き継がれているようだ。

何故そう思うかというと、気持ちがちゃんと女性だからだ。


例えば鏡に映る自分の裸を見てもムラムラしたりはしない。

子供のときから見慣れた自分の体だというのにすぎない。


クラスの女子に対しても気持ちは同じで、性的な好奇心は全く感じない。

そういう意味では私はちゃんと女子のようだ。


私は希望通りに転生したら、前世のぶんを取り戻すくらい色々な女子とつきあってエッチしてラブラブな人生を送るつもりでいた。


けれどもその計画は女子に転生してしまったのですっかり狂ってしまった。


気持ちは女子なのだけれど前世の記憶もあるせいか男子とラブラブな交際みたいなのも、なんだかピンとこないのだ。


かといって、それでは女子が好きなのかというとそんなこともなくて私の中には百合な志向も全くない。


そんな私がクラスを冷静に見渡すと前世の私と同じようなモブ男が巷にはなんとたくさん溢れているのかということに気がついた。


一握りのカースト上位男子と多数のその他モブ男、これが現実の世界の実態だ。


35年間という実体験をもつ私はモブ男たちのこれからの人生に同情を禁じ得ない。


そういうわけで、私はとりあえず新しい人生の高校生活での目標は「モブ男に夢を与える」に決めた。


前世の自分と同じ境遇のモブ男たちが、私と同じ35歳素人童貞にならないようにアオハルの時期に何か元気を与えてあげたい。



美少女の桜小路古都にならそれは簡単にできそうに思えた。

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