早朝
行動には必ず結果が出る。行動の結果が連続して同じことが起こったことは、必然と言うべきなのだろうか。
「ねぇアンタ、そろそろ漁にも出てみたら?」
今日、僕はどうしてもとある場所に行きたかった。朝早くというのにそそくさと外出の用意をしている最中に、近所の二つ上の幼馴染、ゼタが自宅のテーブルに我が物顔で突っ伏して悪態をついていた。いくら唯一の家族が漁に出ていてしばらく帰ってこないと言っても、このくつろぎ方はどうかと思う。
「行かない。僕が船酔いが酷いの、知ってるでしょ」
過去に一度漁へと向かう船に乗ってみたのだがほんの少しの距離で記憶が飛ぶかと思うくらい気持ち悪かった。ただしそれだけで働がなくてもいいと言えるほど僕の住む村自体甘くない。
「知ってる。分かってて言ってるのよ。だって——」
名のある漁師の一人息子が。と何度も聞いたフレーズを口にする。長い付き合いもあるから彼女の口の悪さにも慣れたものだ、適当に返事を返し準備を終わらせ、日がまだ登り切らないうちに村を出てしまおう。
「それじゃ、ゼタは立派に仕事してきな」
やられっぱなしは癪なので一言皮肉で返し、家を後にする。これでも周りに助けられてながらではあるが、やることはやっている。より多くの魚を獲れるようにしたのは僕だし村の問題だって大人たちでも分からないようなことを解決してきた。だからこそ、この時間に外へと出れるし、船へと乗らなくても済む。アイデア係の役得というわけだ。決して船が苦手なだけではない。