いつもわたくしから奪うお姉様。仕方ないので差し上げます。……え、後悔している? 泣いてももう遅いですよ
ケレスお姉様は、またわたくしの婚約者を奪った。これで三人目。無理やり婚約破棄させ……何人奪えば気が済むのでしょう。
わたくしはよく男性から話しかけられていた。早い段階で求婚され、でも、まずはお付き合いから始めていた。
「……ローザ、もう諦めなさいな」
「お姉様、どうしてわたくしから婚約者を奪うのですか。しかも、奪った後は捨てている……あんまりではありませんか」
「そりゃそうよ。憎きあんたから奪って、その男と散々楽しんでから捨てる……こんな気持ちい事が止められるわけないでしょう。ローザ、あんただけ幸せになんてさせないわよ」
そうハッキリとケレスお姉様は厳しい口調で投げつけてくる。……そう、そうなのね。分かった。よく分かった。
――その後も、四人目、五人目と続いて、わたくしはずっと男性を姉に取られ続けた。何度もお付き合いを始めても、ケレスに奪われその日にベッドで相性を確かめ合っているようだった。
……残念ね。
本当に残念。
その半年後。
今日がちょうど七人目だった。
「よく諦めなかったわね、ローザ」
「ええ、まあ……お姉様と違ってモテるので」
「キーッ!! あんた、生意気よ。もういいわ、絶対に幸せになんてさせない。ローザ、お前の男は全部奪って寝取ってやる」
ゲラゲラと笑うお姉様。
ふぅ、もういいでしょう。
「お姉様、今までご苦労様でした」
「……は?」
「この半年間、よくまあ貧民街の男性と寝てくれました。さぞかし、気持ちの良い夜を送れた事でしょう」
「え……なに? なんの事よ!!」
「お姉様がわたくしから奪った男は全員、身分の低く犯罪者のような人達です。ああ、もしかしたら性犯罪者もいたかもですね。あはははは」
「え……え……ええっ!?」
がたがたと震え、真実を知ったケレスお姉様は床に崩れ落ちる。そう、わたくしに婚約者なんていなかった。……いや本命はいた。一週間前にようやく出会えた伯爵様だ。けれど、その事実は隠していた。
「お姉様はもう穢れてしまわれましたね。残念です」
「……ロ、ローザ! よくも騙したわね!!」
「騙した? 騙される方が悪いんです。それに、今まで散々わたくしの恋人や婚約者を奪ったのはどっちですか!! 合わせれば十五人はいますよ」
そう、今回の人達を省いても小さい頃からずっと奪われ続けていた。だから、ずっと叶わぬ恋を抱き続けていたし、切ない思いばかりしていた。
だからこうして、わたくしは復讐を果たしのだ。
「……う、うぅ」
「泣いてももう遅いです。もう、わたくしはこのお屋敷を出て行きますね。さようなら、ケレスお姉様」
◆
その後、わたくしは本命の伯爵様と再会し、幸せに暮らした。




