乗りたがる彼女
日常に疲れた大人の皆様に。
今日、初めて会ったばかりだというのに、男と女は激しく唇を吸いあい、肢体を絡ませていた。
男は35歳、単身でこの温泉街に出張に来ていた。
旅行会社に勤める彼にとっては、観光地への出張は珍しいものではない。
女は32歳の人妻だった。友人と2人、主婦同士でこの温泉地に1泊旅行に来た。
最近、関係があまりいいとは言えない夫は、妻の旅行にもさして興味はないようだった。
夜、旅館内のバーで男はその人妻が一人でいるのを見かけた。
友人は少し疲れたということで先に寝てしまったが、彼女はどうしても目がさえてしまい、バーでカクテルを楽しむことを選んだのだった。
「失礼ですが、お一人ですか?」
男は、取引先の土産物店の店長への接待を終え、ホテルに戻ってきたところだった。
店長に相当飲まされたせいで、酔いは相当のレベルに達している。
目の前の視界も朦朧とするほどだ。
そのせいだろう。普段は女性に声などかけない彼が、ついそんな風な接近を試みた。
人妻もまた、無意識の内に、男を求めていた。
2人がそうなるまでには、時間は必要なかった。
気づいたときには、2人は男の泊まる部屋で生まれたままの姿になり、互いの躰を激しく貪りあっていた。
「どうですか、奥さん・・・・・・・・」
「ああんっ・・・・・・、ああっ、気持ちいいっ・・・・・・・・」
男は、自分が既に、どうしようもなく硬くなったものを使って、人妻と一つになっていることに気づいた。
濃厚な酔いに身を任せ、男は狂ったように腰を往復させた。
「ああっ・・・・・・、ああっ、そんなに激しくしないで・・・・・・・・」
「どうだ、奥さん・・・・、ご主人とどっちがいいですか・・・・・・・」
そんな官能小説にしか出てこないような言葉を、男はこれまで口にしたこともなかった。
しかし、今夜はためらうこともなく、淫らな言葉責めができる気がする。
やはり俺は酔っているようだ。男はそう感じた。
「ああんっ・・・・・・・、主人なんかよりいいわ・・・・・・・・・」
「奥さん、ほら、もっと声をきかせてくださいよ・・・・・・・」
「ああっ、いいっ・・・・・、ああんっ、もっと突いて・・・・・・・・」
脚を大きく開いた人妻は、久しぶりに味わう快感に心地よく漂っていた。
男にこんな風にされるなんて、いったいいつ以来だろう。
「ねえ、今度は上にさせて・・・・・・・」
人妻の色っぽい声が男の耳に届く。
自分がいったいどんな女と一緒にいて、何をしているのかもわからないほどの酔いも手伝い、男の興奮は更に深さを増したようだ。
「いいですよ、奥さん・・・・・・」
男はそう答えると、貫いていたものを引き抜き、仰向けに横たわった。
「いくわよ・・・・・・・」
人妻が囁きかけてくる。男は目を閉じ、そしてその瞬間を待った。
女が男の上を向いたものを握り、自分の泉に狙いをさだめる。
そして、ゆっくりと腰を沈めていく。その瞬間、男を激しい衝撃が襲った。
「うわああーーーーー!」
男の叫びが温泉宿の部屋に響く。
それは快感のせいではない。
彼の体をつぶさんばかりの「重さ」のせいだった。
男の酔いは一気にさめた。目を開け、冷静になって改めて女を見つめる。
お、俺はこんな女を抱いていたのか・・・・・・・・
そこには、元横綱稀勢ノ里並みの、とんでもなく巨体の人妻の姿があった。
「お、おりろ・・・・・・、おりてくれ!」
「そうはいかないわ。私にも楽しませて。さあ、動くわよ」
「や、やめろ! そんな巨体で動くな!」
「いくわよ・・・・・、あんっ! あんっ!」
「ああっ、苦しい・・・・・・・・、息ができな・・・・・・・・」
男は人妻に押しつぶされ、そして失神した。
完