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小説家になろう 2021 夏のホラー

『迷宮』

作者: 木尾方

女子中学生が塾帰り、近くのビルから飛び降りた。


自殺だった。


しかし、奇妙なことに、そのビルに彼女が上ったのは、3日前である。


3日前、塾の帰りが遅いと両親は捜索願を警察に出していた。

塾のチェックカードには、3日前の10時に彼女は塾を出ている。

3日後に飛び降り自殺の通報があり、ビルの防犯カメラを警察が確認したところ、彼女は3日前にビルに入り、3日後に発見されてる。その間に彼女がビルの防犯カメラや周囲のカメラに映った形跡はない。


彼女は、その3日間どこにいたのだろう。



最近、主に中、高学生の中でうわさになっている話題がある。『迷宮ラビリンス』だ。


噂の元は、どこからなのだろう……









ある12階建てマンションに住む、加藤杏樹かとうあんじゅという高校1年生がいた。

このマンションは横広い作りになっていて、

A棟とB棟は繋がっていた。

杏樹は、A棟12階にある自宅まで、体力作りも兼ねて毎日階段で上っていた。

「よし、レギュラーとる為に今日も頑張って上りますか!」


杏樹は、Aエレベーターに自分の荷物を乗せて12階を押して自分は階段を駈け上がった。

半分を過ぎた時、隣のB棟の階段12階から身を乗り出している人影が見えた。


「た、たいへん!」

杏樹は、無我夢中で走った。

自分の荷物が乗ったエレベーターとすれ違い、後2階…まだ、B棟の人は その場にいる。


はぁはぁ、12階に付き、渡り廊下を激走する。


「やめて!!」杏樹は叫んだ。


B棟の人は、制服を着ていて、同い年ぐらいの女子だった。


『もういいよ。』杏樹の頭に声が聞こえた。


しかし、それどころではなかった。

その生徒は、仰向けに12階から落ちる寸前だ。杏樹が腕を思いっきり伸ばす。

そして、倒れ始めた彼女の足首を掴んだ。

落ちる少女は杏樹を見上げる。杏樹は、彼女と共に12階から落ちてしまった。

しかし杏樹は彼女の後ろの歪んだ空間を見た。

彼女と共にその空間にのまれてしまったのだ。


体が動かない。落ちているのに、上っている感じ。右から押されているのに、右に行く感じ。回っているのに止まってる感じ。明るいのに暗い感じ。音が聞こえるのに、流れていく感じ。

「…これが死ぬ時に見る走馬灯そうまとうなの?」杏樹が不思議と恐怖心はなく呟いた。

足を掴んでいる彼女がそのままの状態で叫んだ。

「あんた、なんで私を掴んだの?失敗したら、どうするのよ!」

「はぁ?失敗?死ぬことが?」

「別に死ぬわけじゃないわよ。迷宮ラビリンスに招待されたから行くのよ。」

「意味がわかんないですけど?」

「あんた、バカ? 何年生よ!」

「1年ですが?」

「このバカ1年! 迷宮ラビリンスに着けなかったらタダじゃおかないからね!」

「さっきから、ラビリンスって何ですか?」

「知らないの?やっぱりバカだ!高い場所でおまじないをして、迷宮ラビリンスから、返事が来たら飛び降りる。すると迷宮ラビリンスに行けるのよ。」

「中二病かよ。」

「違うわよ!返事があったの!実際に今、変じゃないの!」

「…た、確かに。其れで返事って?」

「『もういいよ。』って返事!私は聞こえたから飛び降りたの!」」

「え?わたしも聞こえましたが…」

「ガチ?」

「ガチで。」

仰向けで杏樹を見上げる姿、足首を掴んで一緒に落ちている姿のままで固まり、お互いバカにし合っていた。


どれぐらい罵倒しあっただろう。もう言葉も出ない。止まったまま時間が過ぎていく。


「ねぇ、里香先輩?私たち、ずっとこのままですかね?」

「しるか!」飛び降り少女は、杉森里香すぎもりりかといった。

「先輩は、なんで死のうと思ったのですか?どう見たって、飛び降り自殺ですよ。中二病とはいえ命をかける おまじないってヘンです。」

「うるさい!…教えない。」

「はぁ?バカ先輩!あんたのおかげで、こっちはこうなっているんだ!理由を教えてくださいよ!」

「バカ、バカ、バカ!絶対教えない!」と握られている足を引っ張ったら動いた。そして、杏樹に蹴りが入った。

「い、痛い~このバカ先輩!」杏樹は体が動いたことに気がつかないで里香に襲いかかった。

「ストップ、ストップ!杏樹!体動くよ。」

「あ!ほんとだ!」

二人は抱き合い喜んだ。


そして、二人を包んでいた空間が形を作り始めた。

二人は1m四方の狭い場所に立っていた。

正面に下る階段。右には、木の扉、後ろには上りのエスカレーター、左には壁、上と下は鏡になっていた。

里香が試しに木の扉を開けようとした時、二人の頭の中に声が聞こえた。

おちる寸前に聞こえた声だった。


『ふぅ。びっくりした。ソロプレイかと思ったのに、直前でユニットに変更になるんだもんなぁ。迷宮ラビリンスを作り直すのに時間がかかってしまったよ。」

「あなたは?」里香が聞いた。

『あぁ、プレイヤーの里香さん。いらっしゃいませ。僕は、この永久迷宮メビウスラビリンスの管理人の ONI と言います。よろしく。』

「わたしたちは、死んだの?」杏樹が聞いた。

『やぁ、飛び入り参加の杏樹さんだね。…その答えは、まだ半分かな?』

「どういうこと」

『君たちは、ここに来るために飛び降りている。現実世界では君たちは消えていて行方不明になっている。意識や魂だけが来たわけじゃない。現実世界とは別の世界に肉体ごと来ている。ここへ来たからは、あるモノを見つけないと現実世界には帰れない。』

「あるモノって?」再び杏樹が聞いた。

『君たちが望んだモノだよ。』

「望んだモノ?わたし何も望んでない。里香先輩は何を望んだの?」

「………」

『里香さんはね。余命1か月と一昨日おととい病院で余命告知を受けたのさ。里香さんが望むのは、病の抹消。』

「え? 里香先輩!」

「…このまま病気に負けて死にたくないし、かと言って病気と戦って長く辛く生きたくもない。どうせ死ぬなら、自分の思い通りに死んでやろうと…。」

「せ、先輩…。わ、わたしは、何も望んでいないよ。」

『いや、望んだ。僕の声を聞いただろ。聞こえてなければ、あのまま、杏樹さん あなただけが落ちて死んでたよ。』

杏樹の顔色が変わった。

『杏樹さんが望んだのは、部活レギュラーだったね。』

「! そ、そんな。わたしは、こんなやり方でレギュラーもらっても嬉しくない!」

『…だけど、今のレベルでは、到底とうていおよばないと思っているのだろ。その欲、意識、願望が僕の声を聞いたのだよ。』

「ちくしょう。絶対にここから出て実力でレギュラーをとってやる。」


『そろそろいいかな?ここから二人で同じ入口を選んで進んでくれ。君たちが地面に落ちるまでは、約3秒だから、タイムリミットは3日とする。選んだ先にあるのは、永久迷宮メビウスラビリンス。それぞれ違う迷宮になっている。すぐに見つかる迷宮もあれば、数千年攻略にかかる迷宮もある。』

「数千年かかる迷宮に3日で探せって言うの?」

『あ、ごめん。ごめん。行った先の迷宮の3日であって、数千年と言ったのは君たちの時間感覚の話でした。つまり、すぐに見つかるけど、1日が1時間かも知れないし、100時間かも知れない。1日が1000年かも知れない。でも、1日は1日なので、君たちは3日しか年を取らないが、生理現象は君たちの時間感覚であるので注意してくれ。』

「え!」二人とそこが一番驚いた。

「トイレは?お風呂は?ベットは?コンビニに、ナプキンは?」

『…だ、大丈夫。迷宮を探索すれば、ほとんどの物が手に入るから』

「よかった~!」二人は手を取り喜んだ。


『最後に、タイムリミットを過ぎた場合は、現実世界で飛び降りた状態に戻って落ちて死ぬからね。成功した場合は、生きて戻れるから安心して。』

「うん。先輩の為に頑張る。」

「はぁ?私の為? 自分の為でしょう?」

「まぁ、まぁ、そのほうがカッコいいでしょ。わたしの望みは、おまけですよ。」


『さて、どこに進む』

「…」二人は顔を合わせ息をあわせて叫んだ。

「上!」「下!」

「ちょっと、杏樹なんで、下なのよ。」

「里香先輩こそ なんで上なんですか?落ちていたのだから、下ですよね。普通?」

「はぁ?逆でしょ?落ちたのだから上がらないと!」

「後輩に優しくするのが先輩でしょ?」

「はぁ?かわいい後輩ならね。先輩の言うこと聞きなさいよ。バカ後輩!」


そんな。やり取りが暫く続いた。


そして、二人は、永久迷宮メビウスラビリンスの入り口に着いた。


「…ここを3日で探すのか。」

「先輩、何とかなりますよ。まだ生きているんだし、死んだとしても一緒です。」

「…そうだね。」

「さて、かくれんぼ始めますか!」


読んで頂き誠にありがとうございます。


夏のホラー2021です。

ホラーですが、恐くてないようにしてみました。

前の作品も恐くてないですがねw

深く考えると怖いですがね。

ほぼ何でも揃っている世界なんて…

現代には無い物もある。きっと…

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