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奪われた遺体

「リンレイの遺体がない!」


レッドが棺の前で振り返った。




リンレイ埋葬後1ヶ月、最後のお別れを全員でする為、洞窟を訪れたファイブスターブレイカーズ一行は目の前の事実に愕然としていた。


「どういう事だ?!ここは我々意外に知りうる者はいないはずだ。」


ブラックがやりきれないと、首をかしげる。


「棺に入れた金貨と宝石がなくなっている、くそっ、盗賊だ!」


グリンが目を見開いて叫んだ。


「許さない、許さない、殺してやる!」


イエルが涙を流しながら、棺を抱き込んだ。


「駄目よ!」


マリンが叫んだ。


「何故だ、奴らはそれだけの事をしたんだ、止めないでくれ!」


イエルは泣きながらマリンに訴えた。


「殺して終わり?フフフ、甘いわね、万が一、あの子の身体が無事にもどらない時は首謀者とその一味は生きていることを後悔する事になるわ。生きながら死の苦しみを味合わせてやるの。自分達から殺してくれと懇願したくなるくらい、何度でも苦しませる、ああ、素晴らしいわ」


マリンは恍惚として、完全に自分の世界に入っている。


男達五人は背筋に悪寒がはしった。

グリンがシンの肩を叩いた。


「なんか、大変だな」


「な、何がです?」


二人は一瞬、目を瞬きあった後、大きなため息をついた。



そんな時、レッドは不思議な足跡を見つけていた。

それは洞窟の出口付近にあった。

それにレッドはくぎ付けになり、もはや、ほかの英雄たちの声は一切聞こえなくなっていた。


「リン、まさか」




◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆




ふん、ふん、ふん、ふん

今日はクッキング日和、山田がなんと蜂蜜を取ってきてくれたのだ。(宣伝じゃないよ)

さっそく卵(頭に角がある鶏みたいな魔物の卵)を混ぜてなんちゃってフレンチトースト作成中、うーん、いろいろ材料が足らない事を作り初めてから気がつく、駄目じゃん。ま、いっか、どうせなんちゃってだし。

だけどそろそろ町に買い物いきたいな、塩とか、塩とか、塩とか。


「てっなんでこの世界、調味料が塩だけなのさ、味噌は?醤油は?胡椒は?」


「ガウ」


「ああ、山田、今できるから待ってね、ほんと、山田はモフモフだね、かわいいけど、お前、でかくなるの早くね?まあ、よく寝てたけど、寝る子はよく育つってか」


山田の両親のお墓を作ってから半月、山田は昼も夜もよく寝てたけど、いつの間にか見上げるほど大きくなっていた。


「ホイ、できた、熱いからフーッ、フーッして食べるんだよ」


「ガウ」


僕は空間に浮かぶ黒い穴からお皿を取り出して盛り付けた。

そう、RPGゲームやライトノベルでよくでてくるインベントリ、魔法で出来ないかな、出来たら便利だねー的にいろいろやったら出来ました。

いや、マジ便利、維持も賢者の石の力をほとんど使ってないからありがたい。


「今日はまだやりたいことがあるから、町へは明日かな?でも、森の出口までの時間確認したいから、たべ終わったら散歩がてら森の出口までいってみよ」


「ガウ」


僕はふと、空を見上げた。

白い雲、青い空、渡り鳥?、いや渡りドラゴンかな。


「ふぃーっ、今日もいい天気、絶好の散歩日和だね」




◆◆◆




で、森の出口に向かっていたら高校生くらいの若者達がオオカミみたいな魔物の群れに襲われていたから、山田と助けて森の出口まで送って今、その帰り。


「あの女の子、可愛かったな、野郎が居なかったらもっとお近づきになりたかったけど」


「ガウゥ?」


「ああ、山田、お前の可愛いは変わらないよ、このモフモフに敵うわけないじゃん」


「ガウ」


僕はふと、空を見上げた。

白い雲、きれいな星、渡り鳥?、いや渡り人間かな。


「今日も1日、いい日だったね」




◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆




「確か、師匠がかつて使っていた隠れ家がこの辺りにあったはずですけど、ふむ、まあ、もうあそこには何もありませんか?時間の無駄でしたね、しかし師匠があの子を使うとは、最期まで私を愚弄しますか、ますます世界の破壊を急ぎたくなりますね、ファイブスター達、次はありませんよ、カーッ、カッ、カッ、カッ」



灰色ロープの男はそのまま森を通過すると、ギガール帝国方面に飛んでいった。




◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆




ここはギガール帝国、レブン領ヤナ町の冒険者ギルド。

ここで1組の冒険者パーティが受付で騒いでいた。


「だから、本当なんだって、ジャイアントベアーが助けてくれて」


「で?テイマー、魔物使いで回復魔法を使える女の子に出会ったと、ええっとリムさん?」


大きい眼鏡をつけ髪をおさげにした茶髪な受付嬢が、時々下がる眼鏡を上げながら聞いた。


「おれがリムだ!今話ているのはカルだ!」


「あんたねぇ、さっきから何度も間違えて、いい加減にしてくれない?!」


メイサはウンザリして受付嬢を睨んだ。


「はぁ?申し訳ございません、どうも眼鏡の度が合ってないみたいで」


「度は関係ないじゃない!なにを」


「いい、メイサ」


「カル、だって!」


受付嬢に食ってかかる勢いのメイサを腕で制止して、カルは話を続けた。


「とにかく俺達は十二頭分のホーンウルフの牙と角を持っている。だから、それを買い取ってほしい」


受付嬢はカルを確認するように見て、ため息をついた。


「ですから、最初にお話したとうり入手経路不明品を買い取るわけにはいかない、そう申し上げております。ええっとパーテイ名、星のつるぎさん?いい加減、後ろがつかえておりますので次ぎの方に代わっていただきたいんですが」


「あんた、何度もカルが説明しているの、聞いてたわよね?」


「はぁ、荒唐無稽な作り話は何度か聞かされましたが?」


「あんた!許さない!」


「「メイサ!」」


受付嬢に掴みかかろうとしたメイサをカルとリムが押し止めていると、奥からスキンヘッドの厳つい顔で筋肉隆々な男が現れた。


「何事だ?!」


「あ、ギルドマスター!」


「「「!」」」


受付嬢がギルドマスターに経緯を説明している、まもなくマスターは三人を呼んで上を指差した。


「上でゆっくり話を聞こうか」




「俺はギルマスのラルだ、すまなかったな。実力以上の討伐は窃盗を疑えと日頃、言い聞かせていたんでな」


三人は顔を見合わせた。


「信じてくれるんですか?!」


カルがじっとギルドマスターを見つめる。


「全てじゃないが、少なくとも俺の経験からするとこんなお粗末な嘘をつくヤツは知らん」


三人はソファーに深く座ると、安堵のため息をした。


ガヤガヤッ


「なんだ?下が騒がしいが?」


ドタドタドタッ


さっきの受付嬢が駆け上がってきた。


「た、大変です!人を乗せたジャアイアントベアーが町の城門に現れたそうです!」


「なんだとぅ?!」


「「「?!」」」


ラルは三人を一瞬見てから、受付嬢と下に降りていった。


「あの子だ、きっと」


メイサの言葉に無言で頷く二人だった。




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