舞踏会
「舞踏会?」
「ええ、ベルタ公爵邸で開かれる。そこが最初の貴女の社交界デビューになります」
「あ、あの、舞踏会って剣とか槍とかで闘うやつ?でした?」
イライザさん、目がピキーンって光ってギロッて睨むんだけど、こわっ?!
「武闘会ではありません、舞踏会です」
「はい………」
やだな~出たくない。だって舞踏会って男と踊るんだよ、うぇ~
「あなたには本日より、わたくしの養女になって頂きます。今日から貴女はオリビア▪フォン▪グーデンベルクを名乗りなさい」
「何故ですか?」
バシッ「っ、はい、わかりました」
いたいよぅ、聞いただけじゃん。
「では、貴女のパートナーを紹介しますね」
「え」
カチャッ、ドアが開いて銀髪イケメン男が入ってきた。
誰?!
「こちらが貴女のパートナーで婚約者、ルケル王太子殿下ですわ」
「…………」ツン、ツン、う、イライザさんが背中を、はい、わかってますよ
「お、お初にお目にかかります。リ、オリビアと申します」
僕はカーテシーをして愛想笑いをする、少しひきつってるよ。
「ルケルだ、なんとか様になったようだな?マダム」
そう言ってルケルは僕の右手にキスをしたよ、後で洗うね。
「まだまだですが、来週には間に合わせますわ」
来週に舞踏会があるらしい?
う、ルケル殿下が近づいてきて僕の顔に顔をよせるよ、耳に息をかけてる~?!ややめめて~
「本当に美しい、よい匂いだ。ふむ、その美しさにこの首輪は無粋だな、外してやろう」
今、なんて!?
カチッカチャ、ガチャッ、ガチャンッ
僕の足元に首輪?やったーっ!、カチッ
「へ?」
あれ?なんか、細くて軽いものが首に?僕が首に有るものを触っていると殿下が言った。
「あまり触っていると発動するぞ。アクセサリーチョーカーの形だが、奴隷の首輪だ」
「…………」、ぬか喜びかよ。
「登録は私が主人だ。私が外すか、私が死なない限りそのチョーカーは外れない」
最悪じゃん!
あれ?ところでこの人、この国の王太子だよね?ってことはレッドさん達の関係者だよね?
じゃあ、話せば分かる人?!
僕はスッとルケルを見上げ、見つめた。
「あ、あの、貴方様はレッドさん達のお知り合いですよね?ぼ、わたくしはあの方々の仲間です。」
「知っている」
知ってるのかよ?!
「ご、誤解があるようなのでお伝えしますが、わたくしは悪い事はしておりません。ので、このチョーカーを外して頂けないでしょか?」
「別に悪事を働いたから拘束しているわけでわない」
「じゃ、どういう理由で?」
ふっ、ルケルは僕に笑いかけると僕に近づいて僕の腰に手を回して、そして?!!!??!!??!!…!!…!!…!!
ぶはぁっ、ずる、ぺたん
僕はいつの間にか、座りこんでいた。
なにが起きた?!僕、キスされた??!舌まで口に?ええ?男と?ファーストキスを男に?!
「お前がレッドたちのものだからだ、だから奪う、やつらは私から…………」
ルケルは真っ青になっている僕に話しかけて、急に話しを止めてイライザさんに振り向いた。
「後は任せた」
「かしこまりました、当日までに仕上げておきます」
ルケルは頷き、そのまま出て行った。
どうでもいいから、早くうがいさせて~!
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ベルタ公爵邸
「伯父上、お待たせしました」
「ルケル、不味いことになった」
挨拶もそこそこにルーデル▪フォン▪ベルタはルケルに言った。
「不味い事とは?」
ソファに腰を沈めながらルケルが聞く。
ルーデルは葉巻に火を付けながら、ルケルに書類を投げた。
「ほう、違法人身売買行為で元老院メンバーを拘束ですか、思っていたより早かったですな」
「それだけでない、わしにも登城召集がきておる、もちろん断ったがな」
「伯父上のお陰で王太子領、公爵領の領軍の合計は父上の兵力に拮抗します。これで闘技場での武闘大会で有力な冒険者を徴用できれば、兵力はさらに増やせます。そして」
ルケルは書面を出し、公爵に渡した。
「ほう、開発した魔獣兵器の一部を我が領に譲渡契約か」
「はい、武闘大会の最後に魔獣兵器と奴隷を闘わせ、その威力を見せつけましょう」
「くく、エバンスの驚く顔が目に浮かぶようだ」
ルケルは少し間をおいてから、公爵に話す。
「もうひとつ、カードを手に入れました」
「どんなカードだ?」
「弟たちがもっとも大事にしているもので、皇帝が欲しがっているものです」
公爵は目を丸くしてルケルを見た。
「凄いな、それはどのようなものなのだ」
「来週の舞踏会で披露いたします」
「ふむ、楽しみだな」
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「何故だ、ルケル。なぜ、そこまで王にこだわる?」
エバンスは届いた書面に目を通し、ため息をついた。
コンコンッ
「入れ」
「グリン、イエル、参りました」
「きたか、ルケルからお前達への書面がきておる」
グリン「預かります」
書面を見ていたグリンだが、その手が震えだした。
イエル「兄上?」
そのまま、書面をイエルに渡した。
イエルは受け取り書面を読み出したとたん、目を見開いた。
イエル「こ、これは?!」
グリン「我らの大事なものを永遠に失いたくなければ、王位継承権を放棄せよと!」
イエル「まさか、リンが王太子領に?!」
グリン「すぐに王太子領に向かう!」
「我が動けば国を割る事になる。民の為にもそれはできんのだ。不甲斐ない父を許してくれ」
グリン「わかっております」
謁見の間を退席した二人は、ただちに出立の準備をはじめたが、そこに一人の人物が現れた。
ダンケ「やあ、御二人さん、王太子領に向かうって聞いたのだけど我々も同行していいかな」
そこにはダンケとミン、メイサがいた。
メイサ「すみません、私達もお願いします。元々、向こうで仲間と合流予定だったんです」
ミンが頷く。
グリン「構いませんがぼくたちは途中で別れる形になりますよ」
ダンケ「大丈夫、こちらもそのつもりです。ただ、御二人には話しておきますが、どうも私の一部の国民がこの国に害を成そうとしているようなんです」
グリン、イエル「「害を?!」」
ダンケはため息をついてから、二人に話し始めた。
ダンケ「その者の名は、マンダム伯爵。我が国で反乱を起こし、王と王妃を幽閉した者です。私はその者を止める為に王太子領に行きたいのです」




