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ヤーマダ

あぁ、この世界は前世の世界よりどこまでも美しくて、なんて残酷な世界なんだ。

今、僕の目の前に恐ろしい顔をした山田がいる。

何故?どうして?いったいなんで山田なの?!



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



◆一時間前

御者「まもなく街の門をでますだ。街道に入れば速度を上げますだ」


御者の隣に座るカルが頷く。

その後ろにリムとタンがいて、馬車中央で僕はメディちゃんに付き添っている。

後ろ、左右にブラックさんとレッドさん、シンさんが座る。


馬車は乗り慣れたとはいえ、自動車の様なサスペンションなど有るわけもなく、さらに路面の状況によっても乗り心地は変化する訳で揺れは最悪だ。


考えてみれば、メディちゃんはその乗り心地事態を忘れているわけで、やや辛い顔をするメディちゃんを見て僕はカルに言った。


「カル、御者に速度は今のままでって言って、メディちゃんが馬車に慣れてないから」


カルは頷いて御者に伝えてくれる。


「メディちゃん、揺れは辛くない?辛かったら休憩とるよ」


メディ「?わかんない」


「ん~、じゃおねんねかな、はい」


僕はメディちゃんに膝枕をした。

そして、子守り歌を唄う。

前世のねんねんころりだ。

メディちゃんは、目を閉じてスヤスヤ眠りだした。


ブラック「変わった歌だな、歌詞も」


レッド「聞いたことがない言葉だ」


そりゃそうだ、だって日本語だから。

そのまま無視してメディちゃんの寝顔をみていたら、僕も眠くなってうつらうつらしだした。


ガタンッ、急に馬車が止まった。

カルが振り返った。


カル「でかい幌馬車が道を塞いでる」


リムが頷いてカルと馬車を降り、幌馬車に近づく。

僕はメディちゃんを膝枕してるから動けない。

タンちゃんが僕の側にくる。

レッドさんが警戒して馬車の前側に移動した。


その時だ。



「グアアオオオッ」



カル「魔獣ジャイアントベアーだ!」


激しい咆哮とカルの叫びに、メディちゃんが起きる。

レッドさんとシンさんが、馬車から飛び出していく。


ジャイアントベアー?この咆哮、聞いたことがある??


「まさか?!」


僕はおもわず立ち上がる。


タン「お姉さん?」


立ち上がったけど、メディちゃんを置いていけない、かといって連れてもいけない。

どうすれば?、ふと見るとブラックさんが僕の頭に手を乗せた。


ブラック「どうした?」


「っ、!お願い、ブラックさん。ジャイアントベアーは知り合いかも知れない。でも僕はメディちゃんから離れられない!」


ブラック「!冒険者ギルドで聞いた、ティムしていたやつか?」


「え?ブラックさん、知っているの?」


ガアアッ


!また、この声、僕はおもわず馬車の御者席に走った。

縮こまっている御者を尻目に、そこから見たものは、対峙するレッドさん、シンさん、カル、リム、その先に恐ろしい顔で睨む巨体。


あれは!変な首輪をしてるけど、前足に冒険者ギルドの登録腕輪、山田だ!

でも、なんでそんな怖い顔をするんだ。


「ブラックさん、間違いない!あれは僕の友達だ。変な首輪をしているけど。お願い、助けて!」


ブラック「首輪?そうか、任せろ!」


ブラックさんが飛び出した。

僕はもう、成り行きを見つめるしか出来ない。



「ヤーマダ」



「え?」


その声に僕は振り返る。

そこには立ち上がり、山田を見つめるメディちゃんがいた。


メディ「ヤーマダ、ヤーマダ、ヤーマダ」


「メディちゃん!記憶が戻って?!」


メディ「ヤーマダ!!」


メディちゃんが馬車を降りて駆け出した。


「メディちゃん?!いけない、タンちゃん!」


タン「ワウッ」


タンが獣化して追いかけ、僕も直ぐに後を

バフッ「??!」


な、なに?口を後ろから塞がれ、なんか臭い!あれ?急に眠い………だめ、メディちゃん…………やま…だ



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



◆レッド視点


カル「魔獣ジャイアントベアーだ!」


ジャイアントベアー、通称、災害級魔獣だ。

カルとリムでは止められない、俺はシンと頷き馬車から飛び出す。

リンの護衛はブラックがいれば大丈夫だ、先日の手合わせで奴の実力は俺より上だった。

悔しいが今はそれが頼もしい、いつか必ず俺が上になるが。


それにしても、本来魔の森の奧地にいるはずの魔獣が何故ここにいるのか?

疑問があるが、どちらにしても逃がせば近隣の町の脅威になる。

ここで、狩っておかなければならない。


たどり着くとカルとリムがジャイアントベアーと対峙していた。

かなりの大物だが、ベアーは数メル先に留まって威嚇してくる。

通常、こいつは突進型の魔獣だ。

妙な雰囲気だが、一気に首を落としてしまおう。

俺は槍に魔力を集中する。


「ファイアランス」


槍の鋼が赤く燃えだす。

俺は数メル飛び上がってベアーに肉薄する。


カル「レッドさん?!待って!」


リム「ああ、駄目だよ、レッドさん!」


二人が何か言ったがもはや止まらない、このまま槍を振れば終わりだ。


「ミストロープ!」


?!黒いロープが俺に巻き付く、こいつはブラックの魔法!

俺は地面に引き戻される。


「なんだ?!ブラック、何故止める?」


ブラック「リンに頼まれた。そいつはリンがティムした魔獣だ。」


「リンに?」


タッ、タッ、タッ、タッ

その時、後ろから駆け込む影があった。


「ヤーマダ!」


「ワウッ」


カル、リム「メディ?」


レッド、シン「?!」


ブラック「ばか、止めろ!」


保護していた子供とそれを止めようとする獣化したタン、止めようとしたがあっという間にベアーの足元に、不味い!!


ブラック「あの首輪は❪従属の首輪❫だ、誰かが近くで命令を出している!」


くっ、いったい何処に?


「ヤーマダ、ヤーマダ」


「ガアウウ?!」


なんだ?ベアーが子供の言葉に反応している?!


シン「殿下、あそこです!」


!岩影にロープを着た男、俺はすぐに奴のところに駆け出した。


盗賊A「ち、ちくしょう!ベアー!奴等を殺せ」


不味い!「ファイアーボール!」


バフッ、ヴゥワッ


盗賊A「ぎやあああっ!」


盗賊は火達磨になって倒れた、ベアーは?!


「ガゥア、ガアアッ?!」


メディ「ヤーマダ」


いけない?!腕を振り上げた、くそ、殺すしかない!

俺は全力で跳躍する、ベアーの首を狙って。


ブシュッ


何が起きた?!奴が、ベアーが自分の首をかっ切っただと?


メディ「ヤーマダ?」


カル「ああ、そんな!」


リム「なんで?!」


シン、ブラック「!!」


ドオオンッ


ベアーが倒れた、大量の血が吹き出ている。

おそらく致命傷だ。

子供がベアーにすがり付く。


メディ「ヤーマダ、ヤーマダ、ヤーマダ、ヤーマダ、ヤーマダ、ヤーマダ、ヤー、マダ、ヤーマ」


カル「メディちゃん、もう」


カルが首を振って子供をベアーから引き剥がそうとするが、子供は泣きながら離れない。


リンの従魔獣が死んでしまった。

リンにどう伝えれば?そういえばリンが見えないが?


「リンは何処だ?」


俺はブラックに聞いた。


ブラック「!馬車で子供について?!」


俺とブラックが馬車を同時に振り返る。


「御者がいないだと?!」


ブラック「まさか」


シン、リム、カル「!」


タン「ガウ?!」


その時、後ろから蒼白い光が輝いた。

皆が振り向いたとき、あの子供が光っていた。




「ヤーマダ」


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