造られた魔法使い(マリン視点) [挿絵アリ]
リム「あ、ああ?!」
タン「!あああ?!」
カル「なんだ、二人して?」
二人が目を見開いて驚いている?
リム「その魔獣、おれたち見たぞ!」
タン「見た目が普通のキイロ鼠だったのに、変だった」
「どう変だったの?」
リム「火花がバチバチして、カミナリみたいに痺れるんだ」
タンがこくこく、頷く。
「キイロ鼠ってそうじゃないの?」
カル「違います。普段からおとなしくて沢山いて子どもでも捕まえられる、おれたちの村の大切な食料です」
ブラック「それが完成形か別にして、すくなくとも成功例はあるわけだ」
なんてこと!これはオリポス盟約を揺るがしかねない事案では?
だとしたら、完成形は?!まさか!!
私がブラックを見ると、ブラックはニヤリと笑った。
ブラック「さすがだな、たどり着いたか」
「…………まあね、ここまで材料をだされたら、そこにいくわね」
レッド「なんだ、何がある?」
ブラック「魔獣に有効なら人間にも使えるということだ」
レッド、カル、タン「!」
シン、マデリン「?!」
リム「人間が魔法を使える?それって魔法使いじゃん?ってマジかよ!」
今は一国にいる魔法使いは数人から十数人、それが任意に造り出せるなら国家間のバランスは保てなくなる。って?!!
「じゃあ、あの子達は?!」
ブラック「わからない、皆、癒しの魔法能力をもともと持っていた。力の強化?、だとしてなぜ癒し魔法なのだ?たしかに貴重な魔法ではあるが戦争の兵器にはなりえない。だが」
ブラックは窓越しにリンレイと子供達がいるであろう部屋を見る。
ブラック「魔獣兵器と彼女らは同じ施術を処された可能性が高い、いまはそれしか言えん」
だいぶ確信に近づいた気がするけど、また、謎が残ったわね。
◆確認できた事
一 ▶宝石である宝玉は魔素を変換し、魔力として蓄える事ができる。
二 ▶魔獣になんらかの施術をして魔法を使う魔獣兵器を造り出した、成功例有り。
三 ▶魔獣に行った施術は人間にも有効、魔法使いを任意で造り出せる可能性あり。
四 ▶誘拐されていた子供達は魔獣兵器にされた魔獣と同じ施術をされた可能性あり。
◆未確認な事
一 ▶成功した魔獣兵器の数。
二 ▶造り出した魔法使いの有無。
三 ▶子供達の現状は施術の失敗なのか、副作用かなにかか?
四 ▶なぜ、癒し魔法能力者に施術をしたのか。
情報は整理できたけど、現状を打開できるものではない。
今、必要なのは子供達の治療に繋がる情報なのに。
ドタッ
子供達の部屋で音が?!いけない!
レッド、カル、タン、リム「!」
シン、マデリン「?!」
ブラック「ちっ!」
レッドが駆け出し、ブラックが後を追う。
私も皆も後に続く。
バタンッ、レッドが子供達の部屋を激しく開けた。
レッド「リン?!」
ブラック「っ!」
そこには、血溜まりに倒れたリンレイの姿があった。
抱き込むレッド、側に膝をつくブラック。
私はすぐにリンの側についた。
「!よかった、息をしてる」
ブラック「また、ヒールを使ったな」
ブラックが穏やかに眠る子供達をみながら、話す。
レッドは無言でリンを抱き上げると、そのまま退室しようとする。
「どうするつもり?」
レッドは一瞬立ち止まったが、そのままリンを抱いたまま出ていってしまった。
後をカルとタンがついていく。
ブラック「限界だな、ここまで守ったのだ。我々はリンを失うわけにはいかない」
ブラックは子供達を見ながら立ち上がり、退室していった。
皆も後に続く。
「……どうすれば…………」
私は一人、子供達の部屋に残っていた。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「おとうさん、なんでぼくにはおかあさんがいないの」
「いるさ、いまちょっと仕事ででているだけさ。麟太郎がいいこにしていればすぐに帰ってくるよ」
「ん、ぼく、いいこにするよ、おかあさんにはやくあいたいな」
「麟太郎、すまんな」
◆◆◆
「すみません、その後その凛子の行方は?なにか進展はありましたか?」
「佐藤さん、我々も手は尽くしてはいるんですよ、ただね、あまりにも情報が少なくてですね」
「そんな、間違いなく家の玄関に靴が脱いであってスーパーの食料品が玄関に置きっぱなしだったんです。靴を履かないで何処にいけるというんですか?!」
「う~ん、我々も周辺の防犯カメラはすべて確認しましたが、不審人物なども写っておりませんし、正直、八方塞がりなんですよ」
「頼みます、四歳の息子が不憫で、なんとか」
◆◆◆
「りんたろうちゃん、さっきのかけっこ、はやかったね、いちばんだった。すごい、すごい!」
「ありがとう、かなえちゃん」
「つぎはかりものきょうそうだよ」
「かりものきょうそう?」
「そう、おとうさんかおかあさんからものをかりてはやくゴールするの」
「おとうさんかおかあさん」
「りんたろうちゃん、おとうさんとおかあさんは?」
「おとうさんはしごとでまだきてないんだ」
「おかあさんは?」
「おかあさんはね、おかあさんはね、おかあさん、おかあさん、おかあさん、ううう、おかあさん、あああん」
「りんたろうちゃん?せんせい、りんたろうちゃんがないちゃった」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「は?あ、あれ?僕はなにを」
あれ?なんか夢を見ていた気がするけどなんか思い出せない。
ええっと、子供達にご飯をあげてて調子が悪くなった子がいたからヒールをかけたんだけど、その後の記憶がない。
しばらくぼーっとしていたら、自分がネグリジェでベッドにいる事に気がついた。
また、倒れちゃったかな?
回りを見回す、誰もいない。
子供達の部屋とは別の部屋だ。
僕は慌ててドアのノブを回そうと手を伸ばしたら、手が届く前にノブが回った。
「レッドさん?!」
ドアを開けて入ってきたのはレッドさんだった。
「リン!よかった。起きたか!体は大丈夫か?」
「うん、大丈夫。心配してくれてありがとう。レッドさん、このまま子供達の所に行きたいんだけど」
「レッドでいい、子供達は大丈夫だ。このまま休んでいるんだ」
「?そう、でも心配だから会いにいくよ」
僕はレッドさんの脇を通ってドアに向かおうとしたら、レッドさんに抱きしめられていた。
「レ、レッドさん?あ、あの」
「行かないでくれ、君を失いたくない」
どうしたんだろ?いつものレッドさんみたいな余裕がない。まるで何かに切羽詰まってるみたいな?
「大丈夫ですよレッドさん、子供達の無事を確認したら戻りますから」
僕はレッドさんの腕から抜け出して扉のノブに手をかけようと腕を伸ばしたが、サッとレッドさんに行く手をさえぎられた。
「レッドさん?」
「すまない、リン」
バタン、ガチャッ
レッドさんが扉の向こうに行った瞬間、扉を閉められたんだけど?
僕は疑問に思いながらドアノブに手をかけた。
「ドアが開かない!?なんで鍵が」
間違って鍵がかかちゃったのかな?僕は開けて貰おうと、レッドさんを呼んだ。
「レッドさん!なんか鍵が間違ってかかちゃったみたいで、開けてもらえますか?」
「………………………」
返事がない?
へ?気がつかないで行っちゃった?!
「ええ?!」
どうやら、僕は閉じ込められたらしい。




