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研究所

◆マリン視点


「あれね!?」


マデリン「はい、ただ正面は守りが堅いです」


私達は、誘拐犯の拠点の建物が見える岩影にいる。


ブラック「大丈夫だ、見ろ」


「!」


建物から煙が上がった、すでに工作員を配置していたのね。


レッド「突入しよう」


「わかったわ、いきましょう!」


皆で頷き、走り出した。




◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



◆研究所


研究員A「くそ、やつら何者だ?!全員、魔法使いみたいだ、正面はだめだ、裏に廻れ!」


研究員B「研究資料は粗方詰み込んだ、逃げるぞ!」


研究員C「検体はどうする!?」


研究員A「五人は乗せてある、試験中の4人はあの聖女と同じだ、おいていく」


三人は小さな入り江に停泊している小型帆船に乗り込み、ただちに出港した。




◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇




「ガウッ、ガウッ、」

「キィッ、ギイアッ、」

「グオオッ」


「これ、魔獣?」


マデリン「そうですね、差し詰め、実験動物といったところでしょうか」


そこには、数匹の生きた魔獣と数十の空のオリがあった。


ベクター「殿下!」


ブラック「ここだ。押さえられたか?」


そこにはブラックの側近ベクターと、十数人の兵士がいた。


ベクター「は、制圧は完了しました。研究資料も一部ですが確保できました。が、他は持ち出されています。ですが重要証拠は手に入れました」


「どういうこと?重要証拠?」


ブラックはレッドとその従者シンを見てから、ベクターに指示して書類をシンに渡した。

!ああ、ランス王国関連か。


シン「こ、これは帝国との魔獣兵器の開発の見返りに、ルケル殿下の王への即位の便宜を図る取り交わし書?!」


レッド「何故だ?ルケル兄上は王太子だ。便宜を図る必要はないはずだ!」


シン「レッド様、じつは陛下はルケル殿下の王太子への即位に反対しておいででした。元老院の支持で即位できたのです」


レッド「な?!」


シン「……レッド様は、幼少の頃はルケル殿下とは仲がよかった。今も最後のところは信じておられた。だから、私からは言えなかったのです」


レッド「…………!」


はあ、愚鈍な上司を持つとシンも苦労するわね。でも、それでも支えようとするところがシンのいいところよね。


ブラック「すまんな、裏で絵を描いてるのは内の宰相だ。ルケルを擁立し、最終的にランス王国を傀儡で支配するのが目的だろう」


「はん、それで?自国の機密を暴露してこの皇太子さまは何をしたいのかな」


ブラック「仮の皇太子だ。あの老人は死んでも誰にも帝位を譲らないだろう」


相変わらず、この男は全部を語らないわね?すると誘拐犯は指示役が帝国宰相で、実行役がランス王国王太子か、なにやら複雑怪奇だわ。


ベクター「殿下!見つかりました、ですが、その」


ブラック「拐われた者達か?」


ベクター「全員ではありませんが、はい……被害者達です」



なんだろう?、私はマデリンと顔を見合せた。

レッドやシンもなにか感じた様子、いやな予感がする?!




◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇




メグ「はい、できました。変わりましたよ」


「あ、ありがとう」


サリー「あらあらあら、本当にこれは皇女様よね」


モモ「この髪、すっごいサラサラよ、羨ましいわ。それに、なんか虹色に光ってない?」


あれからぼくは着せ替え人形になったよ。二時間だよ、半端ないんだよ。うう



サリー「はーい、お二人さん。お待たせ、お姫様の登場よ」


リム「?!……………」


タン「!わあ」



うう、なんか恥ずかしい、あ、ここでくるっと回るってメグさんが言ってたな。はい、っと


リム「…………」


タン「…………お姫様だよ、きれいだよ、おねいさん」


「ありがと」


なんだろう、なんだかスカートでも気にならないような、しっくりくる?


「リム、どう?」


「あ、ああ、い、いいんじゃないか」



はは、僕って変じゃなかった?ん~、これでいいかな、どうせ三姉妹が着替えさせてくれないし。

でも、なんか恥ずかしくて顔が熱い。


「ちょっと甲板で風に当たりたい、でてくるね」


三姉妹「「「いってらっしゃい」」」


リム「おれもいく、なんか熱いな」


タン「ぼくも!」




甲板はちょっと風が吹いていて気持ちがいい。

ふと?外の岩場で何か動いた、ん、ん?

みんなが帰ってきたかな?

僕がじっと見ていると、隣でリムが叫んだ。


リム「おう?!キイロ鼠じゃん、こんな島にもいるんだ」


「キイロねずみ?」


リム「ああ、おれの村でもよく居て、簡単に捕まるし、旨いんだ」


タン「ワウッ!」


「あれ?タンちゃんも知って、てっ、獣化してる?!」


リム「狩ってきてやるよ、タン、いこうぜ!」


タン「わうっ」


「あっ、ちょっ、まってよ、危ないよ」


こら、リム、タンちゃんを勝手に連れ出さないでよ!


二人はあっという間に船を飛び出すと、たちまちキイロ鼠の所にたどり着く。

たしかに黄色いけど、犬くらいない?


リム「よし、捕まえ」、バチッ「あ?い、いてぇ!?痺れる??」


タン「わううっ?!」


「タンちゃん!」


僕は迷わず飛び出す、何か、鼠から火花が光ってる?!すぐ、僕は二人に追いついた。


「大丈夫!?」


リム「ああ、しかしなんだよ、ここの鼠はカミナリみたいな火花だすなんて?!」


タン「わう~っ」


黄色い鼠がカミナリ、って?!

僕は思わず鼠に向かっていっちゃた。


「よし、君に決めた!ゲットだぜ!」


リム「は?なんだよ、それ?」


タン「わう?」


バチッ、「ちゅう?」


「ぎゃっ、痺れる?!皆、逃げるよ!」


リム「もう、なんなんだよ!」


タン「わう!」



僕らは船に慌てて逃げ帰った、鼠は追って来なかったよ、くそぅ、鼠め、次は必ずゲットだぜ。



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