表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/4

王国の城へ潜入、暗躍しちゃうよ⁉ って言うとカッコイイけどその顛末は?

「おやつの時間だ」

 と、ぽこざる。ひこざるは、らっぱえびせん持ってきた。

 2匹で均等に分ける。どう見ても、ぽこざるの方が多い。ひこざるはため息をついた。

 おやつが終わると、ぽこざるが、

「カラオケ行こうよ」

 とひこざるを誘った。どうせやることもないから、ひこざるは付き合った。

 最初にぽこざるが歌う。

 とんでもない声だ。ガラスが割れて壁にひびが入った。それでもぽこざる、歌い続ける。でたらめの歌を。

 ひこざるは耳が爆発して、逃げ出した。そのとたん、カラオケボックスがほうかいした。

 ほろびの歌だ。やっと歌い終わったぽこざる、今夜もひこざるんちに泊まる。



 そして朝。めずらしく早起きだったぽこざるは、ひこざるの耳を引っ張って、料理長の家が見えるとこまでやって来た。

 料理長が家を出た。

 丸見えの落とし穴をよけて、ひもをまたいで、くぐって、橋まで来た。

 ぽこざるの目玉がにょきーとのびて、口が足の指までがーと開く。なにせ、がんばって仕かけたイタズラを、いとも簡単に突破されてしまったのだから……。

「まだ、イタズラは残ってるぞ!」

 と、どこからか持ってきたのこぎりで橋を切ろうとした。

 石の橋だった。これじゃあ、切れるはずがない。

 仕方がないから、タルを積み重ねたところに行って、タルをけとばした。

 坂道じゃない。タルが転がらない。意味がない。



 ぽこざるは、がっくりと、肩を落としてしまった。そして、大声で泣いた。

「ううぇええええん‼」

 周りの木が根こそぎ飛ばされる。ひこざるも飛ばされる。周囲の家もふっ飛ばされた。

 そのまま夜になった。また、涙の川になったらたまらない。

 ぽこざる、泣くのをやめて、料理長の家に向かう。

 マジックで、家に落書き。

 料理長の上品な家は、おさる王国一の下品な家に変身した。

 最後に、昨日書いた画用紙をガムテープではりつけた。

『悪のぽこざるのせいで、料理長は恐怖のどん底に!』



 次の日から、ぽこざるは近くの川へ行って、そこにある丸い石にツバをはくのが、くせになった。

 だれもわけを知らない。ひこざるは気になって仕方がない。

 ある日、ぽこざるについて行って、わけをきいた。が、教えてくれない。

 そのうちに日が暮れてきた。ぽこざるが帰ろうとしたので、ひこざるも続く。

 ところが、ぽこざるは帰るのではなく、近くのしげみにかくれた。ひこざるは、わけがわからない。

 そのうち、なんと料理長がやって来た。

 ぽこざるが、やっとわけを教えてくれた。

「料理長の家に落書きしたときにね、窓からね、いっぱい、まん丸の小石が見えたんだよ。料理長の趣味は、きっと丸い石を集めることなんだよ。だから、料理長の集めそうな石にツバはいて、イタズラしてるんだよ」

 やがて、料理長は懐中電灯で、あたりを照らし始める。いくつか小石を拾った。全部、ほぼ丸い。

 ぽこざるがツバをはいた石も拾ったようだ。

「よかったね、ぽこざるくん……」

 ひこざるが横を見ると……。

「うひゃあああ、オバケだあ!」

 夜中なのに、とんでもない大声で悲鳴をあげた。あまりの大声で、料理長はビックリぎょうてん、逃げ帰ってしまった。

 しかしよく見ると、それはオバケではなく、幽霊のような顔で笑っているぽこざるだ。

 ひこざるはこしを抜かして、

「もう、びっくりさせないでよ」

 と、べそをかいた。



 そんなことがあった次の日、なんだか知らないけど、

「ひこざる、ぼく、お城に行ってくるよ」

 と、ぽこざる、潔く言った。

「でも、クビになったんじゃ……」

「いつも料理長に直接イタズラしてないでしょ? たまには、痛い目にあわせてやんないと!」

「どうなっても知らないよ?」

 ひこざは行きたくないようだ。ぽこざるは1人で、お城への道を歩き出した。

 こけた。

「わーんひこざる、痛いよーう!」

 ひこざるはあきれて、

「あんなんで大丈夫かな」

 とつぶやいた。ぽこざるは、手をふってかけ出した。

 途中で、道が横断歩道に変わった。信号は赤。トラックが止まっている。

 なんと、お城に食材を運ぶトラックだ。

 悪のぽこざる、トラックにしがみつき、屋根の上にのぼって、ニヤリ。

 そこにマジックで、『悪のぽこざるのせいで、料理長は恐怖のどん底に!』と書きこんだ。犯行予告というやつだ。

 楽にお城までたどり着いた。



 トラックのサルとお城のサルにまぎれて、お城に侵入。

 そのまま更衣室に。背の低い、掃除のおじちゃんに化けた。

 そして、調理室に向かう。

 なつかしさがこみ上げてきた。でも、今はそんな場合じゃない。

「えー、料理長はどこに行かれたかな」

 ちょっとしゃがれた声で、コックの1人に質問。

「今、トイレだよ」

 ぽこざるはトイレに突進した。

 料理長発見。

 バケツに水を入れて、料理長に、バシャああああっとぶちまける。

 すばやく逃げる。

 料理長、びしょぬれ。

「い、いったい何だ?」

 と、ハンカチで体をふいて、しぼって、またふいている。しまいに、料理長室にかけ込んで行った。

 新しい服に着がえて出てきた。それから調理室へ。

 ぽこざるは料理長室に侵入。

 料理長のバックの中身を全部ひきずり出す。壁にかけてあるぐしょぐしょの服を代わりにつっこむ。

 あげくのはてには、料理長室の中で暴れ出した。

 しばらくすると、料理長室の前にお城のサルたちが集まりだした。

「やばっ」

 ぽこざるは、窓から外に出た。トイレの窓から再び侵入。大成功。

 そのまま、今日のこんだて表を探した。

 調理室の前にあった。シチュー定食になっている。タコ焼き1つに書きかえた。



 そのうち、料理長室がめちゃくちゃなのが騒ぎになりはじめた。

 しかも窓が開きっぱなし。これはお城の外のサルのしわざだ、ということになっている。

 料理長室に近よってみた。料理長が話している。

「こないだ、私の家に落書きがしてあって、どうやら、この前クビにした、ぽこざるのしわざのようなんですよ。きっとまた、ぽこざるかもしれません。なんてったって、城の外のサルですもんね」

 最強にマズすぎる。

 もう、十分復しゅうもした。おさる王国から立ち去ったほうがいい。その方が、だんぜん安全だ。

 ぽこざるの考えはすぐに決まって、またトイレへ向かう。

 窓から出る。

 掃除のおじちゃんの服をぬぎ捨てて、お城から逃げだす。

 そのままひこざるの家まで走る。

 そして、ひこざるにわけを話した。

 あっさり運命共同体になってくれたひこざる。

 2匹は、必要なものを準備して、浜辺に向かう。

 いかだを作り、大海原に乗りだした。

 クジラのじいさん、現れた。

 ぽこざるがわけを話す。

 じいさんは大口開けて、中に入れてくれた。



 ぽこざるは、愛用のマジックで、持ってきたメモ帳の最初のページに、『悪のぽこざる日記』と書きこんだ。

「このメモ帳、ぼくのイタズラ日記にするんだ」

 ごきげんだ。

 2匹はあらためて周りを見わたした。天井の高い洞くつという感じ。このじいさんは歯がないらしい。いかだは、舌の上に乗っかっていた。

 悪のぽこざるは、親友のひこざると、クジラのじいさんとともに、旅立った。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ