夜を舞う
掲載日:2020/06/07
足元の膨らんだ土の上から、どこからか出てきたそれは鳥のように闇を舞い、薄い水色の羽をパタパタと羽ばたかせる。
それは木の葉にとまり、不安定に羽を動かした。
櫛のような触角がついている。きっと雄の蛾だ。
オオミズアオだろうか、オナガミズアオだろうか……。遠くて分からないが、いずれにせよ美しい。
私はシャベルを土から引き抜いて、足で膨らんだ所を押し固めた。
星になるのか。蛾はひらひらと優雅に、空高く舞い上がった。
あれはきっと、星になる。体から出た魂は夜を舞い、星になるのだから。
私もこれから、星になる。




