少女の独白
ーーーーあの日、全てが変わってしまった。
私とクロ兄は物心つく前からスラム街にいた。お母さんは娼婦で、相手との間に生まれたのが私達双子だった。二卵性だだったらしく、クロ兄は父に似て私が母に似ているのだと聞いた。私達双子の唯一似ているところは紅い目だけだった。
私とクロ兄はある日突然白と黒の炎が使えるようになった。でも、それを見たお母さんは化け物を見るような目で自分達を罵り怯えた。きっとここら辺では余り見ないから、大きな脅威に見えたんだろうな。その時クロ兄が、「ここから出て行くか?」なんて聞いて来た。もちろんだ、ここから出て行くと答えた。そんなわけで私とクロ兄は二人でスラム街を生き抜いてきた。
ーーーーーそして全てが変わってしまったあの日
「シロ!速く走れ!アイツらに追いつかれる!…うぁっ」
「クロ兄!」
「捕まえたぞっ!チッ 手間かけさせやがって…」
「離せっ……ガッ ッッッ」
クロ兄が殴られた。
「クロ兄を殴るな!」
「あぁん?るせーな ガキは大人しく黙ってろよ!」
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ガシャン「入れ」グッ
ドサッ「ゔっっ」
「ここで大人しくしてんだな。まっ もうここから出られないんだし。」
「俺達をどうするつもりだお前ら…」
そして男はとても愉快そうに言った。
「売るんだよ。お前らを奴隷としてな。」
「なっ おい!俺はどうなってもいい!シロは、妹だけは逃してくれ!」
「無理無理 俺の一存どうなる訳じゃ無いし、大事な収入源だしな。」
「どうせ黒いのは処分するし。そっちの白いのは良いとこ貴族の奴隷かなんかだろう。今はガキだが数年経ったら結構な美女になりそうだな。」
「なっ⁉︎」
そう言って男はいなくなっていった
「…ごめん シロだけでもなんとかしてやりたかったのに、無理だった。」
クロ兄の泣きそうな顔を見るのはいつぶりだろうか。あぁ 確かあれば私が売られそうになった時以来だ。あの時のクロ兄は力が暴走しかけたんだっけ?大変だったなぁ。あの後はずっとくっついたまんまで…。
「いいんだよ、いいの。ありがとう、クロ兄。 それよりクロ兄が死ぬなんてやだ…」
「仕方ないよ。でもおまえが生きているならいいんだ。なぁシロ、俺は憎い。憎くてたまらない。たとえ殺されそうになってもいつか絶対に復讐してやるんだ。…こんな世界、俺は認めない。」
「クロに……」
ガシャンッ
「おい、そこの白いの。来い」
「シロッ!」
ギュ 私は、クロ兄を抱きしめて
「バイバイ クロ兄…」
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(あれからどれくらいの時間が経ったのかな…)
ドゴォ!
(…? 何があったのかな?)
外が騒がしい。魔物かなんかが出たのだろうか。
ガシャンッ
突然檻の扉が開いた
「お、いたいた。お前誘拐されて売られそうなんだろ?助けてやるよ。」
「…誰?」
「ん?俺?俺は………」
これが命の恩人にして私の恩師となる人との出会い。そしてこの事件が近い未来クロ兄との決別へと至る理由。今はもう生きているのかさえ分からない。殺されてしまったのだろうか。あの男は処分と言っていたけれど…