第7話 Lv上げ
「受験生に休みなし。」これって本当ですね。
つい最近イベントがー、とか言っていた人が言うことではないですが。
というわけで遅れてすみませんでした。
暗い夜闇の中。
森の中を歩く三匹のゴブリンと、気配も感じさせずそれを見下ろす影。
ゴブリン達は何も気付かずにただ自分たちの巣へと向かう。
その時、近くの草むらで音が鳴る。
一匹は音の偵察へと。残りの二匹は獲物を守るために残る。
しかし、偵察へ向かったゴブリンがいつまでたっても戻ってこない。
仕方なしに二匹目がまた偵察へと向かうが、またも帰ってこない。
最後に残ったゴブリンはそこでやっと異変に気付き、周りを見渡す。 ………が、辺りには気配を感じない。
得体の知れない恐怖に捕らわれ、逃げ出すゴブリン。
だが、その動きはどこかぎこちない。
ゴブリンがその事に疑問を抱くも、結局は何も分からない。
首元に何かが刺さる。それを最後に意識は途絶え、結局ゴブリン達がその正体を知ることは無かった。
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(よし、経験値ゲット!!)
しばらく眠ることにより、元気を取り戻した毛玉は経験値稼ぎのために魔獣を狩っていた。
(『念動』思ってたより便利だなぁ。浮いてるから足音とかもしないし、気配も全然感じさせずに動ける。)
そうなのである。
先ほどの奇襲も『念動』で忍び寄り『氷魔』で出した氷で音を立て、気を引く。後は『氷付与』で各個撃破するだけ。
他にも、実は『弱毒』による毒を液体ではなく気体にして、ゴブリンの周りに撒いたりもしていた。直接的なダメージにはならなくとも体の動きが鈍る、まるで麻痺毒のような効果が期待できた。
あんなにも苦戦したゴブリンもこの通り。
もちろん‘‘まともに戦わなければ’’という条件付きでだが。
これらは拠点とした崖にていろいろ試した成果だ。
最もそのせいで、崖の一部が凍りついたり、散布した毒に自分が引っかかり『毒耐性:弱』のスキルを手に入れるというハプニングも起きていたが。
(拠点の毒どうしようかなぁ。耐性上がるし防衛にも使えるし、放置でもいいかな?
…………自分から掛かりたい物ではないけども。)
そんなことを考えながら森を進む。
こうして毛玉は、順調にLvを上げていくのであった。