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八雲くんと夏目くんと、たまに誰かさんと誰かさん。その3。

八雲くんと夏目くんと、たまに誰かさんと誰かさん。その3。


八雲  「夏目! トランプ勝負だ! 龍とっ!!」


夏目くん「なんで龍之介とするんだよ」


龍くん 「まあまあ、夏目。俺ともやってくれよ」


夏目くん「どうせ、賭けがあるんだろ」


龍くん 「さすが、夏目。話が早い」


夏目くん「おまえのモデルにはならない」


龍くん 「え~。なんでだよ~」


八雲  「龍! ちがうよ! イベントの人数合わせに来てもらうんだよ!」


龍くん 「あ。そうだった、そうだった。そういうことだ、夏目。おまえも八雲相手にトランプゲームをふっかけるなんて、大人げないぜ。こいつの単純さは知ってるだろ」


八雲  「ちょっと、どういう意味だよ」


夏目くん「確かに」


八雲  「おい」


夏目くん「わかった。やる」


龍くん 「夏目! 話が早いな! ゲーム内容は俺が決めていいか?」


夏目くん「いい」


龍くん 「じゃあ、ポーカーで勝負な」


夏目くん「……」


八雲  「あ! ポーカーなら俺もやりたい! それなら運の勝負だから俺でも勝てそう!」


龍くん 「って言ってるけど、どうする?」


夏目くん「別にかまわない」


龍くん 「よーし。じゃあ、勝負だ、夏目!」


【龍くん、親になり、手慣れた手つきでカードを切ると3人の前に5枚ずつ配っていく】


八雲  「なあ、これって何回勝負? せっかくだし、何回かやりたい」


龍くん 「そうだな~。3回くらいやるかぁ。いいか? 夏目」


夏目くん「わかった」


【龍くん、2枚替える。八雲、手札全部替える。夏目くん、2枚替える】


八雲  「うーん。うまくいかないなぁ」


龍くん 「じゃあ、一回目の勝負な。せーの」


【三人一斉に手札を見せる。龍くん、7のスペード、ダイヤ、ハートのスリーカードと、6のクローバー、4のダイヤ。八雲、ハイカード(数字も絵柄も一枚もそろっていない)。夏目くん、ハイカード(ダイヤの3、5、8、10と、ハートの4)】


龍くん 「え!?」


八雲  「わ! なんだよ、龍! 大きな声出して、びっくりするだろ!」


龍くん 「あ、わり。あーそっか。夏目、ハートの4か。赤がそろってるから一瞬びっくりした」


八雲  「なんでびっくりするの? 龍、スリーカードなんだから一番じゃん。俺も夏目もそろってないよ」


龍くん 「夏目、おまえフラッシュ狙っただろ」


八雲  「フラッシュ? あれ? それってスリーカードより強いの?」


龍くん 「強い。2枚替えてたから、その内1枚はダイヤを引いたんだな」


夏目くん「俺はおまえが2枚替えた時、スリーカードだと読んだ。だからそれより強いカードを狙った。外れたけどな」


龍くん 「あたり。俺はスリーそろってたから、フルハウスかフォーカードを狙った」


八雲  「ええ……。二人ともそんなに考えてやってるの? ポーカーって運じゃないの?」


龍くん 「まあ、運が強いゲームだけど、読みと駆け引きができないと勝つ確率は格段にさがるかな」


八雲  「そうなの?」


夏目くん「おまえ、全部捨てただろ」


八雲  「うん。だって一枚もそろってなかったもん。ほら」


【八雲、最初に配られて捨てた5枚のカードを表にする】


龍くん 「クローバーのクイーン。ハートの10。スペードの9。ハートの5。ダイヤの2。八雲、強いカードきてんじゃん」


八雲  「え? どこが?」


夏目くん「クイーンと10と9があるなら、ストレートが狙えるし、クイーンと10をそれぞれペアで狙うこともできる」


龍くん 「八雲、数字の大きいカードは捨てない方がいいぞ。そこから強い組み合わせを作っていくんだから」


八雲  「え~。俺、ポーカーにそこまで考えてやったことないよ」


夏目くん「おまえは、そもそもカードゲームに向かない。顔にも言葉にもすぐに出るからな」


八雲  「なんだよ~。しょうがないじゃん」


龍くん 「まあまあ。で、どうする? 二回戦、八雲やるか?」


八雲  「俺はもういいや。見てる方がおもしろそう」


龍くん 「じゃあ、俺と夏目の勝負な」


八雲  「次、龍が勝てば勝利だよ! がんばれ!」


龍くん 「おー! がんばるぜ!」


【龍くん、カードを切り配る】

【二人とも無言でカードを見ている】


八雲  「(八雲、居心地悪く)なに……。この張りつめた空気。龍~夏目~。なんか喋って」


龍くん 「ん、悪い悪い。どうだ夏目、いけそうか?」


夏目くん「ああ」


龍くん 「どうする? 俺がまた先に取る?」


夏目くん「いや、順番でいいだろ。俺が取る」


龍くん 「どうぞ~」


【夏目くん、1枚替える。龍くん、1枚替える】


八雲  「二人とも1枚ずつか! ドキドキするなぁ!」


龍くん 「せーの」


【夏目くん、5のスペード・ハート・クローバーと、2のダイヤとクローバー。龍くん、9のクローバー・ダイヤと、3のスペード・ダイヤと、6のハート】


八雲  「えーと……夏目の勝ち?」


龍くん 「そう。あーくっそ! 夏目フルハウスか! すげぇな! 俺はツーペアのままだよ!」


夏目くん「今回は俺のほうが運がよかったな」


八雲  「なんかすごいな。じゃあ決着は次だね」


龍くん 「そういうことになるな! よしやるか!」


【三度、龍くんカードを切り配る】

【二人ともまた無言でカードを見る。八雲、おとなしく見守っている】


龍くん 「じゃあ、今度は俺からな」


【龍くん、4枚替える】


龍くん 「……夏目の番だぜ」


夏目くん「……」


八雲  「夏目の番だよ? ひかないの?」


夏目くん「俺はこのままでいい」


八雲  「へ!? 替えないの!? そんなにすごいカードなの!?」


龍くん 「……、夏目、いいのか?」


夏目くん「いい」


龍くん 「わかった。せーの」


【龍くん、ハートのキング。ダイヤの10。クローバーの6、5。スペードの2のハイカード。夏目くん、スペードのエース。スペードのキング。ハートの9。ダイヤの7、2のハイカード】


八雲  「二人とも、ハイカード? 引き分け?」


龍くん 「いや。二人ともハイカードの時は一番強いカードを持ってた方が勝ち。一番強いのはスペードのエースだから、夏目の勝ちだよ」


八雲  「ええ? そうなの? でも夏目、一枚もそろってないのになんで替えなかったの?」


龍くん 「俺が4枚替えたのを見て、俺の手札がハイカードだと思ったんだろ」


八雲  「でもさ、替えた4枚と残った1枚でペアができた可能性もあったわけじゃん」


龍くん 「……そうだけど、夏目、俺の様子読んだだろ?」


夏目くん「別に確信があったわけじゃない。だがそろってない確率が高そうだった。スペードのエースをもってたから賭けてみた。それだけだ」


龍くん 「ああ~! くそ! 絶対読まれないように気をつけてたのに! それに、夏目がそこまでギャンブラーだとは思わなかったぜ!」


八雲  「でも、面白かったよ。見てるだけでハラハラした」


夏目くん「じゃあ、八雲の頼みの件はなしな」


八雲  「あ! 忘れてた!!」


龍くん 「すまん。夏目」



八雲くん、やっぱり望み叶わず。

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