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二十九日目 リオとの術式共同開発

 昨日はアルと水学科の不良の制裁を見た。アルは微妙な表情をしていたけど、僕はあれでいいと思う。虐める側は力が強いから調子に乗っているんだから、もっと強い奴に叩き潰させ、そこに虐めを受けた側が復讐を行うのはある意味当然の考えだ。そう考えながらいつも通り食事を待っている。


「あ、おはようございます。レイ」


 リオだ。‥‥やけにすっきりした顔をしてる‥‥。


「リオ、おはよう。……随分すっきりしたみたいだね」


「はい。レイの言った通り、メリシアは知らなかっただけみたいです。教えた途端に前言撤回と屑への制裁を許してくれました」


「ね?言ってみてよかったでしょ?」


「はい。水学科の先生も彼らをどうにかしたがっていたようなので、ああいう形で戦えるようになりました」


 ‥‥まあ、ここまでやったらおとなしくなるだろう。あの後第二ラウンドとして水学科の生徒に叩き潰されたらしいし。


「ふふ。あれだけ叩き潰したところに観客の追撃も入るんです。あれを受けておとなしくならなかった光学科は居ないとメリシア先生も豪語していましたよ」


 ‥‥まあ、あれだけ叩けば動けないだろう。もしアレを受けても懲りずに暴れるとなれば、相当な度胸があるのかマゾヒストか馬鹿のどれかだよ。


「ねえ。それで、リオの言ってた術式ってどんなの?」


「はい。‥‥長時間展開する術式を作ろうと思うんですが、私だけだと作れないんです」


 リオにもできないことがあったんだ‥‥。‥‥そうだ!だったら‥‥!


「その術式を作るのに協力しても良いよ。でも、こっちのやることにも協力してほしい」


 口も堅いだろうし、リオなら言ってもいいかも。


「あなたがやることですか?」


「うん。……実は、どうしてもコントロールできない術式が1つあるんだ。で、協力っていうのは、その術式を改良するために手伝ってほしい。もし出来れば、対価にあげる」


 僕がやっても駄目だった飛行魔法の術式。リオなら、何とか出来ないかな?リオに渡すことになるけど、僕も使えれば問題ないだろう。


「あなたが作れない術式……良いですね。取引しましょう」


 よし、これで飛行魔法の作成が出来るかも!まずはリオの術式、作成しようか!


「じゃあ、今日はこの後、どうする?」


「そうですね、朝食を食べ次第、始めましょう」


「リオがそれでいいなら、構わないよ。じゃあ、朝食を食べたら行こう」


「はい」


 さて、リオが作ろうとしているのは何の術式なのかな?


ーーーー


「え?天候操作?」


 天気を操る魔法なんて作れるんだ‥‥。


「はい。私の最大の目標は、一面光で覆い尽くす視界剥奪魔法です。その作成のために、局地的に自然現象を引き起こす魔法が必要なんです」


「なるほど。相手の目を潰せば、非常に有利に戦えるよね」


 目の見えない相手の攻撃など、簡単に避けられるだろう。


「はい。ですが、その前に作らないといけない天候魔法でいきなり躓いてしまって……」


 うーん‥‥。まずは、術式を見ないと何とも‥‥。


「リオ、術式出して」


「はい。これです」


 リオの出してきた紙には天候魔法の術式が書いてある。局地的に日照りにしてしまう魔法か。少し上空に太陽の偽物を作りだし、それの光と熱で照らし出す‥‥。凄い魔法だね‥‥。


「これって、太陽を作り出すんだ?」


「はい。ですが、上手く発動できないんです。コストが高すぎるのでしょうか?」


 ‥‥うーん。これはさすがに僕でも無理だな。リオの言うとおり、コスト20じゃ実戦では使えない。リオは最終的に光で覆い尽くすって言ってたし、別にこれでなくてもいいよね‥‥?


「ねえ、リオ。この術式をもっとシンプルな物にしたものを作って一回使っていいかな?」


 うん。やっぱりまずは試作から始めないと。


「ええ。良いですよ」


 じゃあ、まずはこれを基に「風を起こす魔法」を作ろう。それを上手く完成させれば、属性を変えればリオの魔法も作れるはず!


 しかし、これが天候操作の魔法か。天候を変えると言うよりも無理やりその物を作り出して環境を変えるって言う方が良いよね。‥‥砂漠にずっと雨を降らせることも出来るのかな?それとか、雪山にずっと日の光を作り出すとか。‥‥いろいろ凄いことが出来そうだ。さて、実際に作ってみよう。


 イメージは、ただ風を起こす魔法、効果時間は、僕が解除するまで。風速はそよ風レベルで。風の方向はランダム。殺傷力は無し。‥‥コストは‥‥7!?これだけで7!?僕の今の魔力が29だから、4回しか撃てない!でもしょうがない。せっかくだから、使ってみるよ!


「来たるはそよ風。それはただ永遠に吹き続ける。意思も無く、害意も無く、ただ気まぐれに吹き続ける。我が意によりて、この地に絶え間なきそよ風を!ウィンド!」


 術式を発動した。‥‥あれ、何も起きないのかな?魔力は減ったのに‥‥。はあ、失敗か‥‥。


「ああ、失敗した。もう一回組まないと……」


「レイ!今の魔法、どうやったんですか!?」


 突然リオに迫られた。‥‥落ち着いてよ。今から失敗の原因を‥‥って、あれ?リオの前髪が揺れてる‥‥。


「ちょっ……落ち着いて。魔法はちゃんと教えるから」


「あ……ごめんなさい。でも、ほら……」


 リオが紙を縦に持つと、部屋の中なのに少し風が当たったように揺れている。‥‥できたの?


「えっと、術式は今から書くね……」


 よく見ると、僕の髪も時折揺れている。風が当たっているのに感じなかったみたいだ。えっと、術式は‥‥。


「はい、これが今の魔法の術式。たったこれだけでコストが7もかかるから気を付けて」


「……レイ、凄いですよ。私が数日悩んだものを一瞬で解決したんですから。……今からこれを基に視界剥奪魔法を作ってみます!」


 言うなりリオは術式を組み上げる。って、速!もしかして僕よりも数段上!?‥‥リオはあっという間に術式を作り上げていってしまい、3分で視界剥奪の魔法を作ってしまった。


「レイ。本当にありがとうございます。おかげで、視界剥奪魔法の術式が組めました。……コストは12かかりますが……」


 12か。でも、凄く便利そうだよ。


「……リオの魔力、いくつだっけ?」


「……26です」


 ‥‥うわ。ほとんど半分じゃない。


「……まあ、相手の目を使えなくすれば勝てるよね。一度使ってみたら?」


 どうなるんだろ?一度見てみたい。


「はい!使ってみますね。シャイン!」


 リオが魔法を使った瞬間、僕もリオも真っ白な光に飲まれた。眩しくて全く目が開けられない。しかも、目を閉じても真っ白な光が入ってくるみたいだ。‥‥止めて、リオ‥‥。


「ま、眩しすぎて、目が全く開けられません……」


 ええ!何で自分も影響受けてるの!


「とにかく、シャインを解除して!」


「は、はい!シャイン解除!」


 その瞬間に光は消えた。が、目が開かない。あまりに眩しすぎて目が開けられないため、一時的に失明と同じ状態になっているらしい。‥‥最悪だ。


「ディスペル!」


 何とか自分にディスペルをかけて目が開くようにした。‥‥何故か異常に暗い‥‥。


「ああ……。リオ、大丈夫?」


「は、はい……全く、目が見えませんが……」


 リオは完全に自分の魔法で自滅してしまっていた。ディスペルでとりあえず失明を治す。


「……ごめんなさい、レイ……」


「ううん、よくある失敗だよ、こんなの。竜巻に巻き上げられて1分回されたのに比べたら……」


 あの時と違い、魔法で治せるし。


「まさか、トルネードですか?」


「うん……見事に自滅して、目が回って立てなくなった。方向感覚も滅茶苦茶だし……」


 ああ、あの時は死ぬかと思った‥‥。だってあらゆる方向に回転させられて‥‥。


「……大変でしたね」


「うん。まあ、その経験があるから術式を組む時は自分の安全を最優先にしてるんだけどね」


「そうだったんですね。……私も、術式を組む時は自分の安全を考えなくては……」


「それが良いよ」


 自滅して負けたら最悪だしね‥‥。


「はあ、もう一度シャインを作り直します。ところでレイ。あなたの言っていた魔法はどんなものですか?」


「うん。……飛行魔法」


「なるほど。まさに秘匿技術ですね……」


「まあ、まともに飛べないけど」


「そうなんですか?」


「うん。……見てて」


 リオから距離を取り、横を向く。そちら側の壁にエアメイクのクッションを作り、シルフィウィングを展開する。そして、飛んだ瞬間。僕はクッションにタックルしていた。


「え?……速すぎて何も見えません」


「うん。これが僕の問題の魔法……」


 術式をリオに渡す。とりあえず、改良案を考えなければ‥‥。壊して組みなおそうか‥‥。


ーーーー


 あれからリオと二人でこの魔法について話し合っていた。でも、やはり問題は解決しない。


「……やはりコストですね。コスト6から減らさなければ、まともに飛べないでしょう」


「だよね。でも、それ以上の圧縮を出来ないから……」


「……このシールドを消せばコスト4になりますね」


「それでやってみると、目が痛くなるんだ……」


 風が目に入る、ううん。叩きつけられる。といった感じだ。痛くて痛くてたまらない。


「そうなんですか?……私も、一度これと同じものを作ってみます」


「うん。念のためにこれをつけて」


 エアメイクのクッションを頭につけたリオが術式を発動し、背中に翼を作り出した。そのまま飛んで……一瞬で天井にぶつかった。


「……早すぎます……」


「大丈夫?」


 頭から突っ込むことになるからエアメイクのクッションを作ったんだけど、いきなりこうなるとは……。


「……これは厄介ですね。まともに使えません。バリアを無くして軽くしてみます」


 リオがバリアを消した物を作る間に僕も飛行機能を改良しよう‥‥。少しでも小さく出来れば‥‥。


「うう……目が痛いです……」


「ね?飛べるけど目が凄く痛くなるでしょ?」


 リオもバリアを外せば普通に扱えていた。となると、やはりコスト4にしないと飛べないんだろうな。


「はい……これは大変ですね。目を守らなければ飛べません……」


「目だけじゃないよ。手や足も守る必要が出てくるから」


「なるほど、空で敵に襲われれば必要になりますよね」


「うん。……だから厄介なんだ」


「バリアが無ければ危なくて使えない。なのにバリアがあるから早くなってしまって使えないですか。これはまさに無理難題ですよ……」


 本当に厄介だよ。飛行魔法は。


「……私の方でも何とか考えてみます。術式の授業の時に言いますね」


「うん。お願い。それと、他の人には術式を見られないようにして」


「もちろんです。レイも、シャインを改良した物を後日渡しますが、人に見せたりしないでくださいね?」


「当然だよ。約束する」


 教えてもらった秘匿技術を他人に知らせたり教えるのはやってはいけないことだしね。

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