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二十四日目前半 術式の作成

内容が180度変わります。同じ部分はリオとの最初の話だけです。

 はあ、昨日はひどい目に遭った。まさか先生が強力な物をリオに飲ませていたなんて。後一歩遅かったら大変なことになってたよ‥‥。リオもあれからずっと顔真っ赤だし、落ち着かせるのに苦労したんだから。‥‥はあ。


「あ、レイ。どこ行くの?」


「朝食です」


「うう……昨日のは本当に悪かったってば……あれからメリシアにこってり怒られたんだよ……。ヨハン霊薬を生徒に飲ませるとは何事ですか!大体、彼らはまだ10歳ですよ!一体何考えてるんですか!ってさあ……」


 はあ、自業自得だ。そんなの。僕もリオも悪くない。


「それだけですか?じゃあ、行きます」


「って、ああ。違う違う。そっちじゃなくて、術式だ」


「は?」


「今日から普通にやるようになると思うよ」


「へ?」


「ああ、クライズにはアルが来た日に話を通しておいたからね」


「ええ!?」


「まあ、その話はいいや」


「良くないですよ!」


 何さらりとこっちに変化がありそうなことを言ってるんですか!?気になりますよ!


「まあ、そんな事より食事をしないとね。ほら、行った行った」


 突然術式の授業の事を言われてもわけが分からないけど、まずは食堂で朝食を食べよう‥‥。


ーーーー


「あ……」


「……おはよう、リオ」


 まあ、気まずいのは仕方ない。だって、全部覚えてるみたいだし。リオの顔はやっぱりちょっと赤い。


「おはよう……ございます……」


 まあ、あんな事をしてしまったら、こうなるよね‥‥。僕がリオでも、さすがに耐えられない‥‥。


「……まあ、座りなよ……」


「はい……」


 ここまで気まずくなるとは思わなかったよ。契約で互いに縛らないと、リオとの関係が確実に無くなる‥‥。


「えっと、その。昨日は本当にごめんなさい……」


「ああ……薬の効果が異常に強かったって聞いたよ。それに、何もなかったから良いじゃん……」


 まあ、昨日の出来事は思い出すだけでも恥ずかしくなるけど‥‥。意識を術式に集中していたから何も感じなかっただけで、実際は結構過激なことをされていたみたいだし‥‥。


「……何も無かったって言えますか?」


「……無理だけど、でも、そう言わないと終わらないよ……」


 そりゃ、あの後一日中顔が熱くなって薬の効果が再燃したかと思ったもん‥‥。でも、終わらせないと‥‥。


「そうですね……。こんな薬の効果でさせられていたことは早く忘れなければ……」


「そうだよ。それに、薬よりも術式の事が大事でしょ?」


「……そうですね。考えをそっちに持っていきます」


 ふう。やっと終わったかな。


「あ、そうだ。今日から術式の授業が変わるとか言ってた」


「そうなんですか?」


「セフィナ先生がクライズ先生に話したらしいけど……」


「……じゃあ、その時間も足して一緒にやりませんか?」


「そうだね。一緒にやろう」


「分かりました。じゃあ、術式の授業でもよろしくお願いします」


「うん。契約通り、術式を教えあおう」


「はい」


 さて、じゃあこの後は術式の授業に行こう。


ーーーー


「よし、今日は二人一組になれ。今から術式を作ってもらう」


 うわ。この前と様子が全く違う。今日からやっと作れるのかな?


「レイ。よろしくお願いします」


「うん。どんな術式を作るのか分からないけど、一緒にやろう」


 リオと組んだら、何故か周りから「ええ!?」「ホント!?」「そんな!」とか聞こえるけど、無視する。あらかじめ契約してるんだから、邪魔はさせない。


「よし、じゃあ、最初は、何でも良い。術式を2つ作ってくれ。1人で2つでも2人で1つでもいい。それを紙に書いて俺に見せろ」


 なんだ。僕とリオにとっては簡単どころか日常的にやってることだよね。


「じゃあ、私は防御魔法の術式を書きます。レイは、攻撃魔法の術式を書いてください」


「分かった。先生に見せてから、説明するよ」


「はい。お願いします」


 さてと、最も基本的な物を書こうかな?‥‥‥‥出来た!


「リオ、そっちは?」


「完成しましたよ」


 よし、先生に見せるか。


「クライズ先生、二つ作りました」


 周りから「早!」「まだ2分経ってないのに!」「何でそんなに早いの!?」とか聞こえるが、気にしない。


「なるほど。二つとも基本のみを書いた物か。これなら、すぐに書き上げられるな」


 そう言ってクライズ先生は僕たちが術式を書いた紙を「入れ替えて」返した。つまり、僕の方にはリオの術式が、リオの方には僕の術式がある。


「よし、ならお前たち二人は相手に自分の術式の効果を説明するんだ。これが出来ないと、いつまでたっても明確なイメージが出来ないからな」


 まあ、そもそもそれが僕とリオが手を組んでた理由なんだけどね。僕はリオに攻撃魔法の基礎を説明し、理解させる。リオは僕に防御魔法の基礎を説明し、理解させる。これが僕たちがこの前結んだ契約だから。


「じゃあ、授業の時に契約が履行できますね」


「そうだね。……次の契約を考えないとね」


「はい。……どうしますか?」


「……後でゆっくり考えよう。今は、これの説明をしよう」


「はい」


 さて、じゃあ、僕からするか。‥‥よし。


「リオに渡した術式は、魔導書に載ってる初級魔法、○○ボールを基にして、コストを抑えた物です。だから、図書館の魔法よりも低コストで使えるようになっています」


「……確かに、シャインボールよりもコストが低く、威力が高くなっていますね」


「術式のイメージは丸いボール状のエネルギー体の作成。作成場所は手の平。大きさは、5センチから10センチ程度。コストは1です」


「……はい、分かりました。問題ないです。じゃあ、この術式の属性は何ですか?」


「この術式自体に属性はありません。攻撃魔法は全て、使用者のイメージによって属性が左右されます。なので、雷を使いたいとイメージしながら術式を組めば、それは雷魔法になります」


 この点については自分が一番分かっている。だって、雷魔法を使いたいと思って組んだ「ウィンドサンダー」は本当に雷魔法だった。つまり、あの時点で知らないうちに雷魔法も使っていたんだ。そこから考えなおして術式を組んだ結果、サンダーボルトも使えるようになった。


「……つまり、この術式を私が使う場合に、闇魔法を使うイメージで術式を組み上げれば、それは闇魔法になる、と言う事ですか?」


「うん。そういことになる。後で試しにやってみる?」


「そうですね。やってみます」


 ふう。まずは僕の術式と攻撃魔法の説明ができたな。じゃあ、次はリオだ。防御魔法の術式の基本を教えて。


「じゃあ、私があなたに渡したその術式の説明をします。それは、使用者の周囲に半透明のバリアを張り、魔力と目に見える物質を弾く魔法です。これは、光学科の図書館にあった「シャインウォール」を基に簡略化して作りました」


 なるほど。防御魔法は基本的に空気だけは通すんだね。シャインウォールか、それが一番低いレベルの防御魔法かな?


「その術式のイメージは丸い半透明のバリアの作成、作成場所は使用者の周囲2メートル、目視すると、使用者を中心に半円のドームを作ったような感じです。コストは1です」


 なるほど。‥‥ん?これって属性はどうなるの?


「防御魔法に属性はあるんですか?」


「はい。自身のイメージした属性があれば、その属性を宿します。その場合、その属性に対して非常に強力な効果を発揮します。例えば光属性をイメージした場合、闇魔法に非常に弱くなってしまいますが、光魔法を受けても傷一つつかなかったりしますよ」


 なるほど。‥‥それって何か分かる気がする。僕がエアメイクでバリアを作った時も、トルネードに巻き込まれたけどバリアには傷一つついてなかった気がする。リオと戦った時のあのバリアを削る音がしなかったし。


「なるほど、よく分かりました」


「いえ、こちらもなかなか分かりやすい説明で、助かりました」


 まあ、これでお互いの契約はまた終わっちゃったわけだけどね‥‥。所でさ‥‥。


「ねえ、リオ。どうして僕らが囲まれてるの?」


「……気にしないことにしましょう」


「おい、お前ら。人の話に気を取られてないで、自分の物に集中しろ!提出できなかった者は居残りだぞ?」


 さすがに居残りをちらつかされると周りの闇学科は逃げて行ったか‥‥。所で、後どれくらいなのかな?


「ええと、次の契約は、互いの魔法が上手く使えることを確かめるというもので良いでしょうか?」


 ああ、それならいいよね。それ、作ったばかりでテストしてないし。


「構わないよ」


 断る理由は無いし。‥‥せっかくだから他にも作ろうかな?


「レイ?何をしているんですか?」


「ん?せっかくだから他にも術式を作ろうかなって」


 飛行魔法以外にも目標はある。加速魔法を作ってみたい。


「そうですね。私も、今何としても作りたい魔法があるので、そのために動いてみますね」


 リオにも作りたい魔法があるんだ。‥‥どんなのなんだろう?


「じゃあ、また協力してほしい時は呼んでね」


「はい。その時は頼らせてもらいますね」


 今回は加速魔法を作ろうか。飛行魔法は一人だと危なくて使えないし、安全な加速魔法なら多分出来るだろう。‥‥クラスのあちこちで「どうやって組めばいいんだ!」「わけ分からん!」「教えて!」とか聞こえてるけど、君たちの魔法は確かにこの前まできっちり添削したんだけどな‥‥‥‥。本当に、君たち今まで何してたの?


「ふふ。だから言ったでしょう?彼らは何も出来ないって」


 なるほど。僕に頼り切ってコストを減らすことばかり頼んだ人たちの悲鳴なんだね。自業自得だし放っておくよ。そんな人たちを無償で救う気はもうないし。


「ああ、リオの言ってたのはそういう意味だったんだね」


 リオの言ってた通り、あいつらは術式の改良こそ頼んだけど、実際には何もできない。ううん、全く何もしていない。だから、実際に作らせたら全くできない。そういう事だったんだね。


「ほら、心配無用だったでしょう?」


「うん。ここまで阿鼻驚嘆の状態になるなんてね……」


「まさか、いきなり方針が変わるとは思ってなかったようですね。努力を奪うハイエナには丁度良い結果です」


「全くだね……あ、終わりの合図だ」


「出来てない奴は残れ。それ以外は帰っていいぞ」


 クライズ先生も許可したし時間が終わったので授業を抜ける。さて、リオと二人で急造した術式を調べよう。

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