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十七日目 魔導書到着

ついに他の学科の魔導書が出てきます。これらの本格的な活用は次話以降ですが……。

 今日は魔法術式の授業だ。そして、僕がこの前頼んだ本、あれが全部到着するんだ‥‥。あれさえあれば、僕はもっと沢山の魔法を覚えられそうだ。


「レイ。お前はあんなに大量の魔導書をコピーさせてどうする気だ?」


「変ですか?クライズさん?」


「ああ。あんなに他の学科の魔導書を欲しがるとは思わなかった……」


「だって、お金は駄目でしょう?薬学用の素材も駄目。消去法でもそうでなくてもこれしか無かったです」


「所詮コピーだから使えないぞ?」


「良いじゃないですか。知りたいんです」


 そんなこと僕も分かってます。でも、これがすごく役に立つんです。


「まあ、そこまで言うなら止めないさ……」


 クライズさんと話していたら、炎学科の人達が駆け込んできた。‥‥なんで走ってくるんだろ?


「レイ先生!これが、炎学科と土学科の魔導書のコピーです!」


 こんなに簡単に手に入るなんてね。土学科の物まで本当に手に入れたんだ。


「凄いね。土学科の物まで手に入れるなんて……ありがとう」


「なあに、俺たちにかかればこんなもんです!」


 ‥‥すごいよ。君たち。


「くうっ……!炎学科に手柄を取られてしまいました……」


 ‥‥氷学科だ。本当に、どうしてそこまで張り合うの?


「……お待たせしました。こちらが、氷学科の魔導書のコピーです」


「ありがとう。助かるよ」


 本当に。こんなに簡単に他の学科の魔導書を(コピーだけど)得られるなんて。


「雷学科。今持ってきました」


 うん。これで四学科の魔導書が手元に揃った。


「ありがとう、助かるよ」


 これで、僕の努力さえあれば君たちに追いつかれることは絶対に無くなった。‥‥絶対に大丈夫だ。


「水学科の魔導書、回復魔法も揃えてきました」


「ありがとう」


「いえ……。教えてもらえる物の質が上がれば、こっちにも利益がありますし」


 僕の得られる利益はその数倍なんだけどね‥‥。回復魔法も使えるようになったらすごく便利だ。


「これが、光学科の全ての魔導書のコピーです」


 ‥‥バリアの使い方もありそうだね。丁度いいや。


「うん。ありがとう」


「レイ。闇学科の魔導書、持ってきたよ」


「残りは、これです」


「ありがとう」


 ‥‥こんなに簡単に戦力が上げられるアイデアが手に入るなんてね‥‥‥‥。


「じゃあ、持ってきてくれたし、約束通り、みんなの持ってきた術式の添削をしてあげるよ」


 その直後に囲まれた。まあ、一つずつ捌いていけば、いずれ終わるか。それに、この魔導書の代価はちゃんと払うよ。当たり前じゃない。そんなに慌てなくても、僕は逃げないよ。


ーーーー


 あれから、時間が終わるまでに全員捌いたため、本を持って帰ることにした。‥‥重いな。さすがに、普通に持っていくことは不可能か。でも、エアメイクの術式のコストを上げて、その分追加性能をつけることにした。エアメイクの効果に重量を無視する性能を追加してみた。‥‥うん、これで軽々持てるね。さて、部屋に帰ってさっそく術式を理解するために勉強しようかな‥‥。


「こんなにあるのに、本一冊を抱えてるみたいだね……」


 エアメイク改良型の術式はコストを2に増やした分、色々と出来ることが増えた。重さも感じないし、形を変えても体積を変えられなかった問題点も改善した。‥‥本当に、術式の改良さえできれば他人の力なんて不要になるね。


ーーーー


 第三者side


「あれ、レイは?」


 アルが少し心配になって戻ってきたときには、すでにレイは術式を改造して部屋に戻って行っていた。そのため、行き違いになってしまったのだ。


「あんなに大量の本を持って帰れるわけないし……。心配だよ」


 アルは、風学科の方に向かって走っていった。


ーーーー


「あ、レイ!」


 アルは、大量の本をひものようなもので束ねて抱きかかえて運ぶレイを見つけた。レイが運んでいるのは大量の魔導書なので一見すごく重そうなのだが‥‥。


「ん?アル?どうしたの?」


 アルの呼びかけに答えたレイは全く本が重そうな様子も見せず、平然と向きなおってきた。明らかに重そうな本の束を抱えているのに重量を感じていないのだ。


「ねえ、それ重くない?運ぶの手伝うよ」


「あ、いいよ。大丈夫。こんなの重いって言わないから。エアメイク改造したから問題ないよ」


 レイは平然とこんなことを言ってのけた。実際にエアメイク改造型術式の効果で重量などほとんど感じていないのだが‥‥。


「……そんなのありえないって!そんな束を持って重くないなんて嘘だよ!」


 アルは、目の前のレイが嘘を言っていると思ったようで、反論してくる。


「……大げさだね。こんなの術式を改造すればすぐに出来るよ」


 レイにとっては確かにこれくらいは造作もないが、アルにとっては信じられない出来事であった。話は終わったとばかりに歩き出すレイ。


「あ、待ってよ!」


 慌てて追いかけたアルがレイを止めようとしたとき、それは起きた。アルがレイの右腕をうっかり引っ張ってしまい、滑った本の束がレイの左足に落ちたのだ。本の束はレイの足を直撃した後、床に倒れた。


「痛っ……!」


 突然本の束を足に落とされた形になり、苦痛に顔を歪めたレイ。本の束は幸い重量が本一冊程度にまで軽量化されていたので大事には至らなかった。だが、それでも足に本を落とされたのだ。当然痛みは発生する。


「あ……!ごめ…………」


 アルとしてはレイを助けるつもりだったのだが、逆に迷惑になってしまったのだ。


「いたた……もう、いきなり何を……!本落としたじゃん!」


 突然腕を引っ張られて荷物を落とし、足に落としたため、痛がるレイ。非常に重量は軽くしていたので、大事には至らなかったが、不意打ちで当たったので予想外に痛い。


「ごめ……僕、そんなつもりじゃ…………!」


 そのまま走り去っていったアル。


「これじゃ邪魔しに来たのと一緒じゃない。馬鹿アル……!」


 足の状態を確かめるようにゆっくりと立ち上がり、本の束を抱えなおしてゆっくりと歩き出すレイであった。


ーーーー


 レイside


 全く、アルが余計なことをしてくれたからまだ足が痛いよ……。何であんな余計なことをするのかな……。手伝おうと言って邪魔して落としてそのまま逃げるなんて、嫌なことを思い出しそうだよ。本当に。


「ふう……。本は回復魔法を除いてとりあえずここの本棚に入れよう」


 まあ、アルには悪気が無いことは多分確かだし、謝ってきたら注意だけして許して良いや。いつまでも怒ってる暇はないし。さっそく回復魔法の術式を読んでいこう!これを理解して練習すれば、きっと回復魔法も使えるようになる!


ーーーー


 その日の夕食の時に、アルがこっちに来た。


「……どうかしたの?」


 まあ、要件は1つしか無いよね‥‥。


「えっと、レイ。昼間は……ごめん」


 ‥‥本気で謝ってるのは僕にも分かるし、許してあげるか。


「……まあ、痛かったのは事実だしね。でも、悪意でやったわけじゃないのは分かってるから、構わないよ」


 ここまで真剣な表情で言っておいて演技だったら凄いけど。アルに限ってそれは無いか。


「……ありがとう。それと、本当にごめんね。僕、あんなことになるなんて思わなくて……」


「叱られたの?」


 まあ、叱る人は一人しかいないね。


「……うん。クライズ先生にね、もしレイがエアメイクを改造していなかったら、レイの足の骨は折れていたから入院だ。って……」


 まあ、当然だよね‥‥。あんなに沢山の本をもしそのまま落とされたら、僕の足の骨は本当に折れていただろう。コスト2のエアメイクが使えてよかったよ。本当に。


「その……お詫びをしたいんだけど……」


 ん?別に要らない。だってもう魔導書は貰ったし‥‥。


「ああ、そこまでしなくても良いよ。大けがしたわけでもないし……」


 怪我してたら何か言ったかもしれないけど、幸い何も無かったし。


「え、でも……悪いよ……」


 はあ。変なところで誠実だな‥‥。そうだ。だったら‥‥。


「ちょっとした罰でも良い?アル」


「……え?何をすればいいの……?」


「簡単だよ。今日の失敗をまたしでかさないこと。これが僕が君に与える罰。反省をして、同じ失敗をしないこと。好意の押しつけや有難迷惑になったら、喜ばれるどころか嫌がられるからね。それと、ああいう場面ですぐに逃げたら駄目。分かった?」


 今日のアルの好意はまさに有難迷惑だったし。それを改善させればいいだろう。助けが要らないって言ってる人間に絡んでそのせいで結局邪魔をするのは最悪だしね。それに、失敗をした直後に逃げ出してその被害を受けた人を放置するなんて最低だから。


「うん。……気を付ける。ごめんね、レイ。それと、許してくれてありがとう」


「もう。そんなのいいから食べようよ。ご飯が冷めるよ。アル」


「あ、うん。じゃあ、食べよう!レイ!」

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