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七日目 模擬戦の準備

 レイside

 明日は模擬戦だ。親善試合っていうけど、あの教師が参加を止めたのにそれを無視してまで参加させたってことは相当恐ろしい相手が出るに違いない。さっそく術式を作ったり、改良しないと!今朝魔力を確かめたら、18になってたけど、こんなので足りるか分からない。


「まずは、エアーショットだね」


 遠くに的をイメージし、そこに向かって正確に飛んでいくように作り変えたエアーショット。目にもとまらぬ速さで飛んでいく上に追尾性をつけた風の弾丸なら、おそらく大抵の人はよけられないだろう。でも、その人がよっぽど強かったら・・・。


「もし防御されたら困るから、爆発を起こすタイプを作ろうかな・・・」


 エアーショットの術式をコピーして、作り直していく。当たった時に爆風を発生させる物もあった方が良いだろう。万が一防御されたらエアーショットは隙ができるし。さっそく術式を組んだ。


「さっそく試し撃ちかな?ウィンドボム!」


 エアーショット同様の速度で飛んでいき、着弾したときに小規模な爆発が起きる魔法を作った。コスト1はそのままだけど、リサイクルができない代わりに威力を大幅に上げてみた。万が一防御されてもこれなら大丈夫だろう。


「さて、次はトルネードか。でも・・・」


 容量限界まで詰め込んだからこれ以上の改良は無理だ。でも、似たような違う性質の魔法を作れば・・・。その時のコストは3か。かなり消費が痛いから6発が限度だけど、その分性能は折り紙つきだよね?


 トルネードの術式に付け足すように色々な術式を組み込んでいく。詠唱時間は非常に短く、威力は更に高く、あろうことか自動で追尾までする竜巻魔法。トルネードの欠点をことごとく解消したそれがあれば、絶対に勝てる。これならどんな敵にも負けないだろう。


 持続時間は15秒・・・これはコスト的に無理か。12秒で妥協しよう。効果時間は3秒短くなったが、コスト3で何とか作り終えた。さあ、後はこれを実際に使って確かめるのみだ!


「サイクロン!」


 僕の前に、トルネードの約1.5倍の大竜巻が自在に動き回るという特殊効果もつけ、具現した。その大竜巻は僕が敵が居ると想定したエリアを次から次へとその暴力的威力で破壊し、蹂躙していく。すごい。コストを3に増やしてしまったけど、ここまで改良できるんだ。


「ちょっと魔力が減って来たかも。倒れないように休憩しよう・・・」


 まだ時間はある。落ち着いて、じっくり考えて完成させよう。土学科の人がどれほど強くても、まともに戦えるようになっておかないと。そう考えながら、少し休憩をとることにした。


ーーーー


 ドグラside

 全く、ついに臆病風に吹かれたかメリシア。今の風学科など一体どこを恐れる必要があるのだ。確かに、あのボールは凄かった。それは認めよう。あれは本物のサッカーボールを再現しようとした物だろう。その再現力は認める。だが、この模擬戦にはそんなことは関係ないのだ。あの魔法は、しょせん玩具しか作れないだろう。そういう魔法だ。それに・・・。


「・・・・・・アースショット!」


 ふふふ・・・。クライズの生徒よりも飲み込みが早い生徒を引くとはな。こいつなら絶対に勝てる。いかにあの子供が強くても、それは所詮風学科の中での話だ。わしの生徒に勝てるはずがない。しかしメリシアめ、何をそんなに慌てていたのだ?所詮落ちこぼれの風学科だということを示してやれるいいチャンスではないか・・・。


「よし。アースショットが2秒で撃てる以上、おそらく最速で放てるだろうな」


 いかに風学科が強力な魔法の魔導書を置いてあっても、使いこなせるはずもあるまい。わしの生徒が出来なかった術式改造が出来るわけが無いのだ。こいつはクライズの生徒すらも超えられるほどの逸材なのだからな。


「お前の魔力はいくらだった?」


「はい、12です!この魔法を6発撃てます!」


「ふふふ。6発も撃てれば十分だ・・・」


 一発でも当たれば終わるだろうしな。


ーーーー


 メリシアside

「なんということでしょうか・・・」


 不味い。非常に不味い。セフィナを失脚させるためにあれこれと根回ししたのに、ドグラの馬鹿が最後に余計なことをしたせいで台無しに終わるではありませんか!ドグラは何も知らないからあんな余裕が出せるんです!相手は。トルネードを暴発させるような生徒ですよ!?何をされても、凄まじい惨状を生むに決まっています!最悪、風学科が優秀だなどと言われてしまうかもしれません!


「不味い、不味い、非常に不味い・・・」


 このままでは、また最優秀生徒の称号は風学科に奪われるでしょう。・・・どうすればいいのでしょうか。


「先生?どうしたんですか?」


 ん?この子は確か、感覚型の生徒ですね。まあ、あの子の代わりに出して捨て石にしましょうか。止むをえませんね。


「え、いえ。何もないですよ?それよりも、あなたに明日の模擬戦に参加してもらいます」


「・・・は?あの子でなく、私がですか?普通は最優秀と言われる人を選びますよね?」


 くっ。余計な知恵を持っていましたか。まあ、嘘でも流せば納得するでしょう。


「いいえ。この模擬戦は、魔法の上手な人を選ぶのよ。あの子は確かに勉強は優秀。でも、詠唱は丸暗記だからとにかく遅いの。その点、あなたなら多少は早く詠唱できるでしょう?それに、元々勉強もしていたわよね?」


 まあ、バリアも使えるこいつなら最悪、死にはしないでしょうね。


「・・・・・・分かりました。メリッサの代わりに、私が出ます」


「聞きわけてくれて助かったわ~」


 所詮あなたたちの役目は捨て駒よ。メリッサのプライドを守るためにも、捨て石になってちょうだい。


「じゃあ、今から防御魔法の練習に行ってきます」


「え?ええ。気を付けていってらっしゃいね」


 は?今更練習なんか何で必要なのかしら?どのみち一発で倒されるでしょうに。まあ、わざわざ言うまでも無いことね。


ーーーー


 少女side

 メリッサのために生贄になれ、か。笑わせてくれますね・・・。私が行かなければ、どうせ他の子を生贄に差し出すつもりだったんでしょう。本当にあの教師は馬鹿です。これなら、闇学科の方がましでしたね。


「思いっきり、私が努力することは無駄だと言いたい目でしたね・・・・。風学科の子は初日に医務室で見ましたが、もしあの子がメリシアを震え上がらせる何かを持っているとしたら、それは圧倒的な破壊力ですね」


 そう。メリシアの事だ。規則に縛られて生徒の暴走を芽から摘むせいで、メリッサは未だに中級の魔法が使えない。反対に、私は前もって両親に薬で魔道士として覚醒させられ、その上で前もって色々勉強していたので上級魔法も防御だけなら一応使えます。今日も暇な時間に魔導書の中身を覚えました。


「その結果が、順位をむりやり落とす措置とは呆れます。私にはこの人は何を考えてるのかさっぱり分かりません。勝ちたくないんでしょうか?」


 もしも本気で最優秀生徒を出したいのなら、むしろ私のやった予習や暇な時間の勉強は非常に賞賛されるはずなんですが。防御魔法ばかりとはいえ、これらは非常に優秀なはずです。


「まあ、私にもそんな子と真っ向勝負が出来るとは思ってません。やるからには最善を尽くしますが、私が勝手に覚えた防御魔法で、どこまでその暴力を凌げるのか・・・・・・」


 まあ、考えても無駄です。死ぬ気でやりましょう。私は、いずれ必ず光魔法を極めます。これは今の実力を測るテストだと思って、受けることにしましょうか。


ーーーー


 クライズside

 ・・・まさかドグラが大馬鹿な事をするとはな。参加する気が無かった相手を引き入れたように普通は見えるが、セフィナのあの時の目を見ていなかったのか!?あれは、絶対に勝てるという自信がある時の目だぞ!そのうえ、レイはああいう性格だから、ドグラの言葉を斜め上に解釈して更に物騒なものを持ちこんでくるだろう。あいつはそういう性格だ。素直すぎるがゆえに、相手の歪んだ解釈に全く気付かない。ドグラが過小評価しているのに全く気付かないまま、まじめに修行して強くなるだろう。・・・・今のこいつらでは無理だな。


「風学科が出るって?」


「勝てるわけないよな!あんなのが!」


「俺が負けるなんてありえないぜ!昨日誰よりも早くダークショットを使えるようになったんだ!」


 ・・・あいつはその前にトルネードを覚えたし、今頃はトルネードを改造した物でも作っているだろう。まあ、こいつらの変なプライドを叩き潰すことで多少教育しやすくなるのと、風学科の本当の力を見ることになるのなら、それでも構わないか・・・。


ーーーー


 セフィナside

 やっぱり、レイはドグラの発言をそのまま解釈しちゃってる。いくらなんでも、今のあなたとまともに戦える生徒なんて土学科には居ないでしょうに・・・。


「うーん、ドグラとメリシアに痛い目を見せられる・・・。いや、メリシアはどうせ捨て石を出すよね」


 メリシアが自分のお気に入りを出すなどありえない。あの人は、どうせ勝手にするような子を出してくるはず。


「となると、最大の敵は光学科か。レイの努力も、無駄にはならないかな?」


 勝手にするような相手を出すのなら、当然レイと近い土俵に立てるだろうし。レイも「勝手にしている」状態で強くなってるから。自由な想像力が魔法の鍵だからなあ・・・。


「さてさて、どうなるかな~・・・。レイは負けないけど、一つだけ苦戦するかも」


 闇学科はまだないだろう。光学科は、その生徒の努力次第で粘れるかもしれない。土学科?初めからこっちが勝つに決まってる。問題は例年はトーナメント式の勝負だからなあ。


「トーナメント式だったとして戦うことが出来なかったらどうしようか、だね。光と土。まあ、何かせこい方法を使って戦えるようにするでしょうね」


 そんなことよりも、レイの体調を管理しないとね。魔力切れの前に休んだみたいだから問題は無いけど。


「でもまあ、欠席もとい休学同然の生徒ばっかりだね」


 レイ以外の生徒は居ない。レイはそのせいでか成長が極めて早い。この調子なら、数か月で飛べるようにもなるかもね。・・・ワープはまだ無理だけど。


「さて、明日はどうなるのか・・・頑張ってね、レイ」


 まあ確実に勝てるでしょうけどね。勝手なことをする子供の数にもよるけど。

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