好きなもの
産まれつきの障害で彼女は、足と手が不自由だ。
車椅子で過しているが、自分で車椅子を移動したりする。
彼女は自分のことはちゃんと自分でやる人だ。
彼女の名前は、兼村そら。16歳の高校1年生。
高校1年といっても、高校は定時制の養護クラス。
そらは定時制でも、その学校が好きだった。
「そらちゃん、今度の日曜空いてるかな?」
ある日の休み時間、養護クラスの中島先生がそらに満面な笑顔で聞いてきた。
「もち!空いてるけど、先生彼氏とデートじゃなかったの?」
中島先生とそらの歳は近かった。だから、普段の会話は最近のテレビの話や、
恋愛話、流行りものの話をしていた。
「その話はなくなりました!!今度の日曜、映画観に行かない?」
「全然良いよ!!うちが彼氏じゃなくて先生残念だけどねっ!」
「別にっ!!」
そらは毎日先生との会話が楽しかった。
学校が終わるとそらはバスで家に帰った。
そらにはバスの中での楽しみがあった。
バスの中でいつも読む、恋愛小説。
そらは小説のようの恋愛ができなかった。
自分の障害を恥ずかしく思っていないが、健常者の女の子と同じような
恋愛ができないと自分にブレーキをかけていた。だからそらは、恋愛小説を読む
ということだけで十分と感じていた。
もうひとつの楽しみは、ある男の人を見かけること。
その男の人は、バスが通る、バスケットゴールのある公園でいつもバスケの
練習をしていた。
そらは、バスがその公園を通るたんびに、その男の人見かけていた。
自分に恋愛ができないというブレーキをかけながらも、
その男の人が気になっていた。