君の声を聴かせて
最後の方はちょっとやけくそになっていますm(_ _;)m
すいません(*_*;)
・・それでは、「君の声を聴かせて」です!(><)
よければ読んでいってちょ(+_+)
・・ゆっくりと、自分の指に込める力を強くした。
「君」が、綺麗な声を奏でる。
白く、美しいその姿に、ほ、と見惚れた。
それと真反対の暗闇が君のからだとまざり、月光に反射して、黒く、白く、輝いていた。
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「美春、おはよっ!」
澄んだ可愛い声。
後ろを振り向くと、親友の「鈴原 愛華」が立っていた。
・・相変わらず、綺麗な長い茶色の髪を風に揺らし、クリクリした大きい目でこっちを見つめている。
「愛・・おはよ。」
愛、というのは愛華のあだ名だ。
何と無くそっちの方が呼びやすいのでそう呼んでいる。
「なにー!寝むそうな顔して!・・あ、さては昨日も・・」
「・・・当たり。午前4時くらいまでやってた・・。」
「・・・やっぱりー。もーどんだけ好きなのよ」
「・・・だって・・。楽しいし・・。」
「・・そう言うと思った。」
「・・・アハハ・・」
そう言って笑ってみる。
・・2時間くらいしか寝ていない為、太陽の光が目に沁みてちょっと痛かった。
「・・それじゃー学校行きますか。」
愛華が言う。
私も頷いて、コンクリートの上に足を踏み出した。
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「おはよー。美春。」
クラスに入ると、友達が声をかけてきた。
私も「おはよ。」と返事をして、自分の席に腰を下ろした。
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「おーい、皆席つけー。出席とるぞー。
ーー「李家 美春」-。」
・・担任の先生がクラスにノロノロと入って来て、出席をとり始めた。
ちなみに、「李家 美春」というのは私の名前だ。
苗字の最初が「い」の為、大抵は私が一番最初に呼ばれる。
・・私は「はい。」と適当に返事をして、そのまま机に突っ伏した。
(・・・あーーー。眠・・・。)
・・・ついつい「君」に夢中になって約6時間。
昨晩はずっと「君」と一緒にいた。
月に照らされた「君」にもたれ掛かって、そのまま寝てしまった程だ。
「・・えー。それじゃあ授業始めるぞー・・」
先生の声が遠くの方で聞こえる。
私はウトウトと半分睡眠状態に陥りながら先生の話を聞いた。
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---鐘の音が私の耳に引っかかって、ハッと体を起こす。
目の前には見慣れたクラスメイト達が談笑中。
うっすらぼやけた視界が広がっていて、体は何と無くスッキリしている。
・・そこで自分が寝ていた事に気が付いた。
(あ、ヤバ・・授業全然聞いてなかった・・)
私はそう思いながら肩を回して、軽く背伸びをした。
肩からコキッという良い音がして、ちょっと気持ちよかった。
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・・・「美春ー、ご飯食べよー!」
そう言って私の机の前にやって来たのは愛華。
ニコニコしながらこっちを見ている。
「・・あ、うん。勿論」
私もそう言って笑い返す。
私達は机を繋げて、お弁当を取り出した。
「・・う~ん、美味しい!あ~授業肩凝った~!」
愛華が肩をトントンと叩きながらそう言った。
「ハイハイそうですねお婆ちゃん。」
「・・あ、言ったね、このピチピチ女子高生に「お婆ちゃん」って言ったね。」
「・・アハハ、ごめん、冗談だよ」
「・・イヤイヤちゃんと聞きましたよ、お婆ちゃんって言ったね?」
「・・ちょ、愛華、なんか怖いって。」
「・・言ったね」
「わ、ゴメン、ほんと嘘だから。」
「・・お婆ちゃんかぁ・・。へ~お婆ちゃんかぁ・・・」
「ちょ、愛華さん、オーラーどす黒いから。マジビビるから。」
「え?何のこと?お婆ちゃんの私に何か言った?」
「ゴメンゴメン、冗談が過ぎました。はい、スイマセン。」
「・・まぁ良いでしょう、オホン。」
「・・はは、良かった。」
「・・・・それにしても、お弁当旨か~。」
「何人だよ。」
「へ?ナニが・・・。」
「いや、その喋り方。「うまか~」だって。最近の女子高生が「うまか~」だって。」
「ム。何よ。」
「ん~、いや、何でも~?」
「・・うわ、ムカツク。マジムカツク。」
「あはは、ゴメン」
「・・美春・・授業中絶対寝てたでしょ。」
「・・ギク。・・何で分かったの。」
「明らかに朝とテンションが違う。朝はもっと眠そうで元気無かった。」
「さすが愛華さん。ちゃんとわかっていらっしゃる。」
「イヤ~それ程でも~、・・って、イヤイヤイヤ、私以外の人でも絶対分かるから。かなり違うから。」
「え、そんなに違う?」
「違う違う。」
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そんな話をしながらご飯を食べていると、あっという間に鐘が鳴り、愛華は「じゃ、またねー」と言って席に戻ってしまった。
ーーー・・次の授業からは絶対寝ないと思いつつ、数学の先生のゆったりとした口調により、結局暴睡した。
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「ただいまー。」
帰宅部の私は夕方頃に家に着いた。
勿論家には誰もいない。
両親共々仕事中だ。
一応分かっているものの、やっぱり「ただいま」と言ってしまう。
日本人の血かなんかなのだろうか。
---制服を脱いで私服に着替える。
今日は紫とすみれ色がストライプ模様になっているボーダーに、白い上着を合わせている。
ちなみに下は普通のジーパンだ。
・・別に、オシャレでも無く、ダサくも無い普通の格好で私は廊下を歩いた。
「君」に会いに。
---廊下の突き当たりを曲がって、少し歩くと木でできたドアが見える。
・・ここが、「君」の居る場所だ。
ドアを開けて中に入る。
いつもの様に、「君」はそこに居た。
「・・さ、今日も弾きますか。」
そう言って腕を捲る。
・・・もう分かった人もいるかもしれない。
ーーそう、私の言う「君」は自分家にあるグランドピアノの事だ。
ーーー黒いイスに座り、「君」とほど良い距離をつくる。
近すぎず、離れすぎず、だ。
そして傍にある本棚から楽譜を取り出す。
今回弾く曲は・・うん、ショパンの「子守唄 変ニ長調:No57」にしよう。
---姿勢を正して、もう一度座りなおす。
ペダルに足を近づけて、深呼吸。
頭の中でリズムをつけて、指に、優しく力を込めた。
---最初はゆっくり、なめらかに。
優しく、低く、音を重ねて。
右手は少しでも音が響く様に、気持ちを込めて鍵盤を押す。
左手は流れる様に、リズムを崩さず機械になったつもりで。
リズムを早くして、・・でも乱暴にならないように。
早く、優しく、丁寧に弾いていく。
---リズムを戻してまた丁寧に弾く。
ちょっと間違えたけど仕様がない。
ミスを無視して、集中を目と手だけに集める。
---穏やかに、最後の一節を弾いて、余韻を軽く残し、ペダルを切った。
とりあえず、腕を膝に置いて、もう一回深呼吸。
昨日(いや、綿密にいえば今日)の夜に弾いたばかりだというのにも関わらず、やはりピアノを弾くのは楽しかった。
・・・「楽しかった」という言い方はちょっと違う気もする・・・。
「楽しい」というより、何か達成感がある、何か気持ち良いっていうか・・
何ともいえない快感が身体の中に突き抜けるのだ。
そう思いながら、次に弾く曲を選ぶ。今度はショパンの「ポロネーズ #6 変イ長調 op53『英雄』」に決めた。
・・私が、初めて弾いたクラシックの曲だ。
忘れたくないので、毎日一回は弾く様にしている。
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「入るわよ?」
ノックと共に聞こえたお母さんの声。
私は我に帰って、すぐにドアを開けた。
「・・何?」
そう尋ねると、「夕飯よ」とお母さんが言った。
「・・さっきから何度呼んでもこないから・・やっぱりここにいたのね。」
「あ、うん。」
・・ここの部屋はピアノの為に特別な造りになっている為、外からの声も内からの音も聞こえないし、漏れないのだ。
その為、お母さんが呼んでもこの部屋には全く聞こえない。
・・まあ、夜中にピアノを弾いても迷惑にならないから凄く助かっているんだけど。
「お父さんも待ってるわよ。急いで。」
「うん、ゴメンゴメン。」
そう言って、ピアノに赤い布を被せ、電気を消した。
そしてドアを閉めてリビングへと駆け足で向かった。
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「珍しいね、お父さんも一緒に夕飯食べるなんて。」
サラダを摘みながら私が言うと、「今日は会社が早く終わったんだ。」とお父さんが答えた。
私は「ふーん」と言って、サラダを口に中に入れた。
「・・あ、コレ美味しい。」
「でしょ?お隣の石川さんに頂いたの。「ジョセフィーヌ」っていうドレッシング。」
「え!「ジョセフィーヌ」?!」
「そう。ジョセフィーヌ。」
「・・何かアメリカの台風の名前みたいね。」
「あはは、確かに。」
ーーーそんな雑談をして、いつもの様に笑いあう。
本当に平凡で、だけど、幸せな時間の一つだと思う。
ーーそれから夕飯をすませてリビングから出る。
---これからどうしようかな~と思いながらとりあえず自分の部屋へ。
そういえば宿題があった事を思い出し、教科書とノートを机に広げた。
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ーー・・どれくらい時間が経ったんだろう。
ふと目を覚ますと目の前に机があった。
少しぼやけた視界・・何かコレ、さっきも体験したような・・。
急いで時計を見ると0:15。
ぐっすり寝てしまった様だ。
しかも、ノートに小さな水溜りが出来ている。
(・・わ!やば!よだれ垂らしちゃった!!!)
急いで洋服の袖でノートの表面を拭く。
ちょっと恥ずかしかった。
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--とりあえず、お風呂と歯磨きをすませて、背伸びをする。
不思議な事に、目はパッチリ冴えていた。
ーー・・自然に、足が動く。
廊下の突き当たりを曲がって・・・木でできたドアまで来てしまった。
・・別に、眠くもなくなってしまったので、ドアを開け、中に入る。
--月に照らされた「君」が、私の事を待っていた。
「早く弾きなよ。」
そう言っている様にも感じた。
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黒いイスに座り、鍵盤に触れる。
少し冷えた鍵盤が気持ちよかった。
・・早速これから弾く曲を探す。
・・ラヴェルの「亡き王女の為のパヴァーヌ」に決めて、早速弾く事にした。
・・この曲は、私の大好きな曲だ。
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ーー出だしをゆっくりと弾き始める。
ゆっくり、悲しく、愛を込めて・・。
弾きながら、メロディーが涙を零している様に感じた。
だけど、それはただ悲しいだけじゃなくて、気品や、上品ささえも感じられる涙・・。
・・だから、私はこの曲が好きだ。
優しくて、悲しくて、何よりも、愛が詰まっていると思うから。
---今日は一段と月がサービスしてくれていて、天井についているガラス窓から月光が差し込んできた。
その美しい光に輝く鍵盤に少しだけ見惚れながら、私はペダルをきって、指を鍵盤から離した。
顔を上げてガラス窓の外を見ると金色に輝く満月が優しく光っていて、ちょっとだけ眩しかった。
楽譜を閉じて、目を瞑る。
ピアノと自分が一緒になった気分に陥って、凄く気分が良かった。
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ーーこれが私の平凡な毎日。
・・平凡だけど、キラキラ輝いている、大切な毎日。
そんな日々を送れるのは、やっぱり「君」が居るから。
ありがとう、そう君に伝えるよ。
ーーー君の声を、今日もまた聴かせて。
・・ひ~。
凄い駄作っぷり!
何かもう開き直っちゃってる感じです★
ここまで読んでくださった読者様!!!
本当に本当に有難うございます!m(_ _)m