悪役令嬢脱獄物語
カンカンカン。
静謐な法廷に裁きの決定を報せる木槌の音が響き渡った。
「――以上の理由により、ダフネ・ブランをストレイム刑務所へ収監する」
イドリア王国歴666年6月6日。
永くイドリア王家を支えた大家、ブラン公爵家の令嬢が、凶悪犯のみを収容する王国で最も苛酷で警備の厳しい刑務所へ送られるという判決が下された。処罰の内容は懲役300年。断首こそ免れたが実質死刑と同じだった。
「陛下、王子っ、お待ちくださいっ。わたくしはルドルフ王子のことを想って……ただ、あなたに色目を使う女を、下心を持ってあなたに近づく女を遠ざけようとしただけなの。だからあれは本当に事故でっ、ささやかな悪戯で――」
被告人席で若く美しい女が泣き崩れる。
傍聴席に同情して異議を唱える者はいない。むしろ、判決がぬるすぎると罵声が飛び交う。
彼女にどれ程の悪意があったかは定かでないが、彼女のせいで顔に火傷や疵を負った者、見知らぬ男達に辱められて心を病んだ者……果ては複数の死者まで出ているのだ。公爵家の娘だから、王子の婚約者候補だからと判決に手心を加えては国民の信用を失う。
「ああっ、どうしてわたくしはあんなことを……どうして……ごめんなさい、ごめんなさい、こんなことになるなら……嫌がらせなんてしなかったのに……」
女は衛兵に腕を掴まれて法廷から退出する。
皆が安堵した表情で、これでよかったのだ、もう全て終わったのだと見送る。
しかし、彼らは分かっていなかった。
彼女が口にした悔恨の理由を。
「こんなことに……こんなことになるなら……子供じみた嫌がらせなどせず、一人残らず息の根を止めて差しあげたのに……」
ダフネ・ブラン。
彼女はひと欠けらの善意すら持たない女。
生まれた時から心に悪魔を飼っている生粋の悪女だった。
◇
政治犯、盗賊団の頭、マフィアのボスといった名立たる犯罪者が集まるストレイム女性刑務所。そこに収容される彼女達に共通するものと言えば、現支配体制への不満だろう。彼女達は例外なく王家と貴族へ恨みを抱いている。このことを理解している王侯貴族は、ダフネが受刑者に迫害されて大人しくなると踏んでいた。
これが彼らにとって最初の間違いだった。
「わたくしこそがこの国の正当なる王なのに、どうしてみんな逆らうの? 普通、一目見れば、地に額を擦りつけて、わたくしを崇めるべき存在だと理解できるはずでしょう? その程度のことも分からない愚鈍なんてこの国に必要ないわ」
「ぐあ゙あああぁ、謝ります、謝りますからッ、どうかお助けくださいッ」
刑務所生活一日目。
新入りには先ず初めに、暴力で上下関係を叩き込むのが刑務所の習わしだ。
しかし、ダフネはほぼ無傷。逆に彼女の足下には多くの受刑者が血塗れで転がされていた。
「ねぇ、勝てると思った? 貴族の娘なんて何もできないと思った?」
ごきっ、鈍い音が響いた。
飛び出た骨が血管を裂き、女の悲鳴と血だまりが広がる。
「血で劣り、教育すら受けていない下民が、全てにおいて人の上に立つよう教えられてきたわたくしにどうして勝てると思ったの? ほら、助けてほしかったら命乞いをなさい。髪の毛一本残さず、血の一滴まで捧げると誓うなら許してあげてもいいのよ」
ダフネ・ブランは強かった。
誰よりも強く在れと育てられてきた。
彼女は多くの政敵を持つ親のせいで、幼い頃から幾度も命の危機に立たされている。敵は殺してもいい。むしろ、敵に容赦してはいけない。身を守ってくれる騎士がいない時は、自らの手で自分を守らなければならないと教わってきた。
護衛の騎士が襲ってきた賊から情報を聞き出そうと拷問するところに立ち会ったこともある。彼女は肉体的に強いだけでなく、そこらの犯罪者など比較にならないほど暴力に慣れていた。
そして何より、彼女はイドリア王国の全てを自分の所有物だと思っている。
それはつまり誰に何をしても良いということだ。
未来のためなら何人でも犠牲にしてみせると度の過ぎた正義を持った政治犯も、数え切れぬほどの村々を燃やし略奪を繰り返した盗賊も、マフィアのボスの隣で弱き民が人生を奪われる姿を笑いながら見てきた毒婦も、天井知らずなダフネの傲慢な悪意には敵わなかった。
投獄初日にして、受刑者の中でも全体の一割をまとめるマフィアのグループがダフネに屈服した。公爵家からの手厚い支援もあり、その後も勢力を伸ばし続ける。彼女にとっては目障りな蝿を払っていただけなのだが、気づけば一年と経たずに、千人もの凶悪犯を抱えるストレイム刑務所を手中に収めていた。断罪されて大人しくなると考えられていた女は、刑務所を小さな王国へ変えてしまったのだ。ダフネに有罪判決を求めた誰もが、真の悪党にだけ通ずる悪のカリスマを理解できていなかったのである。
刑務所というのは犯罪者に罰を与える場所のはずだが、現実はそうもいかない。確かに犯罪者を収容する施設として最低限の体面は保たれているだろう。しかし、受刑者が規則通りの制限を受けているとは限らない。
「今年のワインは駄目ね。これを作った畑は潰した方がよいのではないかしら」
自分の王国となったストレイム刑務所の中で、ダフネは優雅に酒を楽しむことができた。
刑務所の中には、外に対して様々な伝手を持つ人間がいる。ダフネのような貴族や資産家の娘、組織犯罪に手を染めていた女は外に多くの手駒がいるのだ。如何に犯罪者に厳しいと知られるストレイムの刑務官でも、複数の受刑者から実家へ贈り物が届いたり、「家族がどうなってもいいのか」と脅されれば、刑務所内に多少の禁制品が紛れ込んだとしても見逃すほかない。ダフネが一言「欲しい」と言えば、大抵の物は手に入った。
「目つきが生意気よ。気分が悪くなるからわたくしの視界に入らないでちょうだい」
ダフネ以降に入ってきた受刑者は、暴力による洗礼では収まらなかった。彼女が一言「気に食わない」と言えば、その者の命はない。刑務作業中の事故という体で存在を消されてしまう。
刑務所内の暴力と物資の全てが、一度ダフネの下に集められる。彼女からの分配がなくては何も動かせなくなる。これにより、悪女の王国は日を追うごとに盤石なものとなっていった。願いを叶えられるという意味で言えば、公爵家の屋敷にいた頃より巨大な力を得ていたと言えるだろう。
それでも、ダフネは満足しない。
なぜならダフネにとって最も欲しい物は玉座だからだ。
ダフネはルドルフ王子を愛していなかった。邪魔者を排除してまで王子との結婚を望んだのは、それが彼女にとって国を取り返すために必要な手段だったからにすぎない。
現イドリア王家とブラン公爵家の関係は、微妙なバランスの上に成立している。血筋を辿るなら、元々はブラン公爵家の方が王家の本流だ。それが100年前、王の直系が幼い王女ひとりを残して全て流行り病で亡くなり、王弟が王位を継ぐことになった。その王女が成人しても玉座が返されることはなかった。
つまり、現王族は流行り病を利用して王位を簒奪した盗人でしかない。ダフネこそが玉座にすわるべき女王なのだ。ブラン一族の女は、母も祖母も曾祖母も、代々そう考えて生きていた。
「そろそろここを出て、あの盗人達にわからせてやるべきかしら」
「流石にストレイムから脱獄するのは難しいかと思いますが」
ダフネが無茶を言うと、一番の側近であるローレルが諫める。
彼女はダフネが投獄されたその日に傘下へ下ったマフィアのボスである。
ローレルが最もダフネに対して意見を述べられる立場なのだが、それでも完全に説得まではできない。ダフネは玉座への執着を捨てられない。
ダフネがいつまで刑務所などという場所に留まればいいのか苦悩していると、外からその背中を押してしまう者が現れる――聖女オリビアだ。
ただ祈るだけで病も怪我も治してしまうという聖女。
自分には無い“特別”を持つオリビアを、ダフネは気味が悪いと思う。
なぜ自分に無い物を持つ人間がいるのか。それが神の与えた力だというなら、正当な王である自分に力を与えない神とやらは、何と無能で愚かなことか――ダフネは神や神を崇める人間を嫌っていた。
存在すら許せない圧倒的嫌悪。それに加え、聖女オリビアは裁判においてダフネに不利な証言をし、有罪へと導いた敵であった。そんな女がある日ダフネの下へ面会に来た。
「何? わたくしを笑いに来たの?」
開口一番、オリビアへ憎しみを向けるダフネを見て、彼女は悲しげな顔をした。
オリビアは現在のストレイム刑務所の様子を聞き、ダフネと分かり合えると思って訪ねてきたのだ。
ストレイム刑務所では、毎年激しい暴動が起こり、幾人もの刑務官が亡くなっている。それが、ダフネが投獄されてから突然嵐が去ったかのように静かになった。オリビアはそれを、きっとダフネが受刑者に対して愚かな争いをやめるように説いたのだと考えた。
良い意味にしろ悪い意味にしろ、それだけの影響力を持つ人間は、オリビアの知る限りダフネしかいない。
「あなたって、ほんとお花畑……いいえ、気持ち悪いくらい偽善者よね。どうせ裁判で見せたわたくしの涙が偽物だってことも分かっているのでしょう」
「そんなことは、私は貴方とももっと言葉を交わしていればと思って」
「ほんっと呆れる。ずっと見て見ぬ振りをしていたくせに……。聞いてるわよ、国王が王子との婚約を教会に打診しているって。あなたもずっと王妃の座を狙っていたのよね。効率良くわたくしを追い落として、自分が成り上がれるタイミングを計っていたのよね? まあ、コソ泥に泥棒猫が嫁ぐなんてお似合いすぎて滑稽だけど」
オリビアがどれだけ真摯に歩み寄ろうとしてもダフネには届かない。
邪悪は誰とも慣れ合わない。
何も分かち合わない。
彼女は支配や搾取といった一方通行な関係しか持ち得ないのだ。
それに気づいたオリビアの目から涙があふれる。
「ねえ、なんで泣くの? 泣きたいのはわたくしの方よ。聖女が人民を救う存在だというなら、まずわたくしを救いなさいよ」
「で、でもあなたは罪を犯した。大勢の人を傷つけた」
「傷つけた? だから何なの? それにそれを言うならあなたの方が悪質でしょうに。わたくしが刑務所にいることで公爵家と王家がどういう状況になっているか分かってる? 多くの政策が滞り、他国から攻撃される隙が生まれた。王家に反発する勢力は力を強め、数年以内に内乱が起こるかもしれない……きっと、わたくしのした事の何万倍も不幸になる人間が増えるでしょうね。そうなったらすべてあなたのせいよ? より多くを救いたいというなら、あなたはわたくしを支持すべきだった。わたくしにひれ伏し、わたくしのために生きるべきだったのよ。教会に聖女だなんて祭り上げられて調子に乗って……政治も何も知らない下民が国政の中枢に意見したところで邪魔になるだけに決まってるじゃない。そんなこともわからないの? あなたが王子にお尻を擦りつけるだけの雌猫じゃなくて、せめて猿並の知能でもあれば、イドリア王国が荒れることはなかったのに」
オリビアは言い返す間もなく、まくし立てられて黙ってしまう。いつの間にか膝の上で握られていた拳もほどかれ、今にも吐きそうなほど真っ青になっていた。心優しい聖女にとって、これほど強い悪意にあてられた事などなかったのだ。
これ以上の話し合いは無駄だと判断した付き添いの聖騎士が、オリビアを強引に面会室から連れ出す。
「待ちなさいっ! 都合が悪くなったら逃げるの!? この卑怯者! 善人面して人を死へ追いやる偽善者が! わたくしをここから出しなさい! 聖女ならわたくしのことも救ってみせなさいよおおおお!!」
ダフネと分かり合うというオリビアの想い。ダフネを利用してヒビの入った王家と公爵家の間を取り持つという教会の企みは失敗に終わった。しかし、オリビアはダフネにある物を与えることに成功していた。
屈辱だ。
どれだけ刑務所内で幅を利かせようが、聖女を言い負かせようが泣かせようが、檻の中にいるのはダフネだ。鉄格子に自由を奪われているのはダフネなのだ。そしてあと一年もすれば、オリビアはダフネの代わりに玉座へと近づくことになる。
「誰でもいいから早くわたくしをここから出しなさい。あんな衆愚政治の権化みたいな女に、わたくしの国を好き勝手させてなるものですかッ」
聖女との面会はダフネの怒りを増幅させ、脱獄へ決意させた。
ヒステリックな叫びが毎日のように刑務所で木霊する。
しかしやはりというか、ストレイム刑務所からの脱獄は無理難題である。
囚人が刑務所から出る方法は大きく分けて六つ考えられる。
① 看守に変装し堂々と正門から抜ける
② 外部から襲撃させ騒ぎに紛れて逃亡する
③ 内部の受刑者で暴動を起こし正面突破する
④ 塀を乗り越える
⑤ 穴を掘って地下下水道から脱出する
⑥ 死体や廃棄物に扮して外へ運び出させる
①は博打の要素が強すぎる。その上、外をうろついている警邏は刑務所とは別の指示系統にある騎士団なため、買収も巡回の予定を入手するのも不可能だ。愚かな案を出した女は刑務官から奪った鞭で打たれた。皮膚が裂けて化膿した背中の痛みで、一ヵ月は眠れぬ夜を過ごすだろう。
②と③はダフネに支配されている受刑者であっても賛同できなかった。ストレイム刑務所に収容されている者は、二割以上が死刑を待っているか死ぬまで出られない危険な犯罪者だ。集団で脱獄を謀ったとなれば、鎮圧にきた騎士団は捕縛でなく殺害を前提としてやってくる。
ストレイム刑務所は高さ30mを越える壁が二重になっている。また、夜間でも見張りの目が絶えない。①同様に外部の警邏もあり、④は不可能だとされた。この案を出した女も鞭で打たれる羽目になった。
⑤と⑥はダフネが汚物に塗れるような案を受け入れるはずがない――と案を思いついた者がダフネには伝えさせず没にした。馬鹿なことを言って鞭で打たれることを恐れたのだ。
側近である幹部が集合しても良い案は出てこない。時間が経つにつれてダフネの機嫌が悪くなるため、時間稼ぎをする必要があった。しかし、これが逆にダフネを激怒させることになる。
とある幹部の部下がご機嫌取りにと、ダフネへ有罪判決を下した裁判官達を暗殺したのだ。そのせいで関連を疑われたストレイム刑務所の警備が増員される。単純に塀を越えられたとしても、その後の逃亡はより難しくなった。
慌てた幹部達は、次に貢ぎ物を増やすことにした。
ストレイム刑務所に捕まっている各犯罪組織のボスが、貢ぎ物が足りないと猛り狂っている――そのような噂が流れると同時に、国内では略奪行為が横行して治安が荒れた。ただ、その甲斐あってかダフネの機嫌は少し良くなった。
そして集められた貢ぎ物の中に、ある曰くつきの手鏡があった。
「みすぼらしい鏡……誰よ、こんなゴミを持ってきたのは」
初め、ダフネは真っ黒で鏡面のくすんだ手鏡を見て怒りを露わにした。自分のような高貴な者には相応しくない贈り物だ。しかし、床へ叩きつけられる寸前、鏡を持ってきたローレルがダフネを止める。
「それは200年前、世界で最も醜いと言われた魔女の作った鏡にございます」
「余計最悪じゃない。持ってるだけでわたくしの美貌までくすみそうだわ」
「ですが、その鏡には魔女の呪いの力が込められているのです」
イドリア王国に伝わる魔女の御伽噺がある。
その魔女は心優しい娘でありながら、生まれた時から顔に焼けただれたような痣があった。その醜さのせいで親から捨てられた。どこの土地へ移っても、その醜さ故に石を投げられた。それでも魔女は人々のために尽くした。病を治す薬を煎じ、人々を害する魔獣と戦った。魔女は傷つきながらも人々を救うために旅を続けた。その旅の果てで、魔女は偉大な精霊と出会う。精霊は魔女の優しさに心を打たれて顔の痣を消してやった。すると、魔女は誰もが見惚れるような美女へと変貌する。最後は、むかし魔女に助けられた大国の王子と結ばれて幸せになった、という話だ。
「真実は違います。魔女は大陸を巡り、呪いの力で世界で最も美しいとされた美姫の顔を奪ったのです。呪文を唱えて相手の顔を鏡の中へ移し、次に鏡に映った者へ奪った顔を移す。それが鏡の力なのだそうです」
「……御伽噺よね?」
ローレルはにやりと自信ありげに笑う。
聖女や魔女というのは数百年に一度生まれるという奇跡の存在。多くの者は死ぬまで一度も会う事すらないのが普通だ。彼女達は御伽噺の中の住人であり、魔術や呪いは実在しているものの、迷信として扱われるのが一般的だった。
「とはいえ、今は聖女オリビアもいるわけだし魔女だって……」
じっと手鏡を見つめる。魔女の魔力というものだろうか。まるでダフネのためにあしらえられたかのように手に馴染む。ローレルの話は真実で、この黒い鏡は間違いなく呪いの鏡なのだと確信が湧いてくる。
「これがあれば……でも、一応試したいわ。誰か顔を寄越しなさい」
「魔女の魔力はあまり残っておらず、使用は二回が限度だとのことです」
「あらそうなの。二回じゃ使いどころが難しいわね」
ダフネは教わった呪文を唱えようとしてやめた。
顔を剥がれるのかと恐れた幹部達が安堵の息を吐く。
顔を奪うのであれば一回はオリビアだろう。先月、聖女と王子の婚約が公に発表された。顔を奪いオリビアと入れ替われば、玉座は手に入れたも同然だ。それに、顔の系統こそ違うものの、オリビアはダフネに負けぬほどの美貌を持っている。しかし、そうなると残りは一回。無駄に使用はできない。
鏡を手に入れ、ダフネは改めて脱獄計画を考える。
呪いの鏡を使って刑務官の顔を奪えば脱出は容易だ。しかし、今はダフネに従っている受刑者達も、ダフネが一人で脱出することを許すだろうか。答えは考えるまでもなく否である。
仮に、オリビアと入れ替えって王妃になれた場合にしろ、これまでの見返りをどうやって渡すのか。顔を変えて外に出てしまえば、囚人達とは完全に縁を切れる。ダフネを見張る者を近くに置かなければ囚人達の信用は得られない。鏡の秘密を知る者達の口を塞ぎ、協力させる餌がなくてはダフネ自身も部下を信用できない。脱獄を謀るのなら、少なくとも刑務所内で下を抑えられる力を持った幹部達も一緒に連れて行かざるを得ないのだ。
結論として、鏡は脱獄自体には使えない。一度きりの時間稼ぎや何かを手に入れるために刑務官と入れ替わるのは有りだが、呪いの鏡を主体にした方法で脱獄することはできない。
悩み抜いた末、ダフネは以前、幹部達が口を噤んだ方法『地下下水道から脱出する』という案を自ら言い出した。
まさか本人の口からその案が出るとは思っていなかった幹部達は、あごが外れそうなほど大口を開けていた。ダフネは刑務所の中ですら、足が汚れるから自分の行動範囲には絨毯を敷けと無茶を言う潔癖な女なのだ。
「わたくし、これでも一途なの。ここから出るためなら何でもするわ」
「は? それは聖女と入れ替わって王子と結婚するために、という意味ですか」
「そうよ」
それほどまでに本気で王子と結婚したいと思っていたのか。この女が、人並みに淡い恋心など持ち合わせていたのか。ただ悪魔の様に強欲なだけの女じゃなかったのか――幹部達が疑いの視線を向ける。
「聞いたことない? 社交界にデビューした頃のわたくしのあだ名、悪役令嬢なんて呼ばれていたんだから」
ダフネの冗談?を受けて、幹部達は腹を抱えて大声を上げた。
悪役令嬢――恋物語などでヒロインを妨害する性悪な貴族女として出てくる定番の悪役だ。時に愛する人を奪われまいと、時に激しい嫉妬に駆られ、ヒロインに対してあの手この手で嫌がらせをしてくる。
しかし、物語に出てくる悪役令嬢など、ストレイム刑務所の囚人達からすれば子供のお遊戯。むしろ、愛する人を絶対に裏切らないほど一途で、愛する人のためなら手を汚す覚悟も持ったイイ女にしか見えない。
たとえば彼女達に「悪役令嬢は悪妻となるか」と聞いたら、声を揃えて「こんな使い勝手のいい嫁はいねえ」と答えるだろう。正真正銘の悪女であるダフネとはまったく別の生き物だ。幹部達はダフネが冗談を言ったのだと思った。
ダフネの心の伴侶、それはイドリア王国そのもの。この国の玉座であり、王子は付属品であれど、冗談など言っていないとは誰も気づいていなかった。
脱獄方法が決まってからの幹部達は忙しかった。一年後に控えた聖女と王子の結婚式、それまでにダフネが外へ出たいと言ったからだ。自覚無き偽善者が権力を握ってしまえば、馬鹿げた政策で際限なく国庫が浪費されてしまうと考えたダフネは脱獄を急いだ。
脱獄計画を知る者は少ない方がいい。それに地下下水道までの道を掘るには、音や振動を誤魔化せる昼の刑務作業中にやらなければならない。ダフネ本人は指示を出すだけで何の作業もしないため、脱獄に勧誘された幹部九人は、自分達の手で過酷な重労働をさせられることとなった。
ダフネの前以外ではふんぞり返っていた幹部達にとって、久しぶりの労働はかなり堪えた。地面を掘った土石なども、人目を避けて少しずつ運動場や石畳で舗装されてない通路に撒いて処分しなければならなかった。部下達からは疑いの目を向けられ、こそこそと何やら隠れて活動するボスに反抗する者も現れた。しかし、それでも幹部達は黙々と自由への道を掘り進めた。そして聖女と王子の結婚式の一週間前になって、ようやく地下下水道への道が開通した。
脱獄決行日、深夜――
この夜は特に静かだった。刑務所では、就寝時間を過ぎると刑務官が一時間に一度の見回りをするブーツ以外の音が消える。囚人の中には、たまに夜中でも奇声を上げて暴れる頭のおかしい者もいるが、そうした者は今日に備えていなくなってもらった。全員、何かしらの罪を偽装して懲罰房送りとなっている。
幹部の一人が手製の合鍵を使ってダフネの牢を開ける。見回りの刑務官に見つからぬよう、ダフネ達は地下への道を掘った倉庫へと移動した。
「ここから先に進んだら引き返せないわよ」
幹部達が無言で頷いたのを確認して、ダフネ達は地下道へと飛び込んだ。
地下道は、場所によっては地面が硬くしっかりと掘れていなかった。通路とは呼べない狭い穴倉のような所もあった。ところどころで胸やらおしりやらが引っかかる。どこか服が破けて素肌が曝されているかもしれない。ダフネにとってそんなボロを纏うなど屈辱でしかなかったが、背に腹は代えられぬとひたすら前へ進む。
しばらくして、先頭の者が下水道へと降り立った。ゆったりと流れる汚泥の気持ち悪さに悲鳴を上げたくなるが、全員が息を殺し音を立てぬよう静かに歩く。
「こっちだ! 囚人がいたぞ、捕まえろ!」
突然、横道の奥からランタンの灯りで囚人達の影が照らし出された。
怒声と共に警棒を持った三人の刑務官が走ってくる。
「看守っ!? なんで地下に看守がいるんだよ!?」
「いいから走れッ」
「相手は三人だ! ここで殺っちまった方がいい!」
「抵抗するな囚人ども! おとなしく刑務所へ戻れ!」
追いつかれそうになった幹部の一人、バーバラは隠し持っていたナイフで刑務官の首を突き刺した。仲間をやられた残りの刑務官達は激高してバーバラへ殴りかかる。すぐに他の囚人が救援に入ったが、助け出された時、バーバラはすでに頭を割られてまともに走れない状態だった。
「わりぃバーバラ、あんたはここまでだ」
「ペラペラおしゃべりされちゃマズいんでね」
「待っ、やめろ、助け――」
暗闇の中で誰かがバーバラの胸にナイフを突き立てた。お荷物を抱えていては逃げ切れない。かと言って、ここに置いて行けば、捕まったバーバラが治療や減刑を取り引きに、今後の逃走計画を漏らすかもしれない。
バーバラと刑務官三人の死体をその場に捨て、残った囚人達は増援に追いつかれないよう走り続ける。
ここまで誰も余計な騒ぎは立てなかった。細心の注意を払って来たはずだ。計画は完璧だった。部屋の見回りも、深夜に扉を開けてまで囚人の所在を確認しない。鉄格子の外から覗く程度なら、他の囚人の髪を使ったカツラを被せた人形の頭で、朝まで誤魔化せているはずなのだ。
「くそっ、あいつら、どうやって脱獄に気づいた……」
息が続かなくなるまで走ってから、ダフネ達は休憩を取っていた。
地下下水道は空気薄い上に汚物の悪臭で呼吸が持たない。
しかし、地下下水道は入り組んだ迷路のようになっている。刑務官も通路を把握しておらず、多少休みを入れても追いつかれる心配はないだろう。
「やられたのはバーバラだけか。看守を殺ったやつ、怪我してねえよな」
「…………おい、カレンもいないぞ」
「いや、あの時あそこに置いてきたのはバーバラだけだ。……つうか、カレンを最後に見たのいつだ? 誰か、あいつが下水道に降りたの見たか?」
仲間の安否を確認する。ろうそくの火で周囲を照らすと、全部で十人いたはずの脱獄メンバーが八人しかいなかった。バーバラは刑務官と戦闘になった場所へ置いてきた。もう一人、最後尾で殿をしていたはずのカレンがついてきていない。最初に下水道へ通じる地下道に入る時以降、誰もカレンを見ていなかったのだ。
「あのクソアマ! アタイらを売りやがったんだ!」
「でもなんでカレンのやつが裏切んだよッ」
「決まってんだろ、ダフネ様の後釜に座るためだ! ふざけやがって……ダフネ様、戻ってあの女ブチ殺しましょう!」
怒り狂った幹部の一人がダフネに進言する。
しかし、ダフネは首を横へ振った。
「あれは仲間想いな女よ。きっと何かあって捕まってしまっただけ。今は仲間を疑うより、先を急ぎましょう」
リーダーであるダフネが冷静に言うと、八人は足を速めて再び歩き出した。
それに、ダフネの後釜を狙うにしては密告のタイミングが不自然だった。早すぎるのだ。ダフネの築いた権力を引き継ぎたいのなら、死んでもらった方が都合がいい。刑務官は捕まえようとして追ってくるだけだが、騎士団が動けば逃走劇は生死不問の殺し合いへ変わる。密告をするタイミングは、地下下水道を抜けて刑務所の敷地外へ出た頃を見計らうのがベストだ。そうすれば、追っ手は騎士団の管轄となりダフネ達の死亡する確率は格段に上がるのだから。
実際、カレンは仲間想いの囚人だった。
カレンは確かにダフネ達を裏切った。この時、カレンは捕まっていたのではなく、自ら投降して脱獄計画の一部を密告していた。しかし目的は、ダフネの王国を奪うためではなかった。
カレンは直前まで一緒に逃げるか密告するか本気で悩んでいた。彼女はダフネに、ストレイム刑務所に残ってもらいたかっただけなのだ。
元々カレンはマフィアの一味でも盗賊団でも政治結社の一員でもない。
彼女が刑務所に入ったのは8才の時。孤児だった彼女は何も知らずいつものようにスリをして日銭を稼いでいた。偶然、財布をスッた相手がお忍びで町に遊びに来ていた貴族の子供で、財布を取り返そうと追ってきたその子供を突き飛ばしたら、運悪く馬車に轢かれて相手が死んでしまった。
その後、カレンは刑務所に入ってから、バックに犯罪組織を持たない立場の弱い犯罪者の集団に救われた。投獄されてから二十年、ずっと刑務所で過ごしてきた。もはや刑務所はカレンの家であり、囚人達こそが家族だった。
現在のストレイム刑務所には、ダフネという暴君が君臨しているものの、施設全体としては以前よりも安全な場所になった。なのに――ダフネがいなくなれば、その後釜を狙ってまた昔のような血で血を拭う地獄へ戻ってしまう。荒れ狂うケダモノがひしめく地獄には、絶対的な支配者が必要なのだ。
たった8年しか過ごせなかった外の世界。自分にも一度くらいは人並みの生活を夢見る権利はあるはずだ。壁も鉄格子もない自由な世界にはどうしても捨てきれない憧れがある。それでも、カレンは最後に家族を取った。
「たぶん、そういうことなのでしょうね…………もっとも、鏡の秘密を漏らす前に消えてもらわないといけないけれど……」
「えっ、いま何かおっしゃいましたか」
「計画が漏れた可能性があるなら、出口は予定だったものと違う場所を使いましょうって言ったのよ」
「そうですね。流石ダフネ様」
この時、カレンの思惑とは別に、全員が見落としていたことがある。か細いろうそくの灯りだけが道を照らす暗がりで、それまでずっと列の中心にいたダフネが殿と入れ替わっていたのだ。
計画で決めてあった出口を越え、幾つもの分かれ道も越えていく。先頭を走っていたローレルが最初に下水道から外へと出た。そこは刑務所から小さな丘を越えて少し南へ下った林の中だった。刑務所から流れ出た汚水が川へと流れている。
深呼吸して肺に溜まった汚臭を新鮮な空気と入れ替える。一息ついてからローレルが振り返る。後ろについて来ていたのはダフネ一人だけだった。
「……ダフネ様、他の連中はどこに」
「暗かったし迷路になっていたから、途中ではぐれてしまったのね」
「でも、そのナイフは……」
「何度か看守に追いつかれたのよ。先頭だったから気づかなかった?」
ダフネの手には血塗れのナイフが握られていた。下水道の中で何人も殺したのだと分かる。しかし、その体には不自然なほど返り血がついていない。走ったせいで汚泥を胸の辺りまでかぶっているが、血痕はひとつもない。
これでは、油断している相手の背後から首を掻っ切ったとしか考えられない。それに、走り続けたせいで息こそ荒げているが、その表情には焦りがなかった。ローレルにはまるで、ここまでの全てがダフネの計画通りだったかのように感じられた――
「二人きりになれたのはむしろちょうど良かったわ」
しばし思索に耽っていると、いつの間にかダフネが手の届く距離まで近づいていた。同性すらも魅了してしまうその甘い声と月下の美貌に脳が痺れて、ローレルの思考は鈍っていく。
「ちょうどいい……とは、どういう意味でしょうか」
「抜け目のないあなたのことですもの。本来の計画とは別に、予定が変わった場合の事も考えているのでしょう。ここから一番近くにある逃亡用の服や資金はどこに隠してあるのかしら。教えてくれる?」
恐る恐る質問を返した。
すると、ダフネはローレルの疑念を払拭するように満面の笑みで応える。
ローレルのことだけは信じている。
これで安心して二人で逃げられる、と。
ローレルはダフネに隠していた予備の逃亡計画を教える。
休憩を終えてまた走りだそうとしたところで、夜風に乗って騎兵の走る音と不穏な声が聞こえてきた。
「ダフネ・ブランだけは絶対に逃がすな。ここで始末しろと殿下の御命令だ! あの女を見つけるまで、一週間でも一ヵ月でも眠れないと思え!」
捜索範囲を広げた騎士団が林の外まで迫っていた。
早く逃げなければ殺されてしまう――ローレルはダフネの手を取って駆け出そうとする。しかし、ローレルがいくら手を引っ張っても、ダフネはうつむいてその場から動こうとしない。
「ねえ、ローレル……いつもわたくしを支えてくれてありがとう。あなたには、いつか報いなければいけないと思っていたの」
「……ダフネ、様?」
ダフネは手に握られた黒い鏡を覗き込んでいた。
ローレルが贈った、世界で最も醜い魔女の手鏡を。
「これまで尽くしてくれたあなたに、国で一番の名誉をあげるわ」
「ダ、ダフネ様、何をなさ――」
「わたくしの御顔をあげる」
呪文と共に鏡をかざされると、ローレルにダフネの顔が転写された。
誰もが羨む美貌を手に入れたローレルとは逆に、ダフネはのっぺらぼうのようだった。穴の位置で目と鼻と口がどうにか判別できる程度の、顔の皮膚を全て削ぎ落された怪物のような相貌へ変わっていた。
事態が呑み込めず呆然とするローレルをダフネが抱き締める。いつの間にか手鏡から持ち替えられたナイフがローレルの胸へと沈んでいく。
形の整った薄い唇から、苦しげな息が漏れた。ダフネはその様子を見惚れているかのような眼で見つめていた。吐血で美しい顔を汚さないように、肺や気管を避けて、ゆっくり、まっすぐに心臓だけを貫く。
ダフネの最も恐ろしいところは、その尽きぬ欲望や暴力性よりも、気づかぬ内に人の心を操る魔性にある。
そして、今回の脱獄でローレルが一番最後まで生かされた訳は、これまで一番尽くしてきたから――などと感傷的な理由ではない。ただ単に、背丈や髪の色がダフネに一番近かったというだけだ。
「一瞬でも世界一の美女になれたのだもの。ローレルも喜んでくれるわよね」
「ちく、しょ……この、悪魔……」
ローレルが脱獄計画の全貌に気づいたのは息絶える直前だった。
蹄鉄に踏み砕かれる枯れ葉の音が夜の静寂に響く。騎兵がすぐそこまで迫っていた。これ以上遊んでいる時間はない。別れを惜しむようにローレルの頬を一撫でして、ダフネはその場から立ち去る。
この日を最後に、ダフネ・ブランという稀代の悪女は歴史から姿を消した。
◇
……その後の事を少し語ろう。
ストレイム刑務所脱獄事件は、主犯であるダフネ・ブランが逃げ切れぬと悟り、林の中で自害したことで無事解決した。共に脱獄した囚人の遺体も地下下水道で見つかっている。女マフィアの一人だけ遺体を確認できなかったが、どれだけ捜索しても刑務所の外では見つからず、彼女は今も下水の底に沈んでいるのだろうと結論づけられた。
また、脱獄事件のすぐ後、王城内でどこの誰とも知らぬ侍女の恰好をした顔のない女の死体が見つかる――という奇妙な事件があったが、ダフネの起こした集団脱獄との関係はないものとされた。
裏社会の人間からは「王国の影の支配者」などと称賛されていたダフネ・ブランがいなくなったことで、王侯貴族達は安心しきっていた。
しかし、ダフネのいなくなったストレイム刑務所内での抗争が国内全土にまで影響を及ぼし、この頃からイドリア王国に暗雲が垂れ込める。
結婚を機に王位を継いだルドルフ王の最初の一手は正解だった。
彼は、国内の乱れに涙を流す優しき妻・オリビア王妃の悲嘆を拭おうと、ストレイム刑務所でダフネと交友の深かった囚人を共謀罪で全員処刑した。王位を継いだ直後における治安の乱れは、次代の統治にケチがつくという考えもあったようだ。これにより王国の治安は一気に回復へと向かう。
だが、強さと賢さを兼ね備えた王として評価されはじめるも、ルドルフは落馬事故により崩御してしまう。更には、他の王族も病や事故で相次いで亡くなってしまう。残された王族は、ルドルフに嫁いだオリビア王妃とまだ幼い一番下の王子だけとなった。
教会とブラン公爵家が後援についたことで、王子が成長するまで暫定的に王位を継いだオリビア王妃だが、彼女は愛する夫を亡くした悲しみで聖女の力を失っていた。聖女の力が失われるなど歴史上無かったことで教会はひどく慌てた。そこで教会は隠蔽を謀る。オリビア王妃は国王の責務で忙殺されているため、無理に聖女の力を使えば命を縮める事になると主張し、自分達の権威を守ることにしたのだ。
イドリア王国の混迷はその後も続く。
数年に亘って続いたブラン公爵派閥と王族の不和は、他国に付け入る隙を与えていた。少なくない数の貴族が隣国と密通し、侵略戦争を仕掛けてくる。
イドリア国民にとって一つだけ幸運だったのは、聖女の力を失い何もできない女となったはずのオリビア王妃が、他国の計略を悉く打ち破ったことだろう。更には、侵略してきた国家へ反撃し、逆に国土を奪ってしまうほどの勇猛振りだった。
彼女は平民の出でありながら、政治にも戦争にも秀でた才能を発揮してみせた。王妃の悪魔じみた頭脳は鬼才と呼ぶほかなく、中にはその活躍を見て「ダフネ・ブランの再来だ」と恐れる者さえいた。
確かに、彼女は元平民などと誰も信じられぬほどに優秀すぎた。
戦場では、聖女などと誰も信じられぬほどに苛烈だった。
オリビアに捕まるくらいならば、と敵将が自ら首を斬ったという逸話もある。
いつも黒い鏡を胸に抱き、亡くなった夫ルドルフのために生涯喪に服したという貞淑な面がなければ、暴君と呼ばれていたかもしれない。
一部の歴史書では、国民から見えぬ影で贅沢の限りを尽くした底無しに欲深い悪女だったと記されることもあるが、彼女は戦乱の世からイドリア王国を守り抜いた女傑としていつまでも語り継がれた。
最後までお読みいただきありがとうございました。
年末にプリズンブレイク一気見してたら脱獄もの書いてみたくなって、ファンタジー要素足してる内に気づいたら主人公がガチ悪女になってた笑




