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運命の流転の果てに  作者: 水梨なみ
運命の流転の果てに
28/30

エピローグ

「本当に譲る気なんだね」

ホールに戻って、なんとか辻褄を合わせて事態を収拾した二人は、ゆっくりと寮へ帰る道を歩いていた。

玲の言葉に、月嶋は片眉を上げる。

「どうかな。恭介が巽を選んだと決まったわけでもないし」

なんでもなさそうに言う月嶋に玲は苦くわらった。

「恭介が巽を呼んで、あの手を採った時に選んだと思ったけどね、僕は」

あーあと玲は空をみあげた。多くの星が夜空に瞬いている。

「それに策略巡らすほど、今回は焦ってたでしょう、静也」

「なんだそれは」

「巽は、恭介があの恭介でなくても、本当に別人でも好きになったかもと思ったんだ」

玲は真剣な顔で月嶋を見た。月嶋も歩みを止めて玲を見る。

「そんな馬鹿な。この宿命から逃れられるわけがない。あいつだって、あの恭介だから守っていたんだろう」

月嶋が声を荒らげた。

「僕たちは一目で恭介が僕たちの探し人だとわかった。部屋が一緒になった時、巽は喜ばなかったよね。側にいられるのにさ」

玲は薄く微笑んだ。

「結局は、想いを寄せたけどね」

それは、今のままの恭介を好きになったからじゃないのと玲は言外に語っていた。

「巽と同じ部屋にしたのが失敗だったな」

月嶋が哀しそうに微笑う。

「違うでしょう。彼を守るには巽が一番だった」

玲の言うとおりだった。それで、話し合って決めたのだ巽に守らせようと。

「静也も本気だったんだね」

玲の言葉に月嶋は身体を震わせた。

いつも彼が他の者を選ぶと身を切られるように辛いが、今回は今までの比ではない気がすると月嶋は思う。

「そうだな。いつの間にか彼の記憶があってもなくてもどうでもよくなるくらいには」

そういうことだ。側にいて、泣いたり笑ったり、恭介は何も飾らないし、嘘をつかない。それは彼も同じだったけど、今の恭介は可愛くて、誰にも渡したくなくて、ずっと側にいて、この笑顔を独占したいと思ったのは事実。

「僕の部屋においでよ。今日は一人でいるには寂しいでしょう。僕の部屋で飲もうよ。堅物の寮長が許してくれるならだけど」

玲が片目を瞑った。玲も辛いのは一緒だ。今回はやけに構っていたし。そして、この哀しみと感情を共有できるのは玲しかいない。

「それでも、恭介が幸せなら・・・」

「そうだね」

二人は寮の方へ視線を投げ、一瞬目を閉じ、そして歩き出した。



これにて、「運命の流転の果てに」、完結でございます。

ここまで、読んでくださった皆様ありがとうございました。

楽しんでいただけたでしょうか。

誰が一番、お気に召しました??


恭介は巽をどうも選んだようですが、まだまだ、彼らの恋は終わりがきません。

永遠の時を恭介を巡って続いていきます。

かなり辛く哀しい恋。

切ない想いをわかっていただけたらと思っています。


この人が好き!

こんな話がよみたーい。

など、ご意見、ご感想がありましたら、ぜひコメ下さいね。


次は、この4人の過去話をムーンライトノベルズで連載予定です。

なぜ、運命を流転する羽目になったかがこれでわかると思います。

もしよろしければ、またそちらでお会いしましょう。


ご感想くださった方、評価いただいた方、

本当にありがとうございました。

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