表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/7

年始祭(3)

トイナウト殿下たくさん話せた。友達になれるかも、、、

「君のお兄様は優しいんだね。」

『父が厳しいので、最低限の礼儀作法は、覚えています。』少し驚いた顔で、天使は話す。

「僕なんかに、あんなに深くお辞儀する人初めて見たから。」あと敬語やめて。と続けるトイナウト殿下は、先程とは打って変わって、年相応というよりもっと幼く見えた。

『トイナウト殿下、僕なんかにって自分を卑下するのは、帝国への侮辱にもなるの。皇族は、国の象徴だから。あと、少しはこっちを見てくれてもいいんじゃなくて?』言い終わる前にグッと顔を掴み、こちらを向かせる。


『こんなに綺麗な顔なのに、もったいないわよ。皇族の象徴の、碧眼が見えないのは、惜しいわ。少なくとも私といるときぐらい、目を見て話しなさい。』照れたような、驚いた顔で私を見上げる。こんなに近いと本当に帝国神話の天使みたい。思わず見惚れてしまう。


「わかった!、わかったから、離して。」パッと手を離す。

『ごめんなさい。あなたって、本当に天使みたいね』

なんて呼んだらいいんだろう。トイナウト様は、他人行儀な気もするし、トイナウト殿下も、敬語と同じで好かれないかも。なんてグルグル考えているとトイナウト殿下が話し出す。

「トイでいいよ。母様がそう呼ぶの。君は、家族になんて呼ばれてる?、、、ごめん嘘はよくないよね。君の名前わからなくて、教えてくれない?」申し訳なさそうに言うなあ。と思う。


『そりゃそうでしょうね、挨拶のときあんなに下を向いてたんだから。今日でよくわかったわね。下を向いていいことなんてない。』兄様との会話のノリでキツく喋ってしまった。兄様なら、レニーは手厳しいなあ、大人になったら父上みたいになるって考えると、ゾッとするぜ。って笑い飛ばしてくれるのに。


「わかってる。だから次に会うときは絶対に下向かない。笑われても、馬鹿にされても、絶対。」

強い言葉、、、でもやっぱりちょっとキツかったみたい。

「そしたら君みたいに話してくれる人いるかなあ」後半になるほど小さくなる声は、本当に純粋で愛らしい。そう思っているとトイが話し出す。


「話が逸れたね。君の名前、教えてくれる?」

『私の名前は、レイニア。レイニア・リヴ・オナメル。オナメル公爵の長女よ。お父様からは、レイニア、お母様からは、レニちゃん、お兄様様からは、レニーと呼ばれているわ。』


「じゃあ、レニちゃ『いやよ』トイがいい終わる前に切る。

「なんで」『聞かないとわからない?私、公爵令嬢よ!』「僕だって皇子だよ!」対抗してきた。言わなくてもわかるでしょう。『こんな赤子に使うような、愛称、、、恥ずかしいでしょ!』「そ、そっかあ。」恥ずかしいことを言ってしまった。もう帰りたい。


「あ、ニアはどう?女の子らしいけど、子どもっぽくないでしょ?」たしかに。それに響きが可愛い。

『じゃあそれで』嬉しそうに笑っているトイをよそに懐中時計を確認する。『子どもは、お開きの時間になってきたわよ』帰りましょう。

そう続けるとトイは、「先に帰ってて。僕といると嫌なこと言われるよ。ニアは友達だから、巻き込みたくない」


『トイは優しいね。だから、、、一緒に行こう!!』戸惑っているトイの手を握って走り出す。「なんで!!」『友達なら嫌なことは、二人で楽しまないと。でしょ?』無邪気に、貴族らしく、淑やかに、トイにエスコートさせる。周りの好奇の目が刺さる。でも関係ない。そう言い切れるほどに楽しい。トイもそうであって欲しいと思った。


こうして、私の人生で1番に楽しかった年始祭の幕は閉じた。 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ