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年始祭(2)

挨拶がひと通り終わり、私は、『少しよってしまいまして、温室で休んできます。』「もう外は暗い気をつけていくんだよ。」レイちゃんを見ていると公爵様と出会った時を思い出すわぁ。母様はよくそんなことを言っている。母様もおんなじ気持ちだったのかな。


周りに響く叫び声もとい黄色い歓声、どこからともなく湧いてきて兄様に話しかける令嬢達。疲れたわ。というか、もう13歳にもなるのに、兄レイドの呼び方は「レイちゃん」なのか。考えるのすら面倒くさい。『はい、では行ってまいります』そう言って小走りで庭園に向かう。勿論、温室には、人が集まってくるからだ。きっと兄様は、わかっているだろう。


噴水前に座ると人影に気づく、そこには人間とは、言えないほど愛らしい天使がいた。『天使、、、あ』言ってしまった。変な子だと思われた。天使も「え、、、」って顔してる。どうにかしないと、、、「もしかしてだけど前に会ったことある?」『覚えていてくれたの、ですか』やった、さっきのことは無かったことに、、、


「敬語なんていいよ、ところで、天使って何のこと」終わった、あなたです。なんて言えない。『神話の天使や神は金髪に碧眼だから』「そうなんだ、」『シナティス建国神話聞いたことないの』「うん」帝国民なら誰もが知っているような話なのに、皇族であるトイナウト殿下が知らないなんて。『黒霧に呑まれた世界で人々を守ろうと立ち上がった者がいた後のアルドリック・レイ・シナティス皇帝陛下である。』「なに」本当に知らないのね。


『建国神話の導入よ』

「なんで、何で教えてくれるの」『あなたは、この国の王となるやもしれないお方が、目の前にいて媚を売らないの、随分と欲がないわね』 

「僕は、お父様に嫌われているから、、、」『皇太子を決めるのは、貴族、国民、そして、皇帝。陛下おひとりでお決めになることでは、ないわ』まあ、陛下の支持は大きいけど。嘘は言ってない。「そう、なの?」『えぇ』「僕でも王様に」


あからさまに顔が明るくなって、、、本当に可愛い。でも、そんな一朝一夕でなれるものじゃない。『なぜ、皇帝になりたいの』「母様が皇帝になれっていうの」そういえばアヴェリン皇后は陛下を振り向かせるために息子を使っていたとか、、、王になるというのは、大変なこと。きっとこの子が思っている何倍も。『恐れながら、殿下のことを思い、帝国の民として言わせていただきます。殿下は、王になる。ということがどういうことか、まるでわかっておられません。王になるということは何千、何万という命の上に立ち、その命を守る。ということです。母に言われたからなる。なんて浅い考えでは、民はついていきません。そのことを踏まえ、まだ王になると言いきれますか。』


きつく言い過ぎたかもしれない。でも、半端な気持ちで、王になる。なんていうのは、この子にとっても、帝国の民にとっても悪いことだ。多分もう仲良くは、無理だ。そう思い、ホールに戻ろうと重い足を動かす。『失礼しました』「それでも、僕は、王になりたい。それに、王になりたいのは、母様だけが理由じゃない。君が納得するか、わからないけど、話だけでいいから、僕の話を聞いてくれない。」


驚いた。

辿々しさは、あるものの、10歳の子供がこんなに威圧されて、上手く喋れるものなのか。少なくとも、温室生まれで溢れかえっている貴族じゃできないことだ。「あの、、、ダメ、かな」『申し訳ございません、殿下を侮っておりました。気が済むまで語り尽くしましょう。』勢いよく頭を下げ、謝罪をすると驚いた顔で見られる。けど今の私にはどうだっていい。こんなに楽しいのは生まれて初めてだ。


「おーい、父上が呼んでるよ。レニー」兄様今いいところだったのに。兄が髪色と瞳を見て、「挨拶が遅れ申し訳ございません。帝国の星、トイナウト殿下にご挨拶申し上げます。」「あ、ああ、レイド公子、」

人見知りなのかしら。『お兄様申し訳ありませんが、すぐにいくので殿下ともう少しお話を』「わかった、父上には伝えておく、ご無礼のないように、では、失礼いたします」お兄様は、深々お辞儀をして、ホールへ帰っていった。

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