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第4話:エリノ村

「……あれが村か?」


森を抜けた先に、小さな村が見えた。

木造の家がぽつぽつと並び、遠くで牛の鳴き声が聞こえる。

それは、いかにも田舎らしい平和な光景だった。


ユウトとレオンは、追放されてから初めて“人のいる場所”へと足を踏み入れようとしていた。


「村の名前は……《エリノ村》か。地図はまだ使えないけど、看板でわかった」


前見たスマホの【マップ】アプリは、

まだロック状態だった。

おそらく、後々開放される機能だろう。


「主殿。人里に入るときは、武器を隠したほうがいいかと。私のような鎧姿は警戒されますから」


「わ、わかった。……でもレオン、そのままでもけっこう目立つよ?」


「善処いたします」


そう言って、レオンはマントの裾で鎧を包み、まるで旅の従者のように装いを変えた。

それでも顔立ちと姿勢がよすぎて完全には隠しきれなかったが、ユウトはそれを指摘しなかった。



村に入ると、農作業をしていた老人がこちらに気づいた。


「おや、旅の方か? こんなところまで珍しいな……」


「すみません、少し休ませていただけませんか? 宿か広場でもあれば……」


「なら、村の中央にある集会所を使っていいよ。ちょうど今、村に問題があってな。外から人が来てくれるのは助かる」


「問題……?」


ユウトが首をかしげると、老人は顔を曇らせた。


「最近、このあたりで“畑が腐る”って現象が続いててな。作物が一晩で全部ダメになるんだ。魔物か、呪いか……村人たちは怯えている」


(畑が腐る……?)


ユウトは、ふと思いついた。


(鑑定……もしかしたら、何かわかるかもしれない)



村の案内を受けて畑に向かったユウトたち。

一目見てわかる。

確かに、土が黒ずみ、腐敗臭が漂っていた。


「鑑定、使ってみよう……!」


スマホの画面に手をかざし、畑の地面をタップする。



《対象:腐敗した農地》

原因:地中に棲みついた魔物シェードワームの毒素による影響。

対応方法:魔物の排除、およびステータス異常解除スキルの使用。

副作用:付近の作物は48時間再生不能。



「……原因は魔物だ。名前は《シェードワーム》っていう地下棲みのやつ。毒で土を腐らせてる」


「地下からの魔物……確かに、表面には痕跡がないですね、、」


レオンが地面に耳を当てると、かすかに“うごめく音”が聞こえた。


「主殿、戦闘になる可能性が高いです。ここは私が先行します。後方支援をお願いいたします」


「うん、わかった!」



レオンが剣を抜いた瞬間、地面が爆ぜ、黒いムカデのような魔物が姿を現した。


「ギィィィィィィ!!」


全長3メートル、体表は毒々しい液体で覆われている。

村人が怯えて逃げる中、ユウトとレオンは立ち向かった。


「レオン! あいつの弱点、スマホで見てみる!」


《対象:シェードワーム》

弱点:頭部(毒袋)/火属性/視覚が極端に弱い


「頭部を狙えば毒袋が破裂して自滅するかも!」


「承知しました、全力で行きます!」


レオンは魔物の突進を避け、跳躍からの“聖剣技ライトスマッシュ”を繰り出す。

剣から放たれた光が、シェードワームの頭を直撃――!


「ギィィィィィ……!!」


毒袋が破裂し、魔物は泡を吹いて倒れた。


「……やった……倒した……!」


畑の毒も、時間経過で浄化されていくという表示がスマホに現れる。


《討伐成功:15P獲得》

《編集スキル:解除条件達成――一部機能解放》


ユウトのスマホに、新たな通知が表示された。



編集機能(一部)解放!


・対象のステータスを確認し、ポイントを使用して数値やスキルを変更できる

・編集対象:自分/仲間(同意が必要)



「これが……“編集”……!」


ユウトは静かにスマホを見つめた。


“通話”だと馬鹿にされたスキル。

それは今、村を救い、未来を変える力になろうとしていた。

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