第3話:忠義の騎士、召喚
薄暗い森の奥で、ユウトはぼろぼろの体を休めながら、手元に浮かぶ“スマホ”の画面を見つめていた。
《現在ポイント:30P》
《召喚:10P〜(初回ボーナス適用)》
「……召喚、か」
恐ろしい魔物からの逃亡劇を経て、ユウトはこのスキルの価値を少しずつ理解し始めていた。
だが、魔物との遭遇は、彼に“現実”も突きつけてきた。
(今のままじゃ戦えない。……なら、せめて仲間を)
彼は迷いながらも、画面の【召喚】ボタンに指を伸ばした。
《初回召喚:特別枠から選択》
《職業候補:騎士/魔導師/狩人》
ユウトは即座に【騎士】を選んだ。
「誰でもいい……今の俺を、守ってくれる誰か……!」
画面が眩く光り、周囲の空気が振動する。
地面に魔法陣が浮かび上がり、そこからひとりの青年が姿を現した。
「――召喚に応じ、ただいま参上いたしました」
銀の鎧を身にまとい、深紅のマントを翻すその姿はまさに“騎士”。
片膝をついてユウトに忠誠を示す。
「我が名はレオン・クラウス
召喚主のために、剣を振るう所存です」
「う、うそだろ……こんな本物の騎士が……!」
驚きで目を見開くユウト。
画面には彼のステータスが表示されていた。
⸻
《レオン・クラウス》
・職業:聖騎士
・レベル:30
・HP:720
・スキル:「神剣の使い」「聖剣技(上級)」
・忠誠度:100(召喚主に絶対の忠義)
⸻
「スキル『神剣の使い』の効果で、私は貴方の命令を最優先とします。命を賭して、貴方を守りましょう」
「……ありがとう。本当に……!」
初めて、自分に“味方”ができた。
その事実に、ユウトは込み上げる感情を押し殺せなかった。
「レオン、俺……強くなりたい。こんな自分でも、ちゃんとこの世界で生きていけるように……」
「その意志がある限り、私があなたを導きましょう、主殿」
レオンの言葉に、ユウトは拳を握りしめた。
今ここに、追放された少年と忠義の騎士の旅が始まる――。