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96 俺達の完勝

神の力を宿し生まれ、5歳の時、創造神により神界に保護され育てられる。神界で磨かれたその力は、既に神の域すらも超えているのではと、12柱の神々は囁く。

 〝ブン!〝 「ここじゃない」

 〝ブン!〝 「ここでもない」

 〝ブン…〝 「ここも違う」

 アルティスが地上を転移移動で駆け回る。

 〝ブン……〝「やっと見つけた!この星の核に近い場所……めちゃくちゃ深いな」


「く、くそ〜!あの小僧……長い年月を掛けて準備してきた、我の計画を台無しにしおって!」

「〝あの小僧〝って俺の事?」

「!!!!な、な、何故ここに!?どうしてここが分かった……

 お前は今、我ら悪魔の領域で戦っているんじゃないのか?」

「質問ばっかり……ああ、そうだね。今頃はまだ戦ってるね。

 俺は10時間後の未来から来た……ん?それもちょっと違うか?」

「お前はいったい何を言っている……」

「もう良いよ?シャルおじさん?」

「あ?シャルだと?何を言ってる?気でもふれたか?」

「隠さなくても良いよ?今の姿は、邪気に()かれて異形の姿だけど、

 俺には分かるよ?心の奥底でシャルおじさんの助けを求める声が聞こえる……」

「フハハハハハ……奥底だ?シャルなんぞ最早何処にも存在してないわ?

 しかし我の元がシャルだと何故気づいた?」

「あんた、俺の事よく知ってるみたいだったからな?

 それに、俺の事、〝神の力さえ凌ぐ〝とか言ってたろ?

 そんなこと言うのは神界の12柱の神だけだよ。

 シャルおじさんは、世界中の『負の感情』……憎しみ、怒り、悲しみ…………

 そういった全ての黒い感情数千年分の呪いにかかってる。

 地上にちょくちょく行ってたから、『負の感情』に狙われたんだと思うけど?

 シャルおじさんは、人一倍優しいから、地上が気になって何度も何度も行ってたからな?」

「そうか……まあ良い。最早これまで。今のところは我の負けだ……今のところは……な?

 だがしかしアルティスよ。こうしたらどうなる?」

「こうしたら?」

「お前が以前、我に見せてくれた、負のエネルギーと正のエネルギーがぶつかると起きる大爆発!

 それを起こすのが、我の作ったこの魔道具。そして3年掛けて溜めた、正と負のエネルギー……

 よく見ておくが良い。そして大いに苦しむが良い!言っておくが壊しても爆発が起きるぞ?

 フハハハハ……これで、引き分けだ……

 では、アルティスさらば…………あ?な、なんだ?……う……動けんだと?」

「ふっ……さっきの長話……何でしてたと思う?

 あの時、こっそりシャルおじさんの魂と俺の魂を繋いてたんだよ。気づかなかった?

 俺が繋いたんだ、そんな簡単には切れないよ?もう指一本動かせないでしょ?動かせるのは口だけ」

「クッ……動けん。おい!もうそろ爆発するぞ!き、貴様、わ、我もろとも消滅したいのか?」

「あ、それなら問題ないよ?そこの負のエネルギー……俺が中和したから。

 前に相殺しようとして仕切れなくて、

 爆発防ぎきれなかったから、俺も正と負のエネルギーは研究済み。

 その応用で、俺の正のエネルギーを付与した剣、凄かったでしょ?見てた?」

「クッ……クソッ……エーテルの力を失っているお前に何故こんな真似ができる?」

「あっ、それもう一度説明する?」

「もう一度だと?何を言ってる」

「さっき説明したばかり……って、あ、そうか、あんたには初めてか?」



「何?お前のエーテルは冬眠状態じゃないだと?この期を待った意味はなかったと?

 クソッ!良いか?このままで済むと思うなよ?いつか……」

「もちろんこのままで済ませるつもりはないけど?その状態で言う?」

 そう言うと、辺りが次第に暗くなっていく。

「何だこの暗闇は?」

「バカだな、お前の闇じゃないか」

「な、何故我の身体から闇が抜ける……」

「抜けるんじゃなく俺が抜いてるの?ほらもう直ぐ打ち止めじゃない?」


 〝ガクッ……〝

 膝をつく()()……イヤやもう既に『負の感情』は身体の外、()()()()に戻りつつある。

 その闇は眩い光に囲まれて次第に消えていく。

 魔神の負のエネルギーは、アルティスによって中和され消えた。

 〝じいちゃん。後は任せて良いかな?〝

 〝うむ……よくやってくれた。まあ、時を操作したのは、ちょっと何じゃが、今回は不問としよう。

 シャルの事は、わしに任せるが良い〝



「あ、あれ?」

 指先を見つめるアルティス。指が霞んでだんだん透明になる。

 それが肩へと上がってくる。足も同様だ。

「あ、そうか。俺がいた未来が変わって、この俺は消えるのか?

 何だか変な感じだな……俺は生きているのに、死んでいくみたいだ……

最後にもう一度フィオナに会いたかったな……」

「ア……アル?どうしたの?なんか体が変よ?」

「フィオナ?」

「なんか心配で、じっとしてられなくて……外に出て来ちゃった」

「もう大丈夫。全て終わったから……俺達の完勝……多分犠牲者ゼロ」

「でも……貴方、その身体……消えていってる……」

「ああ……えっと……ちょっとした消える魔法の実験……俺はもう直ぐ戻るから……」

「こんな時に実験?それに〝俺はもう直ぐ戻る〝って何?

 他人事(ひとごと)みたいな言い方……なんか変よ貴方……」

「そんな顔するな……後でちゃんと戻るから……」

「貴方こそ、何でそんな寂しげな顔……ア……アル?消えちゃった……何?この胸騒ぎ……」

数ある作品の中から見つけ出し、お読みいただき、ありがとうございます。

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