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95 この星の終わり

神の力を宿し生まれ、5歳の時、創造神により神界に保護され育てられる。神界で磨かれたその力は、既に神の域すらも超えているのではと、12柱の神々は囁く。

 〝ゴォォォォォォ〜〜〜〜グァタガタガタガタガタ!!!!!〝

 〝〝キャ〜〜!!〝〝 〝〝う……うわ〜〜!!〝〝

「な、何?地震?ちょ……ユッフ……」

 舌を噛みそうで、言葉に出来ない。

「……フィ……ねえ……」


 凄まじい揺れ!超巨大地震だ!それはこの地だけで起きているのではなかった。

 全世界で、地殻に異常が起きている様だ。

 立っている事はおろか、座っている事すら出来ない。座っていても、右に左に身体が投げ出される。

 頑丈なはずな城も10秒と持たず崩れていく。もちろん民家などは、ひとたまりもない。

 世界中、隅から隅まで大混乱に陥っている。

 しかしそこに、頼みのアルティスは居ない……悪魔の領域に行ったままだ。


 10分もしないうち……追い討ちを掛ける様に、

 1000mはあろうかという巨大津波が、全てを飲み込んでしまう。

 まさにこの星の終わりが来ている。


 〝アルティスよ!戻るのじゃ!地上がとんでもない事になっておる!〝

 〝まさか?魔神の気配を感じられないと思っていたけど、地上に?〝

「すまん!皆んな!地上で大異変が起きている様だ、俺は戻る!

 カイン!あとは頼む!」



 地上に戻ったアルティスは言葉を失った……

「これが…… ハルステイン?……嘘だろ……」

 平地はおろか、かなりの標高の山間までドス黒い海水で、埋もれている。


 かろうじて、王城が有ったであろう一部の残骸を見つけた

 キョロキョロ辺りを見渡すアルティス。血の気の失せたその顔は蒼白。


 フィオナの……その気配を感じる事が出来ない……ユフィリナが……分からない……

 リヴァルドも、エリザベスも……

 ソフィアは?……ハーゲン……ハート……全て……何も……

 雲ひとつない空の上……立ちつくすアルティス……



 地上に降りたアルティスは、体に力が入らず、座り込む……

 その顔は、まるで感情を何処かに置き忘れたかの様に無表情……

 怒り……悲しみ……何も感じる事ができない……ただ人形の様に王城の有った辺りをぼんやり眺めていた。


 〝ブゥ〜ンブゥ〜ンブブブブブブッ!〝

 生気を感じないアルティスの周りに無数の魔法陣が浮かび上がる。

 〝ドドドド!ド〜ン!ドガガガガガガガガガガン!〝

 火、氷、風、視界を覆う数えきれない攻撃がアルティスに降りかかった。

 無抵抗のアルティス…… 立ち込める煙。


(アルティスとて、流石にエーテルなくして、これを防ぎ切ることは出来まい)

 次第に煙の中から、人影が揺らぐ。

(そ、そんな馬鹿な……)

(ゆる)いな?くすぐったいよ……」

 この攻撃がアルティスの感情を、少しだけ戻しつつあった……

「な、何故だ?何故無傷でいられる?お、お前?……それ?エ……エーテルが……」

 すぐ後ろまで迫る魔神。アルティスは、分かっていながら、振り向きもしない。


「エーテルが冬眠に入る?それは大昔から存在していたエーテル……

 俺の中でエーテルは増え続けている。

 ここ10年や20年で生まれたエーテルが、冬眠になんて入る訳がないだろ?」

「増え続けている?集まり続けた……のではないと?」

「お前……地上に生きる全てを消し去る?そんな事をしたかったのか?違うだろ?

 エーテルの影響が無くなった地上に、神々を誘き寄せたかったんじゃないのか?

 なんの罪のない人々を苦しめ、殺して……俺はお前を絶対に許さない……」

「ほう?知っていたのか?しかしそれはもう……お前のお陰で我が軍は壊滅……

 我の計画は(つい)えた。

 せめて、お前の愛する全てを奪い、お前の絶望する姿を……そして最後には、お前も……」

「神を名乗るくせになんて稚拙(ちせつ)な……」


 後ろに迫った魔神に向かって、軽く握った拳を後ろに投げつけた。

 〝ドッガガガガガアアアアアアアアアアン!!!!!!!!〝

 あっさりと……あっけなく、魔神は跡形も無く消えた。

 〝アルよ、それで良かったのか?〝

 創造神の問いかけにアルティスは何も答えなかった。



 〝クッ……クッ……クッ…………グワァァァァ〜〜アアアアア〜〜〜〜!!!!〝

 拳を握り、全身に力を漲らせるアルティス。その周りには稲妻が駆け巡った!

 次第にアルティスが銀色に輝きだす。目の中の光るサファイア色だけを残し、

 眩い光がアルティスを飲み込む。

 シンクロする様にアルティスのネックレスも光出す。

 ギラギラと……その光が渦巻く!何者も目を開けていられない程の光……


 〝オオオオオオオオウオオオオオオオオウ!!!!!!〝

 光の渦が巨大な竜巻の様になり、更に大きく広がり……ついには、星全体を包み込む。


 〝シイィィィィィィィィン…………………………〝

 地上から音が消えた。そして地上全ての動きが止まる。

 ゆっくりゆっくりと……今度は反対に動きだす……星の自転が逆回転している。

 見える景色も、映画を逆再生して見る様に……ゆっくりゆっくりと……

 そして時間が逆転し、時が戻った。目の前には見慣れた王城が有る。

 フィオナの……ユフィリナの……家族の心地よい気配を感じる。


(アルティスなんて事を……歴史を変えてはいかんとあれ程……)

「歴史は変えてない……これが正しい歴史……間違った歴史を元に戻しただけだよ?じいちゃん」

数ある作品の中から見つけ出し、お読みいただき、ありがとうございます。

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