94 悪魔軍の総攻撃
神の力を宿し生まれ、5歳の時、創造神により神界に保護され育てられる。神界で磨かれたその力は、既に神の域すらも超えているのではと、12柱の神々は囁く。
〝gugyaooooooooo……………」
「な、何んだあの巨大な怪物は!?」
士気が戻ったはずの皆んなの顔が、恐怖で固まる。
ヒュドラだった。9つの頭を持つ蛇の姿の怪物が八方から現れる。
御伽話にしか出て来ないはずの怪物。
しかし、目の前のフュドラは、御伽話の倍以上の大きさがあった。
「で……でかっ!胴体は直径10m近くないか?」
更に上空からはウァプラ……グリフォンの翼を生やし、ライオンの姿をした悪魔が数十。
ついに悪魔軍の総攻撃が、始まった様だ。
「皆なさん、気を付けて下さい。あのヒュドラは、息と共に毒を吐きますよ。
即死する程の猛毒です。離れて吸わない様に……
それと中央の首以外は再生します。中央の首は不死と言われていて攻撃が効きません」
「え?マジ?カイン?そりゃ面白そうだ!じゃ、アレは俺がやるよ」
「アルティス俺にもやらせろよ?」
「あれ?アシュリー?お前、持ち場は?」
「向こうは、問題無い。たいしたのがいねえぜ?
お前1人で面白そうな事してんじゃねえか……俺も混ぜろよ?」
「お前と共闘?良いね。俺と共闘出来そうなのは、
カイン以外だとお前位しかいないもんな?超〜楽しそう。
俺が再生する周りの首を、火の魔剣で焼き切るから、お前、中央の首、やってくれるか?」
「反対の方が良くないか?中央のアレお前位しか、攻撃が効かない気がするぞ?」
「いや、お前の攻撃と同時に、8個の首を落とすのは、俺のスピードが無きゃ無理でしょ?
焼き切って塞がなきゃ再生しちゃうだろうし……俺の他に誰か出来るか?」
「そうかもしれんが……俺が中央の首をか……さて、どう攻撃したもんか……」
「俺が顕現させる、この剣持ってみてくれる?持った瞬間から、魔力通し続けないと直ぐ消えちゃうけど、
アシュリーなら使えるんじゃない?これをアシュリーが使えば、あの首切れると思うよ?」
「ほ〜お前の光る剣か?やってみるよ」
興味津々に目を輝かせ、アルティスの剣を受け取るアシュリー。
受け取った瞬間に、力が抜け尻餅をついた。
「どわ〜〜なんじゃこれ?魔力吸われるなんてもんじゃねえぜ!
余り長くは使えそうにない。行くぞアルティス!」
「それでは我が君!ウァプラは私とロトにお任せを。上空のヒュドラは、お2人にお任せします」
カインとロトは、アルティスの構築した正のエネルギーの光魔法、聖なる炎を立て続けに放つ。
ウァプラも暗黒魔術で対抗するも、聖なる炎に触れた瞬間にその魔法は消滅してしまい、
一方的に殲滅される。後に残るのはウァプラの断末の叫びのみ。
「あの人達、元悪魔ですよね?聖なる光魔法を連発してますよ?」
目が飛び出さんばかりに、驚くアルティス軍の面々。
「当然だろ、あの人達、アルティスの眷属だぞ」
何故かドヤ顔のバートランド。
「そしてアルティスは俺のマブダチだ〜!」
だから?
〝ド〜ン!ド〜ン!ド〜ン!ド〜ン!ドカ〜ン!ドカ〜ン!〝
「オラオラオラ〜〜何じゃゴルア〜!」
どこからか下品な雄叫びを上げ、素手でウァプラに打撃を加える者がいた。
ウァプラはなす術もなく、その打撃を受けた瞬間バラバラに飛び散っていく。
カイン達の戦いに乱入してきたピンクちゃんだ。1人でウァプラの大半を殲滅していた。
「な……何アレ?アレもアルティスの眷属かなんか?」
ゴールドに輝き、ガーゴイルを3m程にした様な悍ましいピンクちゃんの姿と、
下品な雄叫びに、腰を抜かすカーマイル。
「ん?もう終わりか?ゴルア〜!ん?何みてんだお前?
あっ、貴様、グロくて下品……そう思ったな?
俺もアルティスの野郎程じゃないが、少しは心が読めるんだぞ?」
「〝アルティスの野郎〝?お前アルのなんなんだ……」
「あ?あれ?貴様……貴方は……アルティスの野……アルティス様のお友達?
は、初めましてなの♡わたしピンクちゃんなの♡」
「……今更おせ〜よ……」
いつの間にか、ピンクちゃんは、60cm程の可愛いピンク色の不思議動物に変わっていた。
フュドラの9個の首の攻撃をスルッと躱すアルティスとアシュリー。
〝サンッッ〝
固く巨大な首を切ったとは思えない様な、軽く柔らかい音を残す。
〝ドスドスドス……〝
フュドラの9個の首は、苦痛の表情をする事もなく、ただ落ちて、再生する事もない。
静かな戦いが、8回続き、フュドラの破片で山が8座出来た。
長年一緒に戦ってきた様に、息ぴったりなアルティスとアシュリー。
戦ってると言うより、ダンスか何かを見せられてる様だった。
「あ?貴様ら!いつからそんな奴の眷属になりやがった?」
「ああ……お久しぶりですね?ルシファーさん?何千年ぶりでしょう?
ところで貴方、今、我が君を〝こんなやつ〝そうおっしゃいました?
それは万死に値しますね?」
「カイン誰?この悪魔の人?」
「これは悪魔の王、ルシファーという者です。目障りですから、今片付けます」
「お前が俺様を?なあベルゼブル?こいつは何者だ?
しばらく見ていたが……人族風情が、何故こんなに強い?」
「アルティス様が人に見えるのか?ルシファーさんよ。あんた目が曇ってないか?」
「ルシファーさん?初めまして?でも直ぐサヨウナラみたいだけどね。俺のカインが怒ってるよ?」
「は?馬鹿かお前は?こいつ如きが、俺様に何が出来ると?」
「こんな事でしょうか?」
「何を言っ……て……」
〝スンッ……〝
ルシファーの身体が斜めにずれ落ちる。
「悪魔が魔法ではなく剣……だ……と……」
二つに分かれたルシファーは、霧の様に消えてなくなる。
「元です元悪魔」
悪魔の王も、アルティスの眷属となったカインの敵ではなかった。
余りにもあっけない勝負だった。
「カイン、剣の腕上がったね。音すらしなかったよ?
後、他の場所ははどうなってるかな?」
「西はアシュリー様率いる軍が制圧。
東はピンクちゃんが既に制圧している様です」
既に自分の部隊に戻った2人だ。自分の部隊を放って何してたんだろう?あの2人……
まあ、その後、仕事はキッチリこなした様だ。
「皆んな優秀すぎない?負ける気が全くしないって言うより、
もう、ほぼ片付いたって事かな?
後は、魔神だけ?何処かで見てるんだろ?出てきなよ」
「……………………」
「……あれ?さっきから思ってたけど、やっぱりアイツの気配が無い?」
数ある作品の中から見つけ出し、お読みいただき、ありがとうございます。




