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89 自分の力を試したくないのか?

神の力を宿し生まれ、5歳の時、創造神により神界に保護され育てられる。神界で磨かれたその力は、既に神の域すらも超えているのではと、12柱の神々は囁く。

「ふっ……大した蹴りじゃないな……」

「血だらけで言う台詞じゃないぞ?」

「黙れ。戦いはこれからだ!俺の本気を見せてやる!」

「おい、ちょっと待てよ。いきなり蹴ってきやがって……お前は一体何なんだ?」

「俺はお前だよ?別次元のお前だけどな」

「またかよ?前にもそんな奴来たぞ?」

「ほ〜 最近次元の壁が(もろ)いらしくてな?

 俺は強さだけを求めて、あちこち飛んで、強いやつを探しているんだよ。

 お前はなかなかの様だな。今まで戦った奴の中では、断トツだよ。

 お前は、どれだけ俺を、楽しませてくれるのかな?」

「楽しませる?俺は大迷惑だ」

「お前、変な奴だな?俺達は強い。自分の力を試したくないのか?」

「変なのはお前!自分の世界でやってろよ?」

「無理無理……まるで、歯応えがないんだよ。別の世界にだって、俺と遊べる奴はなかなかいない。

 この前なんか、ただただ逃げ回って、悪魔がいないから今なら行ける〜とか言いながら、次元の穴からどっかに逃げちまった」

「あ、もしかして、それあいつ?お前から逃げてこの世界に来たのか?」

「ん?あのチキンここに来たのか?ま、あんなのどうでも良いが……

 さあ、話はここまでだ。始めるぞ!」

「ちょ、待てって……」

「ふん!問答無用」


 〝ド〜ン!ド〜ン!ド〜ン!ドカ〜ン!!!〝

 2人のアルティスは、飛び交いながら、所々で拳を合わせる。

 目では、全く追うことが出来ないが、その度に、その場所の景色がグニャリと歪む。

 〝ドシャ〜ン!!!〝

 フィオナが横を見ると、2人のアルティスが片膝を着きながら地面に着地していた。

 足元は、クレーターが出来ており、

 戦いの凄まじさが伺える。


「このスピードについて来れるとは、思った以上だな?

 打撃の威力も、今まで戦った中で一番だ。その貧弱な身体で、驚きだよ」

「……そりゃどう〜も。筋肉なんて、でかけりゃ良いってもんじゃない。

 お前のは無駄にでかくて、動きが遅い」

「ハ〜ハッハ!言うじゃないか?俺の動きにやっとついてきているくせに?

 悪いが、俺の力は、こんなもんじゃないぞ?

 そろそろ、全力を出すかな?俺の100%の力を見て絶望するが良い!」

「さっきも、本気出すって言ってたのに……」


 〝ド、ド〜ン!ド、ド〜ン!ドドドカ〜ン!!!〝

 別次元のアルティスの打撃がことごとく当たるようになる。

 先程のは、やはり本気ではなかった様だ。

「ハハハ〜 どうしたどうした〜?」

 反対にアルティスの打撃が届かなくなっている。


「フ〜フ〜フ〜 もう終わりか〜?」

 しかし、何故か優勢のはずの、別次元のアルティスの方が、息を切らしている。


「フィナ。コート持っててくれる?」

「脱いちゃって良いの?これ創造神様が、色々付与してくださったものなんでしょう?」

「そだよ。危険だからって、俺の力を押さえてくれてるんだよ?」

「マジ……ですか……? 貴方これまで、力を押さえていたって事?」


「え〜と……まだやる?」

「くっ……なめやがって……」

 その言葉を、言い終わった時には、既にアルティスは目の前に迫っていた。


「あ、そ……」

 そう言ってにっこり笑うアルティス。

 〝ガッッ!グシャッ!〝

 次の瞬間には異次元のアルティスが裏拳を喰らい、足先だけを残して地面に食い込んでいた。

 少し距離を取ったアルティスは、異次元アルティスを蹴らずに、足元の地面を蹴り付けた。


 〝ドシャ〜ン!!!〝

 その勢いで、地面ごと吹き飛ばされる異次元アルティス。

 その時既に真横まで来ていたアルティスに、更に横蹴りを喰らう。


「ぐっっ……グバァァ……」

 大量の血を吐き出す異次元アルティス。

「ヒール……」

「ヒ?ヒール?アル何してるの?」


 ヒールで回復したものの、ダメージが残っている様で、ふらふら立ち上がる異次元アルティス。

 〝ド〜ン!ド〜ン!ド〜ン!ド〜ン!ド〜ン!ド〜ン!〝

 容赦なくパンチを当てるアルティス。

「見えないのか?それとも見えているけど交わせないのか?……ヒール……」

「!!!!!」

 驚くフィオナ。又、ふらふら立ち上がる異次元アルティスに回し蹴り。

 〝ドガシャ〜ン!!!〝

「ヒール」

「ヒール」

「ヒール」


「ぼ……ぼうやべで……が、がんべんしでぐだざい……」

 四つん這いで、へこへこと逃げる異次元アルティス。

「あ、それチキン!他人の事(前のアルティス)、馬鹿にしてたけど……

 で、俺の力はどうだった?自分の力は?

 試したかったんだろ?楽しかったか?楽しんでもらえたのか?」

「がんべんしでぐだざい……」


「エクストラヒール」

「……………………」

「やりたい事をやるのは良いよ?

 でも、他人(ひと)に迷惑かける様な、自分勝手はやめなよ」

 そう言うと空に向け手をかざすアルティス。

 そこに大きな魔法陣が浮かび上がる。そして静かに動き出す。

 スピードが増し、渦が出来ると、真ん中に穴が開いた。次元の穴だ。

「帰りな」

「じ、自分で開けたのか?で、ですか?」

「何それ?」

「あ、あの。お前……貴方と俺。何が違うのですか?」

「顔」

 ドヤ顔アルティス。同じ顔だけど?

「そっくりじゃねえか……」

「ん?なんか言った?」

「……………………」

数ある作品の中から見つけ出し、お読みいただき、ありがとうございます。

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