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86 光と影の英雄の正体

神の力を宿し生まれ、5歳の時、創造神により神界に保護され育てられる。神界で磨かれたその力は、既に神の域すらも超えているのではと、12柱の神々は囁く。

 アルティスが、創造神により、神界に保護され2年。

 大量のエーテルが、アルティスと共に地上から消える。マナの源はエーテルだ。

 地上ではアルティスのエーテルが、作り出していた分のマナが無くなり、

 徐々に地上からマナが減っていく。

 アルティスが、誕生する前に戻ったと言えなくはないが、急激な変化は、自然にも影響を及ぼしてくる。

 エーテルの恩恵が減り、大災害が続き、人々に負の感情が溢れ出した。

 そんな時ユフィリナが誕生し、天変地異が(おさま)った。

 神の祝福をもたらしてくれたと、人々は、ユフィリナの誕生を大いに喜んだ。


「つまり、天変地異を治める為に、エーテルがユッフィーを、過去に連れて行ったって事?ほんとに?」

「エリザベス母さん、ユッフィーが誕生した時、お腹が大きくなるとか、妊娠の兆候は何もなかったんでしょ?

 なぜ自分の子だと思ったの?」

「朝起きたら私、胸に赤ちゃんを抱いていたのね。見ればフィオナの赤ちゃんだった頃そっくり。

 つまり私にも目の色、髪の色までそっくりで。一目で他人じゃ無いと分かったわ。

 子は授かりものって言うけど、何故だか分からないけど、

 子供がお腹で育つ途中を省略して授かったに違いない……

 そう思ったの。不思議な事に母乳まで出てきたのよ?」

「おくるみ着て産まれてくる赤ちゃんなんて、いないでしょうに?

 あれ、私の作ったおくるみなのよ?変に思わなかったの?」

「何だか嬉しさで感激しちゃって、細かい事に気がいかなかったのかしらね?

 でも私が感じた様にユッフィーは、他人じゃなかったでしょ?」


「はぁ〜〜〜〜ユッフィーはここに居るのに……寂しいな……私、身体に力が入らない……喪失感が凄い……」

「仕方ないなんて言えないけど……その事が無ければ、この世界は混沌としただろうね?

 悪魔達にもご馳走を与えてしまっていただろう……」

「頭では理解できるけど……お腹を痛めて産んだ子よ?この手で大切に育ててあげたかったな〜」

「大切に育てたじゃん。フィオナは。エリザベス母さんより親身に、ユッフィーの世話をしたんだろ?

 抱っこしてあやして、寝かせつけて。おむつ変えすらしてたって聞いたよ」

「過去にね〜 自分の子だとどこかで感じいたのかな?でもやっぱり今したいな。私の赤ちゃん抱きたい」

「俺なんて未だ、一回も抱いてないんだが…… そうだ!それでは直ぐにユッフィーの妹か弟を」

「作れるの?どうやって?」

「ん?ユッフィー?それはだな……」

 〝ゴーン!〝

 頭をフィオナに叩かれる。

「冗談だって……ん?どうした?ユッフィー?泣いて」

「悲しいわけじゃないの。皆んなに愛されてるって思って……何だか」

「俺が神界に行ってしまった事で、何だか色々複雑にしちゃったな?何か悪い」

「貴方のせいじゃないわ」

「あっ!!……」

「あっ?何?」

「何でもない」

「嘘!ニヤニヤして何考えてるのよ?」

「ニヤニヤしてない。そっか〜あれは神に匹敵する力だと思ってたけど……自分だったんだ」

「あ、(にせ)枢機卿からユッフィーを守った人?全ての辻褄(つじつま)ってそれも?」

「あの場面、神界から見てたからな。きっちり時空移動のターゲットになるだろ?

 あの時の強大な負のエネルギーを、正のエネルギーで相殺する。

 その準備が出来るのも俺だけだよ?やっと分かった」

「あっ、あ〜〜〜〜貴方!まさか。光と影の英雄!」

「分かる?」

「目撃されたのはあの日が最後。ユフィーが生まれた頃から時々現れて、

 魔物や魔族から民を守ったり、色々手助けしてくれる英雄。

 光り輝いている。でも影に隠れている様に誰にも正体が分からない英雄……

 だから人からは光と影の英雄って呼ばれてた……貴方ユッフィーに会いに行ってたんでしょ!」

「いや俺は未だいってね〜し」

「あ〜ややっこしい!これから会いに行く気ね?」

「さ〜て、どうしよっかな〜」

「嘘!ずるい!私も連れてってよ?私だって、赤ちゃんユッフィーに会いたい」

「不味いんじゃね?光と影の英雄って1人なんでしょ?過去を変えたら戻れなくなっちゃうよ?」

「ずるい!私表に出ないから!お願い私も連れてって」

「え〜〜〜〜気持ちは痛いほど分かるけど、危険だよ」

「ねえ?アル兄。私、幼くて良くは覚えていないけど……光と影の英雄が現れたって日に、

 お母様に似てるお姉さんに、遊んでもらった記憶がある」

「それよそれ!それ絶対私!」

「しょうがないな〜連れて行くのは、

 ユッフィーの1年に一回位だぞ?ほんと危険なんだからな?戻れなくなるんだからな?」

「あ〜今直ぐ行こ?赤ちゃんの匂いって良い匂いなのよ?直ぐ堪能したい!今したい!」

「産後なのに何言ってんのよ?まずはきちっと身体を休めて元に戻しなさい」

「うっ……はい、お母様……」

「じゃ、そゆ事で、俺はこれで……」

「ちょっと待った〜 抜け駆けは、なしよ?」

「な、なぜ分かった?」

「何か不思議な感じ。フィオ姉がママで、アル兄はアルパパか〜」

「アルパパ?なんだかそれ動物みたいじゃん?ただのパパで良いよ。アル兄のままでも良いし」

「ユッフィー?おばあちゃんは辞めてね。私がお母さんでフィオナがママ。良い?」

「わしもおじいちゃんはヤダ」

「リヴァルド父さんいたの?」

「わし益々影が薄いの?空気?」

「「「「ハハハハッ…」」」」

「パ〜パ♡」

 〝デロデロデロデロ……〝

「溶けてる溶けてる!私は?」

「ママッ!」

 〝ドロドロドロドロ〝

 この後、過去に行ってはの、アルティスの人助けの活躍は、とにかく凄まじかったらしい。

 赤ちゃんユフィリナに会えるのが、そんなに嬉しかったんだね。

数ある作品の中から見つけ出し、お読みいただき、ありがとうございます。

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