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80/97

80 ゴールド?まんまじゃん?

神の力を宿し生まれ、5歳の時、創造神により神界に保護され育てられる。神界で磨かれたその力は、既に神の域すらも超えているのではと、12柱の神々は囁く。

「さ〜て〜 ここからは俺のターンだよ?」

 いつの間にかアルティスの手には、シルバーブルーに光り輝く剣が握られていた。

 一番上の頭に向かって飛び込む。四方八方から他の頭が牙を剥き襲いかかる。

 その一つ一つに剣を向け、最後に上の頭を切り付ける。

「マジ〜?この剣でもかすり傷程度しか付けられんの?

 剣神の叔父さんが、(うろこ)に傷一つ付けられなかったって聞いたけど、ほんとだったんだ。

 キメラどころの騒ぎじゃないな?こいつの方が全然でかいし」

 この分だと、魔法も打撃もたいしてダメージを与えられないだろう。

「さ〜て、どうしたもんかな〜」

 しかし、そう言うアルティスに焦りは全くない。

 怪物の放射熱線は、難なく弾けるし、鋭い牙もアルティスに掠りもしないからだ。

 小さな空間移動を繰り返すアルティス。


 アルティスのすぐ後ろに、長い首を回し放射熱線をはこうとする怪物。

 〝ドッカ〜〜ン!〝

 振り向きもしないアルティスに、裏拳で打たれ、一つの頭が吹き飛んだ。


「ちょっと待てよ〜今考え中なんだから〜 ん?あれ?あんな裏拳で頭が吹き飛んだ?

 放射熱線はこうとして、俺に口を塞がれ、中で爆発?硬いのは鱗だけで、中はいけるのか?」

 怪物が放射熱線を吐こうとする度、アルティスはタイミングを計りながら、帝級火魔法のインフェルノを叩き込む。

 8つの頭が吹き飛び、残る一番大きな頭も崩れ去る寸前だった。


「キメラと違って再生はしないんだ。ラッキ〜」

 〝グギャアォォォォォ〜〜〜〜〝

 最後の頭が断末魔の叫びをあげた……

 〝ビキビキビキ〝

 怪物の体に無数の亀裂が走り、そこから光が洩れ輝くと、突然爆発する。

「あっぶね〜!俺を道連れに自爆か〜?でも未だ真ん中で、何かが光ってるな」


 爆炎が晴れてくると、高さ10m程の、螺旋状の光が渦巻いていた。

 すると、飛び散ったはずの爆炎が戻ってくる。そして光に吸い込まれる。

 バリバリと稲妻が横に飛び交う。中から光る何かが姿を現した。


 ガーゴイルを3m程大きくした様な姿だが、顔以外は小さな金の鱗で覆われている。

 耳が尖り、湾曲した2本の大きな角が恐ろしげだ。

「お前の様な者がこの地におったとはな……」

「うわっ!喋った。 え?同じ言語(ことば)?」

「そ、そこは良いのだ……」

「あ、あの〜どちら様で?」

「つれないの〜先程まで我と戦っておっただろう?」

「あのカッコいいキメラ(もど)きさん?」

「キメラが何かは分からぬが、かいっこいいは、合ってるな。教えてやろう、我が名はゴールド」

「まんまじゃん?誰が付けたの?あ、自分でか?だっさ〜

 遥か遠くの星から来たんでしょ?何故同じ言語(ことば)話せるの?」

「………………」



「カ、カイン殿!あの禍々しい光の影は?」

「凄まじいエナジーですね。こちらからも異界の光が透けて見えるとは」

「何者でしょう?」

「あちらには、アルティス様とあのキメラ(もど)きしか居ませんから……キメラ(もど)きが形態を変化させたのではと」

「それにしても、あの凄まじく膨大なエナジー……アルティス様大丈夫でしょうか?」


(じいちゃん。ここからは覗けなくするよ。分かってくれてると思うけど……

 手の内は見せたくないからね)

(あい分かった。頼んだぞアルティス。くれぐれも油断せぬ様な)

「どうした?何か靄がかかって見えんぞ?アルティスは大丈夫か?」

「あの怪物が何かしたのでしょうか?」

「こうしてはおられない。我らも向かうか?」

「止めるのじゃ。我らではアルティスの足を引っ張るだけじゃ」

「しかし、あれは以前より、何倍も強くなっていますよ」

「だからこそじゃ。我らでは何も出来まい。アルティスを信じ待つのじゃよ」



「強い!強いよねあんた?今の俺より何倍かも? ねえねえ、俺の眷属になってくんない?」

「何を馬鹿な事を。恐怖で気でもふれたのか? いや、お前からは恐怖など微塵も感じぬな?

 なぜ、そんなに平然とした顔をしていられるのだ?」

「キメラ(もど)きの時はただ暴れるだけで、無理だと思うけど。

 今のあんたからは知性を感じるし、邪悪って感じがしないんだよね?

 見た目はグロいけどさ。あと言語(ことば)も通じるしね?」

「…………だとしても我より弱い者の眷属になんぞに、なる訳がないだろ?」

「じゃあ、俺の方が強かったらなってくれる?」

「くだらん事を喋ってないで、そろそろ始めようではないか?

 お前も我に喰われて我がエナジーになるといい」

「残念。仕方ないこのままほっといたら、皆んな捕食し尽くされちゃうからね」

 そう言うと、アルティスはゴールドの視界から消え高速移動で後ろし回り込む。

 しかしその動きをゴールドは把握しており、既に後ろに振り向いていた。

「バア〜〜」

 ニヤリと笑いながら、アルティスを揶揄(からかう)うゴールド。

「くっ……」

 慌てて後ろに距離を取るアルティス。しかし動く先々にゴールドが居る。

 〝シュシュ!シュンシュンシュンシュン!〝

 目で追うことが出来ない攻防が続く。


「フゥ〜」

 息をつくアルティス。口から一筋の赤い血が流れる。

「ほんとつえ〜や。こいつ。口の中を切られたのなんて何年ぶりだろう?」

「フフフ……そんなものか?お前の力は?我は半分の力も出しておらんぞ?」

「は、半分だ……と?」

「何を驚いておる? ん?何をニヤニヤしておる?」

「ニヤニヤ?……してないし……」

「してるだろ。やはり気でもふれたか?」

「やっぱあんたそんなに強くね〜や」

「はっ!口から血を吐きながら言うセリフか?」

「半分の力も出してない?そう言った?そんなもんか……」

「何が言いたい?」

「俺、1/100も力出してないぞ?」

「負け惜しみか?」

「負けてね〜し!」

「じゃ、負けず嫌いか?ま、嫌いではないぞ?」

「じゃあ!?」

 眷属に?と言いかけたアルティスに……

「ああ、死ね!」

 そう吐き捨てるゴールド。

数ある作品の中から見つけ出し、お読みいただき、ありがとうございます。

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