74 龍族の王
神の力を宿し生まれ、5歳の時、創造神により神界に保護され育てられる。神界で磨かれたその力は、既に神の域すらも超えているのではと、12柱の神々は囁く。
「ここは……盗賊団がアジトにしようとしてたのか…… それにしても化石?………………」
アルティスの話はこうだ。
4世紀ほど前、盗賊団が魔物の森で、この洞窟を見つけた。
魔除けの魔道具を洞窟入り口に設置し。自らも魔除けを持って生活すれば、
ここをアジトに出来るのではと考えた。
大量に、奪った金品、宝石を持ち込んだ迄は良かったのだが、この瘴気の沼は予想外だった。
次から次へと倒れていく盗賊団。誰1人残る生きながらえる者はいなかった。
残った物は、金品財宝のみ。
やがて起きた巨大地震により、洞窟の入り口は塞がれ、
ここに入り込む者はおろか、ここを知る者もいなくなる。
残された宝の中に、古代の龍の卵の化石があった。
その龍の卵の化石は、その時の巨大地震により、転がり瘴気の沼に落ちる。
その濃い……いや、濃過ぎる瘴気が長い年月を掛け、龍の化石を瘴気で満たす。
驚いた事に、化石だったはずの卵が、それによって孵化するのだった。
瘴気の龍は、更にその瘴気を食料がわりに取り込み成長する。
「つまりこの龍は少なくとも一万年程前の存在だったって事?」
「そうなるな……」
〝じいちゃん。この龍の瘴気、浄化出来ないかな?〝
〝うむ、お前達2人同時のピリフィケーションでもダメだとなると、中々難しいのう。
長い年月で、瘴気龍自体が、魔法を受け付けな様なものに、進化してしまっておる〝
〝この龍。悪い奴じゃないし、この状況の中でよく感情を保ってるなって……気の毒なんだよね〝
〝うむ……そう言えば、お前、赤龍と懇意にしておったろ?〝
〝赤龍がどうしたの?〝
〝龍達はな、マナを糧として成長する。もちろん食事もするがな?
奴らはマナ溜まりの側で、子育てをする事が多いのじゃ。
マナ溜まりの近くには、えてして瘴気溜まりも存在する事が多い。
成龍ともなれば、瘴気の影響は受けなくなるが、
子の時に瘴気を取り込んでしまうと、その龍の様に瘴気龍となるか、死んでしまう。〝
〝表裏一体だね。マナ溜まりの側がいいかどうかってなるね〝
〝遠い昔の事じゃ。龍共の王と呼ばれていた者がおってな?
自分の命と引き換えに14個の守りを作った。
龍族は、それを孵化した子に持たせ、瘴気から守る様になったのじゃ〝
「アル?押しだまっちゃってどうしたの?」
「今、創造神のじいちゃんと話してるんだ。少し待ってて」
〝それで?〝
〝赤龍も持っている筈じゃ。それを借りて、その瘴気龍に使ってみれば、何か変化があるかも知れん。
上手くいくかは賭けじゃがやってみる価値はある〝
「分かった。赤龍と話してみる」
「え、赤龍様と、何を話すの?」
「話は後で。瘴気龍、お前の仲間の赤龍の所に行ってくる。少し待っててくれ」
「上手くいくと思うか?」
「えっ?お前、話を聞いていたのか?」
「ああ、我は思念を読み取れる様だ。飛び交う思念を読む事で、言葉も覚えたのだよ」
「なら話は早い。少し待っててくれ」
「……と言う事なんだよ、赤龍のじいちゃん。どう思う?」
「その守りと言うのはこの勾玉の事じゃよ。以前アルティスに話したじゃろ?
親から子へ代々伝わる物だと。これには悲しい物語があってな?」
今は昔、そう一万年程前の物語。
龍族には、赤、橙、黄、緑、青、藍、紫と、7色の龍が居る。
その中に金属の様に七色に光を反射する龍が生まれ、成長すると龍を纏め王となる。
2000年生きたその龍は、子宝に恵まれなかった。
子供が大好きだった龍王の番は、神に子を願い続けるも、叶う事はなかった。
ある日の事。大洪水に見舞われた人族の街の上、少し離れた所を偶々飛んでいた龍王の番。
避難所を襲った大洪水が、30人の子供達を飲み込んでいた。
子供を愛する龍王の番は、人の子であろうと何であろうと、放っておく事は出来なかった。
近づき助けようとする龍に、襲われると勘違いした人族の大人は槍を投げたり、魔法を放ったり、攻撃する。
傷付きながらも、最後まで子供達を助ける龍王の番。
住処に戻った時には、無抵抗だった事もあり、全身傷だらけ。命が尽きんばかりだった。
「何があったのじゃ?誰にこんな酷い傷を……」
「大洪水から人の子を助けて……」
「違うだろ!槍も刺さっておるではないか。くそ〜〜人族め!」
「良いの。人も子供を守ろうとしただけ……」
するとその時、天から光が降りてきて龍王の番を照らす。
暖かい光は見る見る傷を治していく。
すっかり傷が癒えると龍王の番は空を見上げる。
そこには、光り輝く人型の何かが居た。
「私は生命神。貴方の優しい心根に、心がうたれました。貴方に何か一つだけ願いを叶えましょう」
「本当ですか?何でも願いを叶えて頂けるのですか?」
「願いは何ですか?」
「私達に子を!子供を授けて頂けませんか?」
「……それは余りお勧めしません」
「な、何故ですか?」
「貴方の年齢、そして治したとはいえ、ダメージの残ったその体では……命の保証はできません」
「良いのです。私はもう十分生きました。どうかどうか……」
「………………」
こうして龍王の番は卵を産む。その命と引き換えに。
「龍王様、もうそろそろですか?」
「うむ。後3日だな?卵の中で元気に動いておるよ」
そんな時だった。
「大変です!龍王様!青龍の子が瘴気に侵され大暴れしております」
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