表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

72/97

72 そのトロトロの顔やめて。ほんとやめて

神の力を宿し生まれ、5歳の時、創造神により神界に保護され育てられる。神界で磨かれたその力は、既に神の域すらも超えているのではと、12柱の神々は囁く。

「キャッ!驚いた。急に目の前に現れないのよ?アル君?」

「ごめんエリザベス母さん。ただいま」

「貴方達、もう戻ってきたの?暫く滞在するんじゃ無かった?」

「あっち食べる物ないから。それに折角だからこっちの美味しい料理食べたいでしょ?

 すぐに戻るよ?な、フィオナ?」

 〝コクコクコク……〝

 エリザベスと、目を合わせられず、横を向いて、うなづくフィオナ。

「ん?どうしたのフィオナ?顔が赤いわよ?」

「……う……う〜〜」

「どうしたのよ?変よ?何か喋りなさい?」

「……だから……折角だから、ホテルの美味しい料理食べに……」

「あらららら?フィオナの赤い顔。アル君のニヤけて、とろけそうにゆるい顔。

 あらららら?そういう事?」


 〝ボンッ〝フィオナの顔がさらに真っ赤になる。

 〝にへら〜〝アルティスの顔がさらにだらし無く溶ける。

「そう。フィオナがね……良かったわね?」


「お〜、お前達もう戻ったのか?」

「あっ、お、お父様。夕飯を食べに来ただけよ?すぐ戻るから……」

「お〜、それもそうか、向こうは食べる物が無いのか?」

「ぁ、ァル……ヵォ顔……」

「何だコソコソ? ん?アルティス?何じゃそのだらしない顔は?」

「な、何でも無いからね……さ、アル、食べに行くよ」

「ん?何だ?どうしたんだ?あ奴ら?」

「貴方。大人になったのよ?あの2人」

「あ……そうか……そう言う事か……寂しくも有り……だな?」



「貴方、そのトロトロの顔やめて。ほんとやめて。お願いだからやめて。

 バレバレなんだから。恥ずかしいんだから」

「え?どんな顔?」

「その顔よ?その……ハイッ!」

 手鏡をアルティスに突き付けるフィオナ。

「ウワッ!誰だ?このイケメン!」

「あ゛? ふざけてると二度と……それでも良いのかしら?」

「ノオ〜〜〜〜  キ、キリッ!」

「口だけ、キリするな」

「イエ〜〜〜〜ス!  キ、キリッ!」

「良い度胸じゃ無い……」

「え?嘘?治んない?」


 〝グッグググググ……〝顔に力を入れて引き締めるアルティス。

「うん。それで良し」

 〝トロ〜〜〜〜ン〝

「あ゛?」

「い?」

「な、何だよ〜 フィオナだって、顔真っ赤にして、しどろもどろ……

 バレバレって言うなら、同じだぞ?」

「だ、だってさ〜 ねえ、早く食べてログハウス戻ろ?」

「早く、続きがしたいと?」

「殺すわよ?」

「こ、怖っ……フィオナ。結婚した途端鬼嫁になった……」

「あ゛?なんか言った?」

「滅相もございませんにゃ。奥様……」



「仲良いわね?新婚ホヤホヤのお2人さん?」

「「あ、ソフィア」」

「見なかったけど、何処か行ってたの?」

「北のビーチでのんびりね」

「北にもビーチが有るの?どんな感じ?」

「開発前のこことおんなじ感じだな。砂も真っ白、ホワイトビーチ。

 何も手が入ってないから、ホテルも道路も無くて、景色は違うけどな」

「一番違うのは、人が誰も居ないって事よね」

「あ〜〜良いな〜 明日は私も連れて…… そうか?新婚さんのお邪魔しちゃダメでした」

「俺は良いぞ?ソフィア。その代わりヌーディストビーチだからな?」

「……遠慮しておきます。オホホホホ」

「あ゛?それ以上喋るな!分かってるでしょうね?」

「お、俺の奥さん怖い。早く食べて戻りましょうニャン」

 こうして2人は、残りの2日をホワイトビーチを満喫した。



「アルティス様、ホテルへの就職希望者が殺到しているのですが?いかが致しましょう?」

 ハートがアルティスに、思いもよらなかった事を告げた。

「はい?どう言う事?」

「ホテルに泊まっている方々は、上流階級の人達なのですが……」

「だよね?結婚式に来てくれた人達って、王家の招待だから、貴族の人とかばかりでしょ?

 就職希望って……そんな事ある?」

「予約無しで来た方々が、沢山居られたでしょう?あの方達が、

 この島に心酔し、アルティス様に心酔し……」

「島は分かるけど、何で俺?」

「滞在する所を、無償で提供し、食事も与えましたでしょう。

 更には、ホテルの従業員の為の街、家、その水準の高さを目の当たりにし、

 どうしても、アルティス様の(もと)で働きたいと……こんな島で暮らしたいと……」

「そうなんだ……この島の規模を10倍位にするつもりだから、人は必要だけど、

 その人達全員の住む所とか、直ぐには無理だよね?」

「あの仮設住宅で、十分だと言っております」

「え〜と?仮設だよ?」

「仮設ですな……」

「分かった。住まいについては、取り敢えず、そこに住んでもらうとして、

 一度全員集めてくれるかな?変な人がいないかどうか、それだけ見て採用するから、

 後はハートさんと、リゾートの総支配人の、バザールさんで進めてもらって良い?」

「承知しました。私も方向性だけ決めて、後はバザールに任せようと思います」


 こうして、図らずも従業員を確保したこの島は、

 わずか数年で、世界でも類を見ない、一大リゾートとなるのだった。

数ある作品の中から見つけ出し、お読みいただき、ありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ