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60 え?サタン?誰?

神の力を宿し生まれ、5歳の時、創造神により神界に保護され育てられる。神界で磨かれたその力は、既に神の域すらも超えているのではと、12柱の神々は囁く。

光り輝き、目にも見えない程のスピードで、アルティスに迫り、切り掛かる人狼。

〝シュンシュンシュン!ザッツザッツザン!〝

切先(きっさき)がまるで見えない。かなりの腕だ。しかしアルティスには、傷一つ付けられていない。


「お、お前……切っても切っても、何故、血の一滴すら流れない。もしや切れてないのか?」

「そう、切ってないからだよ?高速で避けて元の位置に戻る……

ギリギリで交わしているから切った様に思うでしょ?」

「う、嘘だ!何のトリックだ!卑怯だぞ」

「トリック?お前まさか格闘技の世界チャンピオンか?天下一武道会出た事ある?」

「へ?天下一……」

「ハハハ……確かにお前強いけどさ〜先ずは光るの止めなよ。そして戦う事に集中しな。

お前のは光ながら攻撃しているだけでしょ?どうやって光ってるの?」

「ただの光魔法に決まってるだろ?お前は違うと?」

「見たこと無くて聞いただけだと、そうなっちゃう?そもそも何で俺の真似してるんだよ?

空を飛んでる時の俺は、薄く貼った結界が空気と擦れて高温になって光るんだよ?

戦ってる時に光るのは、(まと)ったマナ量が多くて輝いてるの。

自分の意思で光ってるんじゃないから。

ただ光魔法で光っても意味ないじゃん。それするにも神経使うだろ?

昼間に光らせるには、結構な魔力量もいるし……

もっと戦う事に集中しろよ。

この前見た俺の真似した演劇団の人かと思ったよ?」


「こうすれば防御力が上がるんじゃないのか?勇者様一行の誰かが言ってた様な?」

「そいつが光りながら戦う様に言ったの?俺が暴れてる様に見せたかったんじゃないの?それ言った奴。騙されてないか?サタン」

「そんな訳あるか!クッソ〜 え?サタン?誰?」

「さあ?知らね……ちょっと見てろよ?」


アルティスは、ふわりと空に浮かび上がり、見る見る加速していく。

 “ドンッ、ドンッ、ドドドンッ!“ 加速する度、空気とぶつかり、その衝撃によりアルティスの飛んだ跡には、丸い波紋が幾重にも連なる。

アルティスの身体に青白い炎が纏う。更にスピードが増し、その炎が白銀の輝く光になる。


「どうだ?分かったか?」

「いや……早すぎて何も見えなかった……」

「……え?」


「もう良い、こうなったら奥の手だ!見てろよ。俺は獣化できるんだ……

獣化した俺は、未だ誰にも負けた事がない。

ちょっと制御出来なくなるから、手加減できんぞ?覚悟しろ!

(けもの)の様に走り(けもの)の様に襲う。そうなったらもう、お前に勝ち目は無い」

「獣化か?面白い……良いよ?待っててやるからやってみ?サタン」

(無理ですね) (無理でしょう) (無理だな)

だってアルティス、あいつは獣の前にバが付く〝化け物()〝なのだから。

皆んなが、そう思い、ため息をついたその一瞬で決着がついた。


一回転しながら、手のひらで軽くみぞうちに当てた打撃。

だがそれには(マナ)が込められている。

その1発で、足が震えて立てなくなる人狼の少年。


「つ、つえ〜!何だ?お前?そ、その強さは……獣化してもまるで歯が立たない」

「俺はな、生まれた時に神聖力が宿り、訳あって5歳の時から10年、神界で暮らしたんだ。創造神から孫の様に、他の神々から子同然に育ててもらった。ただそれだけ。

別に神を名乗る訳じゃないぞ?」

「ただ神聖力を貰っただけで何の努力もせず強くなったのか?

俺がこれまでどれ程の努力を重ねたと思ってるんだ?

お前なんて、ただのラッキー小僧?ずるみたいなもんだろ」


「何言ってんのお前?アルが闘神、剣神、魔法神達から、どれだけキツい修行をつけられたと思ってんの?

それも5歳の幼き頃からだぞ?ただ育てて貰っただけのはずないだろ?」

不快感を露わにバートランドが言う。

「ん?キツくなかったぞ?楽しかったな……叔父さん達との修行は」

「あの修行を楽しいと言えるのはお前だけだよ?神界での話を、お前から聞いた時は背筋が凍って、冷や汗が止まらなかったぞ」

「そうかな? ああそれと、老人(狼人)に一つだけ言っておく。お前達獣人と、人族も、魔族も、そして悪魔……

カイン……こいつはもう悪魔とは違うがな?姿かたちは違えども、皆んなそれほど変わらない。

こいつら皆んな俺の家族なんだ。お前少し井の中の蛙だぞ。

村に帰る前に色々、世界を回ってみると良い。それが分かったらまた俺の所に来いよ。

お前単純だけど悪い奴じゃない。正義感が有り、力も有る。その時はお前も俺の家族になれ」

「………………狼人(老人)じゃね〜し……人狼だつ〜の…………」


「ハートさん、こいつに少し路銀あげてくれる?しばらく旅が出来る位で良いから。

じゃあな! あっそうだ、聞いてなかったな?

……君の名は?」

「……タキ……」

村の名はイトモリ?空に彗星が流れている。落ちないよな?彗星……

数ある作品の中から見つけ出し、お読みいただき、ありがとうございます。

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