51 龍神、赤龍
神の力を宿し生まれ、5歳の時、創造神により神界に保護され育てられる。神界で磨かれたその力は、既に神の域すらも超えているのではと、12柱の神々は囁く。
「ダ〜ハハハ!そうだろアル〜そう思うだろ?」
「そうそう笑っちゃうよな〜」
フィオナが、おっかなびっくりガラスのドームで転移すると、そこはフェイト領のアルティスの書斎。
外からアルティス達の楽しそうな笑い声が聞こえてくる。
「アル〜ゥ」
「あ、フィナ?」
「お〜これは奥方殿!」
「あ、こんにちは、魔王のバートさん。でも未だ奥方じゃないからね?」
「どしたのフィナ?この肉食べない?すんごく美味しいよ?」
「こんなに沢山。豪勢ね?外で食べるご飯は美味しいわよね」
「ここはね、広場の端に調理場作って、いつも食べ物無料で出してるんだよ。
誰がいつ食べにきてもいい様にしてるんだ
それに、俺が来ると何時も皆んながいろんな物もってきてくれるの。
でね、この美味し〜い肉はバートだよ」
「うん、ハートさんから聞いたわよ?ミーノータウロスの初採れ肉なんでしょ?
それに皆んなからも持ち寄って頂いて有難いわね。貴方皆んなから愛されてるのね」
「ささ、フィナもどうぞどうぞ」
「ありがと……でもアルごめん。ちょっと貴方に、お願いがあって探しにきたの。食事はまた今度頂くわ」
「そか。どこに行けば良い?」
「未だ、お願い事言ってないのに?」
「フィナの頼みだからね。困り事だっていうのは俺には伝わるよ?
俺にできる事なら何でもするさ」
「ありがと!じゃあ、楽しそうな食事中悪いんだけど、一度王城に戻ってくれる?」
「分かった。バート悪い、皆んなも。またね〜」
「んじゃ俺は、ハート殿と、もう少し食ってくよ」
「あのね。ソフィアの故郷が不作で食料が足りなくて困ってるんだって。
貴方に相談すれば?って言ったんだけど、そこまでの事じゃないって遠慮して」
「ソフィアの故郷って、ハーゲンさんやハートさんの故郷って事だよね?
家族だって言ったのに水臭いな。2人からも、何にも聞いてないよ?」
「貴方、なんやかんや忙しそうでしょ?それで遠慮してるのよ。でも少し変な話なのよね」
「何が?」
「不作って言ってたけど、少し違うみたいよ?農地が荒らされてるみたいなのよ?
何かね、野生動物?時には魔物とかが荒らすみたいよ?そう言う被害が急に増えたとか」
「対策してないの?普通してるよね」
「そんな事ないと思うわよ?多分だけど。 私も未だ詳しくは聞いてないから、分からないけど」
「急に増えた原因は分かってるのかな?」
「どうも魔物の領域で、龍が暴れて、そこから逃げ出した野生動物とかに荒らされてるんじゃないかって」
「龍位なら今の騎士団なら何とかなるんじゃない?ちゃんと戦える様になったでしょ?彼ら……
何で直ぐに派遣しないのかな?」
「そうよね?お父様に聞いてみる?」
「ああそれか……それなんだが……派遣したんじゃよ? しかし、まるで相手にならず、命からがら逃げ帰ったらしい。俺も今朝知ったんだがな。龍は龍でも赤龍だったと……」
「あの最古の古龍と言われている?それって龍神と言われる程、神に1番近い存在……と言うか神扱いされてる龍でしょ?」
「え?赤龍?ウソ?あいつ喋る事も出来るし、意味なく暴れる様な龍じゃないけど?」
「アル。赤龍知ってるの?会ったことあるとか?」
「うん。赤龍だろ?優しくて良いお爺ちゃん龍だったぞ?
しかもソフィアの故郷ってカンビークだろ?あの辺あいつの生息地じゃないけどな?
まあ良いや、取り急ぎ行ってみるよ」
そう言って出て行ったアルティスが、半日もしないで帰って来た。
「お帰りアル。いつもながら……ってさすがに早すぎじゃない?」
「それがさ〜赤龍のじいちゃん居なかったんだよ?気配もなかったぞ」
「え?そうなの?それで……早かった?早々に帰ってきたの?」
「うん。でも傷んだ魔物よけの柵を直して、結界も張ってきたよ。
畑にはエーテルの力で、大地の恵みもどきを、施してきたから、農作物は、じきに回復するんじゃないかな?」
「アル君。本当に助かるわ。ハート叔父さんに聞いたけど、食料も大量に送る様に指示してくれたんだって?
それにハート叔父さん、フィオナの困り事が、自分達の故郷の事だったとは……って恐縮してたわ」
「いや、大量って程じゃないよ?食料は必要としている所が有れば、魔族領だろうがどこだろうが、
その都度あるだけ送っちゃってるから、フェイト商会には、そんなにストックは無いんだって」
「ううん。皆んなに行き渡る程、大量の食料だって叔父さん言ってたわ。ありがとアルくん」
「アル、家族をたくさん増やすんだって言ってたけど、最近人類……いえ、魔族も皆兄弟!みたいになってきたわね?」
「そうでも無いよ?いろんな人がやって来るけど、何か下心見え見えで、擦り寄ってくる奴多くてさ……
ほら俺そいつの本質が見えちゃうだろ?
自分さえ良ければって、10の話の中で11嘘つく奴いて、悲しくなる時があるよ」
「いやよね?計算合ってないけど……」
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