41 アルには、これが日常よ?
神の力を宿し生まれ、5歳の時、創造神により神界に保護され育てられる。神界で磨かれたその力は、既に神の域すらも超えているのではと、12柱の神々は囁く。
「ね〜カイン……この大掛かりな魔道具は何だか分かる?」
「はい、どうやらこれは、地脈のマナを吸い取り、純粋なエネルギーに換える魔道具の様ですね。
そしてここからエネルギーを、どこかへ次元転移させている様です」
「んじゃ、これを壊せば、地脈の件は解決?」
「それはそうですが、壊さずとも外すだけでよろしいのでは?
それは持ち帰って調べれば何かの役に立つかと……」
「確かに。でもこんな複雑なのわかる人居る?誰か調べられるかな〜?」
「私にお任せ下さい。少し調べてみます」
「カイル分かるの?めっちゃ優秀じゃん!」
「お褒めにあずかり恐悦至極。それと我が君、そこの台座は次元転送装置なれば、
壊しておけばもう奴らはここには来れなくなります」
「了か〜い!」
何ととんでもなく強く、そして優秀なブレーンがアルティスについた様だ。
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「で、ここには何が有るのかな?アル分かる?」
「悪魔の神殿みたいなのが有ったよ」
「有ったよって、もう行ってきたの?」
「うん説明しても良いけど、それより皆んなも行って、見てみない?
百聞は一見にしかずって言うじゃん」
「行って見てみないって、悪魔の神殿なんでしょ?危険じゃ無い?大丈夫なの」
「うん、悪魔達は退治したし、もう何も居ないよ?瘴気も消したから安全」
「なら行ってみますか……」
「ちよっ、お待ちください。ひ、姫様、普通に納得してらっしゃいますが、
この短時間で悪魔達を退治し、瘴気も消した?信じ難いのですが……」
「ああ……でしょうね?でもアルには、これが日常よ?その内いやでも分かるわ」
「あの悪魔神……ププッ、改め魔神?とかの人型になったのも居たよ」
「悪魔の神、また出たの?……それも倒したって事?」
「いや、逃げられた……」
「貴方からは神も逃げ出すって事?」
「あれは神なのか?悪魔に聞いたけど、数千年前は魔界にそんな者いなかったって言ってたよ?
今の事は分からないとも言ってたけど……」
「悪魔に聞いたってどう言う事?」
「そこは気にしなくて良いから」
「気にするでしょ!いつもいつも、さらっととんでもない事言うんだから」
「えっと……驚かないでね。 サモン!カイン……」
「お呼びですか?我が君」
現れる赤い目のイケメン若紳士。
「この人、俺の友達の元上位悪魔、カイン」
「おお、友達とは恐れ多い……私はアルティス様の眷属カインでございます。よろしくお願い申し上げます。奥様」
「お……奥様なんて……未だ私……」
ボン!と真っ赤になるフィオナ。身体をくねくねしている。
「驚く事忘れちゃったね?フィナ?扱いが上手いなカインは」
「恐悦至極」
「そんじゃ行きますか?皆んな丸くなって手を繋いで〜」
「うわ〜思ってたよりずっと広いのね?悪魔なのに何故か本当に神殿みたいね?
悪魔と神殿ってなんかイメージ合わないんだけど……あっごめんね、カインさん」
「お気になさらずに。アルティス様の眷属になり、私から邪気が消え去りエーテルで満たされております。
私の存在はもう既に悪魔ではございません。
あ、それと、私の事はカインと呼び捨てでお呼び下さい。奥様」
「奥様は恥ずかしいんで、私の事もフィオナとお呼んでね?」
「畏まりました。フィオナ様」
「それでね、ここに大きな魔導装置が有ったんだよ。それがどうやら地脈からマナを吸い取ってたみたい。
解体したから、地脈の事はもう大丈夫だと思うよ?
もうそろそろ暗くなるから、世界樹の事は明日にでも確認してみようよ」
「あ、あの……姫様。すぐさま来て頂いたのは、とても有り難いのですが……
思っていたよりずっと早いお着きだったもので……その、宿が確保できておりませんで……」
「あ〜お祭りと重なってしまったのね。宿もいっぱいか」
「良いじゃん。城に帰れば。瞬間で移動出来るんだから。一旦帰って、又明日来よ?」
「せっかく来たのだから、街やら宿やら楽しみたかったんだけど、遊びに来たわけじゃ無いから仕方ないわね」
「この様な事を想定して、騎士団で常時宿を3室抑えてあるのですが、
今日はお祭りで先客がおりまして……今更断れず……
あ、1室だったらご用意できるのですが、ベットが2つしか……」
「問題ございません!何ならベッド1つでも良いのです」
「アル?何急に泊まる気になってるのよ。
まあ、私とソフィアが1つのベッド使えば良いか?昔良く一緒に寝たものね〜」
「え〜〜〜〜〜〜」
「何が、え〜よ?悪い顔して。まさか変なこと考えてないでしょね?」
「滅相もございません……」
「じゃあそうして頂こうかしら。ランドールさん。
ソフィア、私達はせっかくだからお祭りでものぞいてみる?」
「ねえねえフィオナ……残りの2室って気にならない?私嫌な予感が……」
「ソフィアの予感? うげっ……それか〜 忘れてた。 あの人達ね……」
「あ、あの?考えてる事が分かってしまったのですが……申し訳ございませんが……ビンゴ……です」
「出会わないように祈るわ……」
「勇者パーティー?」
「言わないで……」
「そんなにか?」
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