40 神の孫が悪魔と眷属契約〜〜?
神の力を宿し生まれ、5歳の時、創造神により神界に保護され育てられる。神界で磨かれたその力は、既に神の域すらも超えているのではと、12柱の神々は囁く。
ここは王城の地下、聖なる泉の一つ上の階層に有る禁書庫。
書庫とは言うが、書物だけで無く、呪われた物やら何やら、
決して外には出せない、怪しい物が数々保管された場所……
王国代々に渡り、門外不出となっている物が数多く有った。
城内の別に設けられている、一般の図書館で調べては見たものの、確信をつく物は見当たらず、
ここ禁書庫で調べてみる事にした。無論、許可は得ていない。
(じいちゃんは、関わりが、ほぼ無いって言ってたけど、
ここ、色々やばい資料が有るじゃん。なんか隠してない?じいちゃん)
手当たり次第に、悪魔に関する資料を、読み漁るアルティス。尋常じゃない速さだ。
「何だこれ?」
人型の石像?古い布に包まれて、その布は、余り見かけたことの無い文字で埋め尽くされている。
所々隙間から石膏の様な物が垣間見える。何かの像か?やばそうな像だな?
「これ確かルーン文字ってやつだっけ? えーと……我が神の力で〜〜汝の呪縛?を解き放たん?
汝の名はカ……イン……いや、そうじゃないな……
我が神の力で、汝を呪縛せしめん……か?
汝を呪縛せしめん者の名はカルセイン……
ああこれやったのは、大昔の大賢者カルセイン様か……むずいねルーン文字」
先程から、思った事が、独り言で口から出てしまっているアルティス。
すると、何やら包んでいる布が輝き出す。
「あ……あれれ……」
更に輝きが増すと、布が端から消えて無くなっていく。
見えてきたものは、胸に手をやり片膝を付く男。何、このイケメン?モーニングスーツ着てるし……
「数千年に渡る呪縛を解き放し者……我が君。
我に名まで付けて頂き感謝の極み。我が永遠の忠誠を貴方様に」
「だ、誰?赤い目をした、お前……悪魔なのか?
だとしても、その力量……ただ者では無いな?かなりの上位悪魔なのか?」
「私はバアル・ゼブル。まあ他人はベルゼブブと呼びますが。序列2位の悪魔でございました。
今は貴方様より〝カイン〝の名を授かり、力が漲っておりますれば、
我より力のある悪魔は、他に居ないかと……」
「え〜と?呪縛を解き放した?俺が?名を付けた?俺が?何で?」
「何で?と申されましても……貴方様の尋常で無いエーテルと、呪禁で我は解き放されたのです。
そして更に、私をカインとお呼び下さり、名付け頂いた事で,私との眷属契約が成立致しました」
「あ〜〜俺、なんかやらかしちゃった〜〜? 神の孫が悪魔と眷属契約〜〜?」
「貴方様との契約が成り立った事で、私の邪気は消え去り、貴方様のエーテルで満たされました故、何の心配もございません。我が君」
「心配だらけなんだけど〜〜って、ん?待てよ?悪魔の事、お前から聞き放題じゃん?
もしかしてラッキ〜……なのか?
あれ、あれれ?今もしかして、俺のエーテルが宿ったって言った?」
「はい、貴方様の途方もない神聖力に晒され、永遠の忠誠を受け入れた事で、
私に貴方様のエーテルが宿りました。
それにより私の力は数倍にも跳ね上がりました。感謝の極み……
私は貴方様の忠実な僕……
貴方様の望みとあらば、悪魔の事なり何なり……全てお答えいたします。
他にも、ご用があれば、私は貴方様の異空に居りますので、何時でもお呼び出し下さい。
どんな事でもお役に立ってみせます。我が君」
「えーと……今日の事は皆んなには内緒ね……」
上位悪魔を眷属にした事?隠し通せる訳ないぞアルティス。
*************************
「あれは最下位の悪魔、ガーゴイルで間違いございません。私が掃除致しましょう」
そい言った次の瞬間、光と共にガーゴイルは、一瞬で目の前から消えて無くなった。カイン強〜〜。
「うぇっ瘴気……濃〜〜マジ気持ち悪……オリャ〜〜」
アルティスの〝オリャ〜〜〝という一声で、瘴気が掌の上に集まり、
エーテルの力で一瞬にして浄化された。
濃い瘴気が消えると、急に辺りが明るくなる。
化粧柱に装飾を施した壁。何やらここは神殿の様な造りだ。
「何事だ!? あ、貴様、アルティス?どういうしてここに?」
少し霞んで認識しづらいが人型の悪魔が現れた。
「誰?俺を〝アルティス〝と呼ぶお前? あれ?その気配……あの時の……ププッ 悪魔神の球?」
「……………我は魔神……」
「あっ、変えやがった!その呼び名、俺が提案したやつじゃん?うける〜〜」
「我が君を呼び捨てとは、万死に値します」
〝バシュッ!〝
「あっ、カイン瞬殺?だめだよ少し話したかったのに」
「これは申し訳ございません」
「それにしても神とか言ってて、悪魔に瞬殺されるか?普通?」
「ば、バカ者!それは我の思念体じゃ!我がそう簡単にやられてたまるか……たまるか……たまるか……」
どこからか聞こえてくる声。しかしそれは、だんだんと遠ざかる。
「ちょ、待てよ〜」
「今は未だその時では無いと言ったであろう」
「お〜いお〜い! ちぇ、返事無い。逃げたか?」
「逃げてなんぞおらんわ!ば〜か!」
「あっ、こいつ負けず嫌いな?」
それ以降、何を言っても返事は無かった。
数ある作品の中から見つけ出し、お読みいただき、ありがとうございます。




