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34 少し俺の事舐めてませんか?

神の力を宿し生まれ、5歳の時、創造神により神界に保護され育てられる。神界で磨かれたその力は、既に神の域すらも超えているのではと、12柱の神々は囁く。

 休憩も挟まず、今度は剣術での立ち合いが始まる。

「俺を本当に切り裂くつもりで、真剣(しんけん)を振るってくれる?」

「いや……真剣って……流石にそれは危険では?大怪我しますよ?」

「問題無いから、真剣使って……俺の技量を見たいんでしょ?」

「そうですか……少し俺の事舐めてませんか?

 ま、良いでしょう。遠慮なく、いかせてもらいますよ」

「うん。最初、俺からは攻撃しないで、防御だけするから。

 俺を魔族かなんかだと思って、思いっきり本気で掛かってきて」

「だからそれが、舐めてるって言うんだよ……」

 小声でぶつぶつ……不服そうなサインツ。


「初め!」

 サインツは、腰を屈めたかと思うと、アルティスに向かって、超速で飛び掛かった。

 天才と言われてるだけあって、勇者などより遥かに早く、剣先も鋭い。


 〝ざんざんざん…………ビュンビュンビュンビュン!〝

 サインツの剣が、アルティスの身体を容赦なく切り刻む。しかし……


「な、何故切れていないんだ?確実に切りさいたはず……」

「……切ってないから切れてないんでしょ?それとも切った手応えでもあった?」

「な、何で?何がどうなってる?魔法とか使ってるんじゃ無いのか?」

「いや、普通に()けてるんだけど?」

「そ、そんな……避ける動作が見えないなんて……そんなスピードあり得ない……

 本当に身体強化とかじゃないのか?」

「してないよ?魔法禁止なんでしょ?身体強化とかしたら、こんな感じだよ」


 〝スッ〝とアルティスが視界から消えた。

 〝ズバン!ズバン!ビュ〜〜ン!ビュ〜〜ン!〝

 音はする。風も吹けど、アルティスの姿は、残像すらも見えない。


「見えた?」

 忽然とサインツの目の前に、姿を現すアルティス。

「これね〜身体強化と同時に、地面も魔法で強化しないと、全然早く動けないんだよ?

 地面がクレーターだらけになって、蹴り出す力が逃げちゃうの。結構むずいよ?」


「……………………参りました……」

「えっ?もう良いの?未だ、な〜んも剣技見せてないけど?」

「剣技以前に、目に見えない程のスピードの相手には、手も足も出ません……」

 震えが止まらないサインツ。

(とんでもねえ圧だよこの人。目の前に立たれなきゃ、気付かね〜かもしんねえが……)


「そっか〜 分かったよ。じゃあ、これで終了。

 でも、サインツさん、凄く良い感じにマナ使えてるね?

 でも、まだまだ上達の余地があるよ?

 今からマナの動き、目で見える様に可視化してみせるから、それをコントロールしてみて」

 手合わせが、いつの間にか、アルティスの講義に代わっていた。

 皆んな目を輝かせて、アルティスの話に耳を傾けている。


「上手くいった様ですな?」

「アルが、魔法を打ち始めた時は、ヒヤヒヤしたぞ?

 それにしても、初めて見たが、我が国の先鋭の騎士団だろ?やつら。

 それがだ……アルティスの間に、これ程までの差があるとは。

 驚きを通り越して、呆れるばかりだぞ」

「私も初めて見ましたが、改めて思い知らされました。

 あの力あって初めて魔族を撃退出来たのだと。

 アルティス殿が、戻ってくれていなかったら、今頃王国はどうなっていたのやら……

 娘も失うところだったかと思うと、今更ながら、恐ろしくなりますな……」

「おちゃらけた……いや本人は真面目にか?

 あのアルティス猫とかの姿を、普段見せられてると、つい忘れてしまうが、

 言われてみれば、アルティスが居なければ、

 フィオナとて、無事ではいられなかっただろう……

 神が与えてくれた奇跡なのかもしれん……

 で?あいつは今、何をレクチャーしておるのだ?」


「ちゃうちゃう、猫耳の様に手を頭の上に乗せるの。

 そんで〜〜顔を斜めに、にっこり笑顔で!」

「「……………………」」



「アルティス殿!驚きです。この短時間で、騎士団をここまで変えるとは。

 騎士団、魔法騎士団とも、大きく戦力アップしております」

「今迄、皆んなが一生懸命訓練してきたからだね。

 基礎が出来ていなければ、こうは簡単にいかなかったよ?でしょ?団長さん達」

「あの……厚かましいのですが……出来れば地方の各支部の者にも、一度ご教授頂けませんか?」

「あ……ごめん。こう見えても、俺今、凄く忙しくて、時間取れないかな?

 でもね、貴方達が教則本みたいに使ってる、

 大昔に、神から授かったとか言われている指導書の写しね?

 あれ、見せて貰ったけど、写しを繰り返してるうちにメチャクチャになってるよ。

 で、神達が新たに、それぞれの〝手引書〝って言ってたけど……渡されているから、

 今は、それ読んで訓練してみてくれないかな?

 分らない事あれば、いつでも聞きにきてくれて良いからさ」

「「か……神様達が……」」

 皆んなの尻尾が激しく揺れている。アルティスが猫教えたから?気のせいかな?

数ある作品の中から見つけ出し、お読みいただき、ありがとうございます。

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