33 圧倒的な魔力の差
神の力を宿し生まれ、5歳の時、創造神により神界に保護され育てられる。神界で磨かれたその力は、既に神の域すらも超えているのではと、12柱の神々は囁く。
「アルティス殿」
「あっ、ハーゲンさん。何?」
「ここにいるミリアムは、近い将来、魔法騎士団を任されるであろうと言われている者です。
そしてこのサインツは、この若さで、騎士団中隊長になった天才。
あの勇者よりも、素質は上だと言われております。
どうでしょう。ミリアムとは魔法のみ、サインツとは剣のみで立ち合ってみては頂けませんか?
先ずはアルティス殿の力を、皆に見てもらうというのは如何でしょうか?」
「良いけど?何で?」
「講師の力量を知るのも必要かと……」
「ふ〜ん……でも何故、魔法のみ、剣のみなの?」
「アルティス殿は、いつも、魔法、武力の合わせ技で戦っているのでしょう?
魔法使いには魔法のみ、剣士には剣のみで、
それぞれの力量を示した方が、皆に理解させ易いと思うのですが?」
「そかな?まあ良いけど?じゃあやってみる?」
「望むところっす!」
「貴方の魔力、お見せ下さい」
ハーゲンの提案で、急遽、手合わせが行われる事になった。
「初め!」
騎士団全員が、大きな輪になって見つめる中、先ずは魔法での立ち合いが始まる。
「あっ、あうあうっ……」
「何をしているんだ?ミリアムは?」
〝あうあう〝とだけ言って一歩も動かないミリアム。
アルティスの魔法で拘束され指一本も動かせないでいた。
更には、声も出せず詠唱すら出来ない。
つまり戦うどころか、何も出来ずに、されるがままだ。
無詠唱で、何のアクションもせず魔法を放った為、
見ている者には何が起きているのか全く分らずにいる。
次にアルティスは、空に向け人差し指で〝ピンッ〝と何かを弾いた。
〝ズッガガガ〜〜ン!〝空中で大爆発が起きる。
周りで見ていた者達は、その高熱を避けようと顔を伏せるが、次の瞬間、爆風で吹き飛ばされる。
「本当なら、あれを貴方にぶつけたら、それでゲームセットだったよ?」
〝ハアハアハア……〝
息を荒くし、ただ立ち尽くすばかりのミリアム。
「で……も少し大きな火だと〜」
先程より少しだけ大きな炎を空高く投げた。
〝ドドドド!ドッカ〜〜〜〜〜〜ン‼︎!〝
凄まじい威力の爆発が起こり、又しても、爆風で観衆が、吹き飛ばされる。
「そんで〜更に大きな……」
「ちょ……待て待て待て〜」
リヴァルド王が叫ぶ。
「この辺一帯が、吹き飛ぶだろが〜!」
「いや……空高〜く飛ばせば……」
「無理無理無理!止めんか!」
「え〜 皆んなを、驚かせ様と思ったのに……」
「いやもう十分に驚いてるから…… 皆んな腰抜かしてるだろが……」
どこかで聞いた、この会話。デジャブか?
「さあ、それじゃあ、術は解いたから、今度はそっちが、俺に魔法打ってみて。
あと……周りの人達は危ないから、少し離れててくれる?」
そう言うと、観衆との間に防御壁を張るアルティス。
気を取り直したミリアムが、次から次へと、攻撃魔法をアルティスに放った。
「炎の精霊よ我が元に集え、灼熱の炎で、全てを焼き尽くせ! ファイヤーブレス!」
「風の精霊よ、嵐の風を起こせ、見えなき風の刃で、彼の者を切り刻め! ウインドスラッシュ!」
アルティスの身体に、無数の攻撃魔法が届く。
アルティスは、避ける事もせず、全ての魔法をその身で受け止める。
しかしその攻撃魔法はアルティスに傷一つ付けることも出来なかった。
アルティスは、全くの無傷だ。
「はい次〜!もっともっと撃って!」
そう言うと、今度は腕を前に出し、その手のひらで、ミリアムの魔法を吸収していく。
〝ズボッ……ズボッ……ズシャン……ズシャン……〝
そしてそのまま、一歩、又一歩と、静かにミリアムに近づく。
アルティスが目の前まで迫ると、〝ガクッ〝っと膝から崩れ落ちるミリアム。
「ま、参りました……全ての魔力を使い切りました……もはや立つ力も残っていません……」
それには何も答えずに、おもむろに手を、ミリアムの頭にかざすアルティス。
雷に打たれた様に、全身に光が走るミリアム。
「もう辞めてあげて〜!降参しているのに何故!」
「いや待て……違うぞ?あれは……」
「な!アルティス殿!魔力が一瞬で全回復しました……」
光る自分の全身を見て、目を輝かせるミリアム。既に心酔している者の目だ。
「いっきにやったから、魔力酔いで気持ち悪くならないと良いけど」
「気持ち悪いどころか、全身リフレッシュして最高に良い気分です!」
圧倒的な魔力の差を見せつけられる魔法騎士団の面々。
「団長……俺、震えが止まりません。何なんですか……あの人?
俺、あの人が神だと言われても、信じちゃいますよ?」
「ソフィアから聞いてはいたが……とんでもない方だな……聞いてた以上の規格外……
俺達、魔法騎士団全員で戦っても、一分もつかどうか……
いくら攻撃しても、あの方に傷一つ付けられない気がするよ……」
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