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32 悪魔の神だと?

神の力を宿し生まれ、5歳の時、創造神により神界に保護され育てられる。神界で磨かれたその力は、既に神の域すらも超えているのではと、12柱の神々は囁く。

「アル!早かったわね?で、どうだった?魔王達の会議」

「うん。話すから皆んなに集まってもらって」


「……そうか、話は大体分かった。

 それにしても……悪魔神……悪魔の神だと?

 またとんでもなく厄介そうなのが、出てきたもんだな?

 そんなのが、裏で糸を引いていたとはな……

 悪魔神とは、どう言う存在なのだアル?わしは初めて聞く名だぞ?

 ……神話とかでも、読んだ覚えが無い」

「俺も分からないよ?今まで聞いた事もなかった。創造神のじいちゃんも、首を(かしげ)げてたよ?」

「創造神様にも分からないとは……

 それが、どれ程の脅威になるのやら想像すらつかんな?

 神をコピーする事が出来るとか……そんなもん、対策のしようも無いぞ。

 それに〝今は未だその時では無い〝と言うのも気がかりだ」

「そうだね?とにかく、俺も色々調べてみるよ。

 時間の余裕は、ありそうだから、今はまだ、あんまり心配しないで」

(まさかな……憶測で迂闊な事は言えないな……)

 アルティスは、これ以上の混乱を避ける為、

 悪魔神が、自分の事をよく知ってそうな事は、伏せておいた。


「……しかしアルよ、お前、魔族との戦いで、

 奴らを1人も殺していなかったんだな?」

「うん、不味かった?生かしといたらダメ?

 ほとんどの奴は、自分の意思で戦いに参加したんじゃないと思うんだ。

 そんな奴らを、有無を言わさず殺すのは嫌だったんだ」

「いや、良いのだ。何時ものお前を見ていると、

 敵とは言え、大量に殺して平気でいるのが不思議だった。

 違和感が大きくて、お前らしくない……そう思っておった」

「そうよね?いつも、言ってるもんね?

 〝魔族も人族も変わらないよ?分かり合えば、良い友になれるのに……〝って。

 そんなアルが、魔族を簡単に殺せるはずないものね」

 フィオナもリヴァルドに同意する。

「これで良かった?」

「良いに決まってるじゃない。さすが私の可愛い息子。そんな貴方が大好きよアル君」

 すっかり美しさを取り戻したエリザベスに、優しく抱き寄せられる。

挿絵(By みてみん)

「ありがと、エリザベス母さん。俺も大好き」

「うむ。わしも更に、お前の事が好きになったぞ」

「リヴァルド父さん……」

「息子よ……」

 手を握り合う2人。

「……キモいから止めてくれる?」

 フィオナ達、皆んなの生暖かい視線が冷たい……暖かいのに冷たい?

「「…………」」



「しかし、たった1日で訓練できるのか?」

「大丈夫っしょ?学園の生徒達だって、数時間レクチャーしただけだし。

 その生徒達に惨敗しちゃったんでしょ?

 騎士団、魔法騎士団どっちもマナの量、コントロール共、生徒達よりもずっと上だよ?

 コツさえ教えれば、直ぐ強くなるよ。1日あれば十分でしょ」

「まあ、我が息子の言う事を、疑うわけではないがな……」

「大丈夫。あの人達見ればすぐ分かる。今まで必死に訓練してたのは間違いないよ。

 ただちょっと、変な方向に努力してただけだと思うよ」

「そうか……分かった。それでは頼むぞアルティス」


 先日、王城の大きな会議室に呼び出されたアルティスは、

 マナを、あまり上手く使いこなせていない、騎士団幹部や魔法騎士団幹部に、

 マナの本来の使い方を説明するも、屋内では出来る事が限られていた。

 その為、後日、改めてレクチャーする事を約束していた。


「で、そのたいそう貴重そうな書物は何なのだ?」

「魔法書、剣術書、体術書、とかだよ」

「新しい物の様だが、何故そんな物をお前が?」

「この前、

 〝大昔に、神から授かったと言われている、この本を見て研究しているんです〝

 って見せて貰った指導書ね、伝言ゲームしたんかい?って位、変なのになってたんだ」

「どれ位昔の物か分からんが、あれは、原本の写しの写しの更に写し……とかだろ?

 写し間違いだの、写した者の主観が入ったりだの、

 原本とはだいぶ違う物になっていても不思議じゃないな?」

「でしょ?神界に持ってったら、〝は〜あ〜?何じゃこれ?〝ってなって、

 新しいの、用意してくれたんだよ」

「何と、神々が我らの為に用意して下さったと?」

「そうそう。だから今日の最後に、皆んなに渡そうと思ってさ」

「ちょっと待て。それ、正確に写本させるから、渡すのはその後にしてくれ!

 原本は国庫の禁書庫に保管だろ?」

「良いけど、それ程?」

「当たり前だろ?こんな貴重な物。それに又、おかしな物にならない様に、管理せんとだろ?」



「キース副団長。本当にあの少年が、俺らに指導出来る程の、剣技のスキルを持ってるんすか?

「ん?剣技と言われると、正直、俺にも分からん。

 魔族との戦いでは、目にも止まらん程のスピードで空を飛び交い、

 通り過ぎたその後には、魔族が切り裂かれて消えていく……

 そんな光景しか見ていないからな。

 しかし、彼の指導で学園の生徒達が、驚く程進歩していたのは(まぎ)れもない事実だ」

「空を飛んでいたんでしょ?魔族を切り裂いたのも、魔法なんじゃないっすか?

 魔力が凄いのは分かりますけど、剣技の指導とかどうなんすかね?」


「スパイク団長。あの人の魔法ってそんなに凄いんですか?

 魔族数万を倒したって聞きますけど、誰も見てないんですよね?」

「何言ってんだ、お前?ソフィアが目の前で全部見てるぞ?

 それにあの秘めた魔力量……お前には分からないのか?

 俺など足元にも及ばない。底がまるで見えないんだよ」

「ハルステイン王国一と言われる団長が?」



「如何致します?陛下」

「まあ、未だ少年と言っても良いアルティスだからな。

 素直にその力を認める事が出来ん者もおるとは思ったが……

 もっともアルティスは、意に介さず。気にもしていない様だがな」

「疑心暗鬼のまま進めると、上手くないですな?」

数ある作品の中から見つけ出し、お読みいただき、ありがとうございます。

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