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28 何、魔王で遊んでるのよ

神の力を宿し生まれ、5歳の時、創造神により神界に保護され育てられる。神界で磨かれたその力は、既に神の域すらも超えているのではと、12柱の神々は囁く。

「シャトレの魔王が、何かに支配されたとか?なんかきな臭くなってきたな?

 今なら、正直に話すから、何でも聞いて良いよ。な、バートランド魔王?」

「くっ……話したくなくとも、勝手に言葉が出てしまう……」

「違〜う! 言葉が出てしまうにゃん、だろ?」

「……出てしまうにゃん……」

「プ〜プププ〜 こいつもう俺の仲間♡」

「アル、何、魔王で遊んでるのよ」

「こいつもう、俺の言いなり。

 いや〜今まで試したくても試せなかったからさ〜この術だけは。

 ハハハ……でも、こいつ、多分そんな悪い奴じゃないよ。

 だから魔族だからって、酷い事はしちゃダメだよ」

「悪い奴じゃないって、魔王なんでしょ?大丈夫なの?」

「何で?魔族も人族も何も変わんないよ。愛する家族が居て、信頼出来る友が居て……

 見た目が、ほんのちょっと違うだけだよ」

「貴方、前もそんなこと言ってたわよね?

 だけどどうしても、魔族って言うだけで、良いイメージないのよね?

 だいたい……最初に戦った、魔族のリーダーとか、残忍で、ほんとやな奴だったわよ?」

「そんな奴もいるさ。人族にだって、俺の叔父一家みたいな、

 残忍で、やな奴だって居るじゃん?」

「まあ、そうかもだけど……まあ貴方が、言うんだから、そうなのかな?」



「うむ……魔族領最大の国の魔王が、急に変わってしまったと?

 大昔に居られた大賢者様の、結界が有ったとは言え、

 数千年も人族と魔族の間で、大きな争い事は無かったのに、

 近年、突如として、色々面倒事が起きたのも、そう考えれば辻褄(つじつま)が合うの。

 何者かが裏におるのだろうか? アルはどう思う?」

「う〜ん。ユッフィーを襲った奴……それを操っていた者と同じかもね」

「あのバカ魔王、我等には神が付いているから、全て上手くいく……とか言ってたな」

「神?そんなことする神、心当たり無いぞ」

「心当たりって、神に心当たりある奴なんて、どこにもいないだろ」

「あのね?魔王さん。アルは創造神様と12神様方が、家族同様なのよ」

「な……お前……じゃなくて貴方様は、神なので?」

「な訳ないじゃない。見ての通り、唯の猫よ」

「唯の猫じゃないぞ。キュートなキュートなネコにゃ♡

 ところで、なあバートランド。

 俺を、そのバカ魔王に会わせてくれないか?」

「いやいや、勘弁してくれ。俺は良いが、我が国や国民を、危険に(さら)す訳にはいかない……

 俺にしても、今の状況を、何とかしたいのは、やまやまなんだがな……」

「いやそこは、俺が必ず守ると約束するよ。俺を信じてくれ」

「ねえ魔王さん、このままじゃ、いずれ貴方の大切な国民を、大きな争い事に巻き込むんじゃなくて?

 こんな猫なんだけど、アルティスは、信じるに足る猫よ」

「……さっきから、今回の事を説明しに来いと、バカ魔王から煩く、念話が入って来ているんだ。

 そうだお前、俺の従者に化けられるか? ん?イヤイヤイヤそれは猫だろ?

 あ〜そんな感じ……そんな感じ!」

 アルティスの頭から角……と思いきや猫耳……と、さらにそれを伸ばして……うん、角だね?上手い上手い。


「なかなか良いんじゃないか?それじゃあ一緒に行くか?バカ魔王の所へ」

「ああ。でもその前に……お前、前をはだけて胸を出してみろ」

「お、お前、男色なのか?男の胸が好きなのか?」

「うん〜ん……筋肉隆々で、ス・テ・キ……って、

 な訳あるかい!俺の好きなのは、フィナの胸だけだ!だが言っとく、まだ見せてもらって無い」

 〝パコ〜ン〝

 顔を真っ赤にした、フィオナに後頭部を殴られた。


「いや……冗談冗談…… なあバートランド。お前、神聖力……エーテルを宿しているだろ?」

「そんなわけあるか。俺は魔族だぞ?」

「魔族も、創造神が造ったものだぞ?エーテルを宿している奴がいても、何の不思議もない」

「いや無い無い無い……俺はガキの頃、まともに魔法も使えなかった。

 ましてや神聖力なんて……

 昔な、 ある時、神の使いとか言う、爺さんがやって来て、

 俺に施術を掛けてくれて、それ以来、どうにか人並みに、魔法を使える様になったんだ。

 そんな俺だぞ?まさかな……」

「それだよそれ。お前の体の中に、何か気持ちの悪い異物が入っている。

 最初お前に近付いた時、急に俺の神聖力である、エーテルの動きが、乱れたんだよ。

 何かの魔道具かと疑ったんだが、違ったな。お前の身体に入っている、それだよ」

「俺の身体の中に?そんな事が、分かるのか?」

「ああ、それで、お前が、ガキの頃上手く魔法が使えなかったのは、

 エーテルの理解が、出来ていなかったからだよ。

 エーテルが、魔力であるマナを作り出す。普通の人は浮遊しているマナを溜め、魔法を使う。

 作り出すマナと、集めて溜め込むマナが混乱して、上手くいかなかったじゃ無いかな?

 お前が神聖力を宿すと、都合の悪い奴が、それをお前に埋め込んだ。多分そんな事だと思う」

「まさか……」

「その気持ち悪い物を、とってしまえば、お前の魔力量はとんでもなく跳ね上がるはず。

 俺が取ってやるよ」

「胸をはだけろとか言ってたが、取るってどうやるんだ……ま、まさか」

「そう、そのまさか。手を突っ込んで取り出す。俺は身体を透過出来るから、痛くも痒くも無いぞ」

「いやしかし、敵である俺を、強くするとか信じられん……」

「お前は敵じゃ無いって。仲間だって言っただろ?信じろ」

「いや、そうだったな……俺に拒否……てのは無理そうだし……分かったやってくれ」

数ある作品の中から見つけ出し、お読みいただき、ありがとうございます。

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