表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

26/97

26 て、違〜〜う!!!口に〜!

神の力を宿し生まれ、5歳の時、創造神により神界に保護され育てられる。神界で磨かれたその力は、既に神の域すらも超えているのではと、12柱の神々は囁く。

 石畳(いしだたみ)の続く丘陵(きゅうりょう)に、古くはあるが美しく壮麗(そうれい)石造(いしづくり)の王城が見える。

(あれがストゥールの王城?

 何故だ?中の様子を感じる事が出来ない……行ってみるしか無いな……)


 気配を消し、バルコニー側まで飛ぶと、中の様子が見えてきた。

(フィオナは?……ああ……居た。中央ホールの床に座り込んでいる。それを何人かが取り囲んでいる。

 とにかく一応は無事な様だ。怪我とか、させられてないと良いけど……

 このまま気配を消し、近づいてみよう)

 そう思い、中に入った途端、浮遊が出来なくなり床に転げ落ちた。


「いててて……」

「誰だ貴様は!」

 あっという間に見つかり囲まれた。

「ぼ、僕はアルティスニャン♡」

 慌てて、ちょっと端折った。

「ふざけてるのか貴様!どうやってここに来た?」

 足でボリボリ頭を掻いて、誤魔化すアルティス。


「あ、アル?」

「し〜〜〜し〜〜〜 バレちゃうじゃん」

 いやいや、そんなんで、誤魔化される奴いね〜し。

「貴様、この姫の知り合いか?」

 〝ボリボリボリボリボリボリ……〝

「ふ、ふざけてるのか? おい!お前達、このガキが喋りたくなる様にしてやれ!」

 囲まれて、されるがままボコボコにされても、無抵抗のアルティス。

 しばらくすると、動かなくなった。気を失っている様だ。

「もう良い。一旦姫と一緒に、地下に連れて行け」


 地下のホールの出入り口を、鉄格子で通れない様にして、即席の広い牢が作られていた。

 その床に、乱暴に投げられるアルティス。

 駆け寄るフィオナだが、アルティスは動かない。やはり、気を失っている様だ。


「フィオナ!」

「あ、エレノア?無事だったのね。どうなってるの?この城は」

 王族を始め数百人が、地下に(とら)われている様だ。


「ううっ……」

「あ、アル……気が付いた?大丈夫?」

「うっ……痛い……か、身体が……動かせない……」

「何処を怪我してるの?私のヒールで……」

「ふ、普通のヒールでは……だめだ……ちょ……直接ヒールを……キ……キス……

 フィナの回復魔法を込めたキスで、助かるって、じいちゃんが言っている」

「そ、創造神様が……で、でも……ここで?皆んな見てるのに……」

「ううっ……」

「あ、アル!」

 フィオナが慌ててホッペにチュッ♡とする。

「て、違〜〜う!!!口に〜!」

 目を釣り上げて、突然立ち上がるアルティス。

「……全然元気じゃない……」

「あっ…… 」

「あっ……じゃないわよ」

「あのね……地下に大勢の気配感じたから、やられたふりしてたの……

 そしたら、俺も、ここに連れてこられるんじゃ無いかなって思って……

 ほら、下手に暴れたら、皆んなに危険が及ぶかもでしょ?テヘペロッ」

「テヘペロ?どんだけ心配したと思ってるのよ?」 

「どもすいません」

「でも貴方、何で突然落ちてきたの?」

「急にエーテルの動きが乱れて、神聖力が効かなくなつて落ちた。びっくりしたよ」

「ここ神聖力を使えないの?」

「あのさ、偉そうに支持をしてたリーダー的な奴いたでしょ?

 で、その向こうで、不機嫌そうに座って居た奴、分かる?

 あいつが、何かの魔道具で、神聖力の動きを阻害してた」

「神聖力使えなくなってるなら、これからどうするの?」

「不意を突かれたから落ちたけど、原因が分かれば、なんて事ないよ」

「神聖力使えないのに、なんて事ない?どうして?

 それにしても、何で魔力じゃなく、神聖力を阻害したんだろ?

 貴方の事、知っていて?って事かしら?」

「いや、何にも分かってないんじゃ無いかな?そんな感じだったろ?」

「で、なんて事ないって……そう貴方が言うのは?」

「だから、不意を突かれたってだけ。

 あの程度の魔道具じゃ、俺の全力の神聖力を止めるのは無理」

「で、どうするの?」

「大勢捕まっているこの状況だと戦えないから、一旦皆んなを逃すよ。

 だからここに全員集めてくれる?」


 エレノア姫の協力のもと、皆んなを1箇所に集めると、両ほうの手のひらを、前に出し、

 全員の足元の中心に、魔法陣を浮かび上がらせる。

 それが広がり全員を囲み光出す。光るエーテルの粒が、囲みながら渦をなす。


 眩しい程の光が消え、皆んなの視界が戻ると、花の咲き誇る美しい庭園が、目に入って来た。

 何が起きたのか理解できず、途方に暮れる、ストゥール王国の人々。

 フィオナの説明で、そこがハルステイン王国、その王城の庭園だと分かると、

 安堵して、そこに、へたり込んでしまった。


「フィナ、具合の悪い人が居ないか、見てあげて。回復は任せて良いね?」

「アルはどうするの?」

「ストゥールの王城を取り返してくる。人質はもう居ないから、

 やりたい放題、俺を殴る蹴るした奴ら10倍返しだ〜」

「ダメよ?やり過ぎないで。何者なのかとか、目的とか、色々聞き出さなきゃいけないからね?」

「ん?奴ら魔族だよ?それも魔王クラスが3人も居た」

「う、嘘でしょ〜?」

「マジ。あいつらに色々動かれる前に、サクッと片付けてくる」

 そう言うと、アルティスはスッと消えた。


「なあフィオナ姫。何が何だか、理解が追いつかないのだが、彼は一体?」

「ノルマン王よ、あれが其方(そなた)が、会いたいと言っておった、

 フィオナの婚約者、アルティスだよ。間も無く、我が息子になる少年だよ」

「おお、これはリヴァルド王。命は無いものだと覚悟を決めていたのですが、

 何ともあっさりと助けられた様です。

 噂通り……いや、噂を遥かに超越した少年ですな。

 彼が、間も無くご子息となられるとは、何とも頼もしい……羨ましい限りです」

数ある作品の中から見つけ出し、お読みいただき、ありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ