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23 第3の奥義天空の雷……何それ?

神の力を宿し生まれ、5歳の時、創造神により神界に保護され育てられる。神界で磨かれたその力は、既に神の域すらも超えているのではと、12柱の神々は囁く。

「な……いつの間に? 貴様!卑怯だぞ!」

「えっと?今の戦いの……何処に卑怯が有った?」

「片方が詠唱を始めたら、お互い同時に最後の1手を打つところだろ!それをいきなり背後から……」

「それ、魔族とかじゃ無くても、野盗とかにも通用しないだろ?」

「手合わせだろが!ルールを守れよ!」

 しゃがみ込みながら、頭を勢いよくさする騎士科首席のカーマイル。

 思った以上に痛かった様で、戦う事をすっかり忘れている。

「そんなルール有るなら最初から言えよ…… 大体そんな詠唱しないと、気が溜められない?」

「………………」

「お前ちょっと、詠唱でも何でもして良いからさ、気を溜めて、この的を打ってみてくれないか?」

「お前に見せなきゃいけない理由は無いだろう……

 と言いたいところだが、まあ良い……驚くが良い。

 第3の奥義!天空の雷!…………………………ウォリャー!」

 〝ガッシャ〜ン!〝

 電気を纏った剣が、頑丈な人型の的を、バラバラに砕く。中々の破壊力だ。


「お前、修行をしっかりしてるのは分かるよ?でも……気?マナと同じ物だが……

 それを練って、纏ってるって、言うけど、さっきの俺との立ち合いの様に、

 実戦で動きを止めてる時間は無いぞ?

 いったい何の為に訓練してるんだ?手合わせで、勝つためか?」

「………………」

「大切な人を守る為なんじゃないのか?」

「……まあお前の言う様に、実践で役に立たなきゃ、意味が無いってのは分かるよ……」

「だろ?お前、いつもは、どんな訓練してるんだ?」

「訓練か?先ずは、そうだな?欠かさないのは素振りだろ?

 そして、今みたいな立ち会いでの実践訓練だ」

「ちっと、いつもの素振りしてみてくれるか?」

「チッ、またかよ………… オリャア!」

「見事……良い太刀筋だよ?良く訓練されてる。

 筋力を高める為、と言うならば有りだが、そうでなければ、

 これ以上、もう素振りの訓練は要らないんじゃないか?

 同じ位置から、同じ軌道で、同じ所に打ち込む……

 でもな?相手は…………大きさも違えば、構えも立ち位置も違う、そして相手の人数も違うだろ?

 それに対応するには、実践実践実践。それが全てだよ。

 気を練って、纏ってるって言うけど、一瞬で気を練って、纏える様な訓練にしなよ。

 口を使わず、少しずつ少しずつで良いから、時間を短縮していく様な、気の練り方を訓練することが、大事だと思うよ?」

「そりゃ、言うのは簡単だろうが……」

「ちょっと、その剣かしてみ」

 剣を受け取るやなや〝ハッッ!〝剣を振り下ろすアルティス。

 振り下ろされた剣の先の地面には、数十メートルの亀裂が走っていた。

「……………………」

 目を丸くする騎士科の生徒達。


「お前達にも出来るよ? 騎士科でも、またやりますか?

 先ずは、お前たちの言う所の気?……か?魔法科の皆んなと同じように、目で見えるようにして……」

 アルティスの講義が、ここでも始まった。


 目で見えるようになったマナを、だんだんにコントロール出来る様になる、騎士科の生徒達。

 すると、見る見る剣筋が、鋭くなっていく。

 最後には、詠唱しながら気を纏って……とか言っていた頃よりも、無詠唱でも、鋭い剣捌きが出来る様になった。


「私は、今までで、何を教えていたんだろう……

 こんな短時間で、この子たちを、ここまで変えるなんて……」

「ん? 剣神の先生? 貴方もやってみてよ」

 そう言うと先生の肩にそっと触れる。マナの光で、眩く輝き出す剣神と呼ばれるその先生。

「それを、ここに集めて、ゆっくり、こっちに動かして、ここに貯めて、一気に打ってみて……ハイッ!!!」

 ドシャーン!10m程の亀裂を地面に開けた。1番届いているのはそれをやった剣神の先生だ。

「剣神の先生のマナの量はすごいね。コントロールも完璧。

 長年真面目に訓練してきた事がよく分かる。それは無駄じゃなかったって事だね」

「アルティス殿……」

 何だか、とても感動している剣神の先生。


「ねえねえ……何の奥義だっけ?」

 首席の少年、首席のカーマイルに、コソコソ話し掛けるアルティス。

「ん? 第3の奥義、天空の雷だけど?」

「他には他には?第1の奥義は?」

「えっ?何で?」

「良いから良いから〜 早く教えてよ〜 今度やってみたいんだよ〜

 動きを止めずに、あの台詞言いながら攻撃したら良くない? あれ凄くかっこ良い〜じゃん!」

「プッ…… お前…………」

 思わず吹き出す首席カーマイルだった。


 後日の事、王城の大きな会議室に呼ばれたアルティスは驚いた。

 そこに居たのは、リヴァルド王を始め、王国の大臣、騎士団幹部、魔法騎士団幹部。

 総勢100人は集まっている。

 中心にはリヴァルド王。何が始まるんだ?これ……


「アルティス。お前先日、王立学園に行って、生徒逹に一体何をしたのだ?」

「……ん? 何それ?人聞きの悪い……だだの見学だけど?」

(何だこの面子?え〜と?何もしてないよね〜?俺?)

「フィオナから、聞いておらなんだか?」

「??????」

「先週末、学園と騎士団の合同演習会が有ったのだ。

 学生達に騎士団、魔法騎士団の厳しさを教える為の模擬戦。

 親睦も深める為の恒例の行事、それが合同演習会だ。

 なのにだ……生徒達の圧勝だったと……面目丸潰れ……な訳だよ。

 お前が色々やってくれたそうじゃないか?」

「え?マジ? 前に見た時、騎士団、魔法騎士団どっちもマナの量、コントロール共、

 生徒達よりもずっと上に見えたけど?」

「そりゃそうだろ。それが専門で、訓練も怠らず精進している事は皆んな知っておる。

 それが惨敗だったんだよ。

 子供達は驚くどころか、それが当然だって顔をしていたそうだ。

 アルティスお前、心当たりが有るだろ?」

「まさかだけど……騎士団達とか、実戦で使い物にならないマナの使い方とかしてたりして?」

 かくして、ここでもアルティスの講義が始まるのだった。

数ある作品の中から見つけ出し、お読みいただき、ありがとうございます。

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