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異世界勇者は常識知らず〜魔王を討伐した勇者が、地球で魔王とダンジョン配信始めました  作者: 冬狐あかつき


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72話 勧誘

 

 ダンジョンアンチのことはひとまず置いておいて、俺の方はひらがなとカタカナを覚えることになった。


 話し言葉自体は理解出来るため、後はそれを代入するだけ。

 少し奇妙な感覚だが、慣れていくしかない。

 そして漢字と呼ばれる難関な文字は後回しにすることに。


「レオさん、これ用意したから外出する時はこれつけて外に出てね。そうすれば絡まれる数も減ると思うから」


 勉強もひと段落した頃に、紬がアイテムボックスから変装道具を取り出していく。


 魔力を込めると、しばらく頭に張り付いてくれる黒髪のカツラ。

 度が入っておらず、つけている意味が分からない枠の大きいメガネ。

 口元を覆うための黒いマスク。


 特に黒髪のカツラは俺にとって革命だった。

 勇者を判別する魔法陣が敷かれていない片田舎では、これがあれば普通に買い物できただろうな……。


「今度それで買い物に行きましょうか? 何か新しい発見があるかもしれないしね」


 ここのギルドの食事は安くて美味いが、一日の購入制限があった。

 毎日の食事には困らないが、大量の料理を持ち帰って保存しておく、なんてことは出来ないから、必然的に満腹にしようとするなら外に買いに行かなくてはいけない。

 相場がわからない俺にとって理沙の言葉は、提案は渡りに船の提案だった。




 紬が持ってきてくれた料理を食べていると、部屋の扉がノックされた。

 誰だ? 鏡花はまだまだ忙しいはずだが。

 扉を開くと受付の制服を着た男女が大きな紙袋を二つ持って立っていた。


 比較的小さめな紙袋を持った女性が口を開く。


「理紗さんはいらっしゃいますか?」


「──その声は如月さん?」


 受付の声を聞いて、ソファーに座っていた理紗がこちらに向かって歩いてくる。

 そして受付が持っている紙袋を見て眉をしかめた。


「……まさか、それ」


「うん。ご想像の通りのものだよ」


「分かりました。受け取ります。レオには私が説明しますから大丈夫です」


「大変だと思うけど頑張ってね」


「そう思うならこんなに持ってこないでくださいよ……」


「それは駄目だよ。届けるまでが義務だから」


 受付の女性の言葉に理紗は大きく肩を落とした。


 二人が持っていた紙袋を受け取り、中に運びいれる。


 紬も同様に俺が持つ紙袋を見て、唖然とした表情を浮かべていた。


「そんな数見たことないよ。やっぱりレオさんは人気者だね」


「これは何が書かれてある紙なんだ?」


「白い大きい方の紙袋は、レオへのチームの勧誘やコラボ配信依頼が書かれてある紙ね」


 俺たちのパーティは三人で、これは世間的に見れば空きがある、という認識になるらしい。

 だからギルドも安全対策のために、こういった勧誘行為をギルド主体で行っている。

 あくまで決めるのは俺たちで、最悪見ずに破り捨ててもいいものだと教えてくれたが、問題は赤い紙袋。


「こっちの紙袋はスポンサー希望……あなたに分かるように言ったら、武器屋や道具屋が自分のところの商品を使って宣伝してくれないかって依頼ね」


 理紗の言い分では、赤袋に書かれてある紙束の方は断るにしても、一度は目を通さなくてはいけないらしい。

 三人で手分けして確認していく。

 ご丁寧に全ての漢字に振り仮名をふってあり、俺にも読むことが出来たが……。


「武器の使用依頼が多いな」


「レオが使っている武器ってだけで箔付け出来るんだからそりゃ依頼するわよ」


「武器はいらんな……」


「こんな依頼とかは詐欺に近いから、許可しないようにしてね」


 理紗が手渡してきた一枚の紙には武器の無償提供の文字が書かれてあった。

 俺には必要ないが、タダでもらえるのなら特に不都合はないと思うが。


「本当だ。これは悪質だね。武器の技術提供が、レオさん側からも当てはまる条件になってる……」


 理紗が調べた限りだと、その企業は俺がまともに扱える武器など作ることはできないらしい。

 それなのに依頼を送ってきたのは俺の持つ聖剣や、ドロップアイテムであるガントレットの情報を、大企業に横流しするためなのだろうという話だ。


 

 一通り確認し終わると亜空間に放り込む。

 もう必要ないとは思うが、これだけ上質な紙ならば火を起こすための素材として有効に使えそうだ。



 そして翌日、俺たちは再びダンジョンにやってきていた。




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