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異世界勇者は常識知らず〜魔王を討伐した勇者が、地球で魔王とダンジョン配信始めました  作者: 冬狐あかつき


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56話 勉強会

 

 翌日、理紗と紬は昼前に揃ってやって来た。

 両者とも手ぶらで必要なものは紬のアイテムボックスにしまっているみたいだ。

 鏡花は忙しいらしく今日はいない。


「理紗はアイテムボックスは持っていないのか?」


「私? 持ってないよ。魔法使いはアイテムボックスを授かりにくいの」


「授かる?」


「この世界の魔法はダンジョンでモンスターを倒した時に初めて手に入るのよ。勿論全ての人間が使えるようになるわけでもないし、素質は人それぞれだけどね」


 この国では大体十歳くらいの頃までにモンスターの討伐を終わらせるらしい。

 命の危険がないような階層で、プロの探索者を用意しての万全な体制をとって行われることだが、その結果次第ではその子の将来に関わることになるために、国民の義務として定着している。


 運送業に携わる人たちにはアイテムボックス持ちは喉から手が出るほど必要とされているし、紬のような回復魔法が使える人はどこに行っても重宝される。


 それを聞いて少しショックを受けた。


「俺には魔法は授からなかったんだな……」


「レオさん? 本気で言ってる?」


「だってそうだろう? 俺はダンジョンでモンスターを倒した。なのに何の力も手に入れていない」


「レオさんアイテムボックス持ってるし、風の魔法使えてるよね?」


 紬が呆れたように聞いてくるが……そうか、説明してなかったな。


「その力は俺の力じゃないぞ。聖剣が元々持っている力だ」


 それを聞いた紬が顎が外れそうになるくらい大口を開けて驚いている。

 後ろで話を聞いていた理紗も知らないようだった。


「……レオさん。それは本当?」


「本当だぞ。聖剣がなかったら、俺は身体能力が高いだけの普通の戦士だ」


 新しく手に入ったガントレットがあるし、それなりの戦いは出来るとは思うが……。


「紬、他言無用でお願い」


「言えるわけないよこんな情報。レオさんもこの話は仲のいい人でも言っちゃ駄目だよ!」


 理紗は知っているものかと思っていたが、知らなかったのか……。

 そして紬主体による勉強会が開かれるが、覚える文字が多すぎる。


「本当にこの漢字って奴は覚えないといけないのか?」


「少し厳しすぎない紬。とりあえずはひらがなを覚えるまでにしましょうよ」


 こんなに一度に勉強をさせらた経験がなかったため、こちらも限界だった。

 途中から漢字の山がただの模様にしか見えなくなってしまい、頭に入ってこない。



「……それもそっか。ごめんねレオさん。急に詰め込んじゃって」


「詰め込むもなにも全然頭の中に入っていかなかったから大丈夫だ」


「……それは大丈夫じゃないわよ」


 理紗が俺の言葉に頭を抱えているが、俺にはどうすることもできない。

 そして休憩時間に入ると……。


「紬! 早く出して!」


「……分かったよ。わざわざこんなに持ってくる必要あった?」


「レオに新しい趣味が出来たらなって話してたのは紬も一緒でしょ? これはレオの新たな第一歩になるのよ」


「自分がゲームやりたいだけじゃない……」


 紬が取り出した用途不明の物体を理紗がテレビの前に並べていく。

 そして紐のようなものをテレビに装着すると……。


「出来たわよ。これがこの世界で一番の娯楽。レオもやってみなさい」


「それはりっちゃんの中での話でしょ? 変な嘘は教えないで」


 どうやらこれは遊び道具の一つらしい。

 息抜きという割にはかなり綿密に理紗から操作方法が伝えられる。


 初めは簡単なものをという紬の助言で、当初やる予定ではなかったものをやることになった。


 ソファーに座り二人に見守られる中、やってみたのだが……。

 ゲームのルールは、障害物や敵がいる中、回避しながら右側に進んでいくといった、俺にもわかるようなもので、特に複雑な操作は必要としない。



 画面の右側から、小さなゴブリンのようなものが流れてくる。

 避けなければ負けてしまう。咄嗟の出来事で力が入り……。


「……すまん」


「いいって。レオさんゲーム初めてでしょ? 私も車のゲームしたら体が傾いちゃうから一緒だよ」


 紬が無惨にもへし折れたスティックを見て、苦笑いしながら慰める。


「俺には向いてないのかもしれん。だから……」


「こんなところで終わらせたらダメよ。ゲームに悪いイメージが残っちゃうじゃない!」


 理紗のその言葉で予備のコントローラーが渡される。


 ……数十分後。理紗が切れた。


「何であなたのキャラの残機より、コントローラーの消耗が早いのかしら?」


「いや……やられると思ったら力が入って」


 ボタンを押しすぎて出てこなくなったもの、半ばから真っ二つにへし折れたもの、幾つもの残骸が生まれてしまった。

 壊してしまうからもうやりたくないと言っても、理紗が許してくれず、その度に被害が増えていくことに……。


「まあいいわ。次やる時はもっとやるゲーム考えてから持ってくる」


「別にゲームはやらなくてもいいんだぞ?」


「駄目よ! ゲームは人を変える力があるの!」


「りっちゃんのは悪影響だと思うけど……」







お読みいただきありがとうございます。


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