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異世界勇者は常識知らず〜魔王を討伐した勇者が、地球で魔王とダンジョン配信始めました  作者: 冬狐あかつき


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52話 予定

 

 あの後、紬が持ってきた料理を食べながら、話し合いで色々と情報を共有していく。

 ドロップアイテムは全て俺の亜空間の中で保管。

 必要な時に俺が貸し与えるようにすることとなった。

 赤い絨毯を俺が使う意味はないのだが、面倒ごとを避けるためにはそういうことも必要らしい。


 次に、ガントレットの使用を理紗に勧めるも、考える間もなく断られた。

 今世の理紗は武技の訓練はあまりしておらず、魔法戦闘一辺倒でやってきたようだ。


「近接戦闘の訓練をしなくて大丈夫か?」


「鏡花さんみたいに、前世の下地があるわけでもないのに、今から鍛えてもたいしてものにならないわよ」


 ……そうか。大きさは違えど、鏡花の前世である獣王は人型。

 巨大なドラゴンだった理紗は、鏡花ほど前世の感覚が当てにならないのか。



 そして紬は回復メインの魔法使い。

 翼による回避を得意としてきたがゆえに輪にかけて非力なようだ。


 そして最後に土人形の使い道なのだが……。


「まさか二体の兵士出すのに紬の魔力半分以上持っていかれるとはね。流石はレアドロップ」


「師匠。食べながら喋るのは行儀悪いよ」



 鏡花が大きなハンバーガーなるものにかぶりつきながら語る。

 結局土人形も俺が持っていることになった。


 彼女達はまだダンジョン探索の歴が浅く、魔力量がまだまだ未熟の域を出ていない、と鏡花が説明していた。

 二人の魔法自体は非凡な才を持っているから、このまま探索さえ続けていけば世界でも上位の力を手にするとも……。


 そんなこと言われたら気になるのが戦士の性。

 前世で戦ったのは正気を失っていた魔王。

 もし理紗が前世の強さまで成長したら?

 殺し合いにはならずとも、満足のいく戦いになるかもしれない。


 そうすればここにきた俺の願いも報われる。

 そんな思いを胸に次の探索予定を聞いたのだが……。


「予定? しばらく休みよ」


「ギルドの方で今回の件の会見を三日後に開くから、それまで外に出ないほうがいいよ」


 理紗には断られ、鏡花には大人しくしとけと忠告される。

 一緒に行動する二人の少女はまだ学校に通っている。

 探索以外にも優先すべきことがあるのだと思ったが……。


「りっちゃん、しばらく引き篭もるの?」


「あったり前じゃない! 見てこれ、禁断症状が出てきてる」


 理紗の手が何かを持つ仕草をみせると、それを見た紬が頭を抱えた。


「禁断症状って少しゲームから離れただけだよね? せっかく健康的な生活出来てたのに……」


「私はゲームが最大の回復薬なんだから、誰にも邪魔させないわ!」


「その間レオさんが一人になるんだよ?」


「うちがいるからレオのことは気にしないでいいよ」


 黄色の魔法の絨毯の上で横になっていた鏡花が腕を持ち上げてひらひらと振っている。

 その言葉に理紗が食いついた。


「鏡花さん! レオに何するつもりなんですか?」


「何するつもりって言いがかりだな……。うちはレオに手取り足取り──」


「……師匠。りっちゃんをからかうのはいいですから、本当のことを教えてください」


 紬が鏡花にジト目を向ける。


「……レオに字を教えるんだよ」


「字、ですか? 確かに今後必要になってきますけど……鏡花さんが?」


 理紗が驚きの声を上げる。

 この国の住人の識字率は高く、ほとんどの大人が読み書き程度なら軽くこなせるらしい。

 だから鏡花が教えることは何の不思議でもないが。

 紬が横になっている鏡花の手を掴み遠くに移動していった。

 それをそそくさと追いかける理紗。


「……師匠。その魂胆は?」


「魂胆ってうちの親切心で……」


「鏡花さんは勉強嫌いでしたよね? 部下に任せずに自分で教える理由は?」


「教本に官能小説? 馬鹿でしょ。師匠馬鹿でしょ!」


「そこまで言わなくても……」


 何やら三人で話し合いが行われている。

 そして三人がこちらに戻ってくると、開口一番に理紗が宣言する。


「レオ! 明日からしばらく私たち三人と一緒に文字の勉強するから。そういえばレオの部屋ってテレビあるよね?」


「りっちゃん、ゲームする気満々じゃん」


「あら? 息抜きは必要よ。私がレオの息抜き担当になるから。それにレオはいろんな遊びに挑戦した方がいいと思うのよ」


「それらしい理由つけて卑怯だぞ理紗! だったらうちの作戦も……」


「却下」


「師匠のはモラル違反だよ」


 何かよく分からないが、しばらく勉強しなければいけないらしい。


お読みいただきありがとうございます。


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