31話 特殊なゴーレムの倒し方
回復の供給をしている大岩とゴーレム。全て処理をしなくてはいけない。
考えに考え抜いた結果とった策がこれだった……。
ゴーレムの足を掴み大岩に叩きつけて破壊する。
ゴーレムは分身することなく一体だけしか生まれないようで、俺が持っているゴーレムから本体が移動することはない。
何より一度破壊されてゴーレムから剥げ落ちた部分は再生に使えないらしく積極的に壊していける。
破壊されていくゴーレムも必死で大岩を取り込んでいくが、大岩の数もみるみるうちに減っていっていく。
我ながらいい作戦を考えたものだ。
【子供が癇癪こねてるみてえ】
【言い得て妙だな】
【この発想はなかった。みんな真似していいよ】
【日本の上位探索者はみんなこのようなんですか?】
【まあ、そうね。前衛だったら大体これくらいできるかな?】
【海外勢に嘘教えんな】
最後の大岩を破壊し終えるとゴーレムの体は半分以下の体積まで小さくなっていた。
聖剣……は使わなくていいか。素手で戦うことを選択したせいで不満たまってそうだし。
自由になったゴーレムは周囲を見回す。
自分を癒してくれる大岩が全て壊れていることを確認するとこちらに向かって突進してきた。
【勇者聖剣出さねえのか】
【半身になって構えてる】
【何で手離したんだろ】
「すまんな。甚振るような真似をして。俺も色々制限がかかってるんだ」
体を脱力。ゴーレムとの距離があと半歩分まできたところで前に飛び出す。
小さくなってもなお巨大なゴーレムの拳に合わせてこちらも掌底を打ちつける。
衝撃でゴーレムの腕は大破。そして本体は矢のように空中を吹き飛んでいき、一瞬にして奥の壁に叩きつけられた。
激しい轟音、土煙と共にゴーレムは木っ端微塵に砕ける。
壁に向かって歩いていくが、足が重い。
不用意にダンジョンを破壊してはいけない、と言われていたルールを破ってしまったのかもしれない。
とぼとぼと俯きながら歩いていくと、視界の端に壁の残骸がちらほら見えてきた。
ゴーレムが衝突した壁は大きくへこんでいる。
これは許容範囲だと思いたいが……。
そこで足元に落ちていたドロップ品に気がついた。
一つは土色の魔石。そしてその横には……泥人形?
【レアドロップきたこれ】
【いくらで売れそう?】
【10億は堅いな】
【マジ? そんなするの?】
【効果は何?】
【これは自動で動く兵隊を作り出すことができます。後衛の魔術師の護衛として使われることが多いです】
【ありがとう海外ニキ】
魔石を亜空間にしまう。人形も手に取るが……。
「これは……いらんな」
『いる! レオさんそれ持って帰れるなら持ち帰って』
人形を下に落とすとダンジョンカメラから声が響いた。
視線を下に落として泥人形に目を向けるが、これが必要なのか?
おもちゃで遊ぶような趣味があったとは。
そこで一つ思い出した。
「そうか、二人はまだ未成年だもんな」
【勇者勘違いしてねえ?】
【面白いから訂正しないでおこう】
【勇者の脳内では二人は人形遊びするような子供って思われてんのかな?】
【それはなんのプレイでござるか? ぜひ拙者も混ぜていただきたく】
『レオ、それは魔道具で戦闘に使えるものなの。遊びに使うものじゃない』
【必死で訂正してらあ】
【いい趣味だと……思うよ?】
【三十分間のコメント不可されててワロタ】
【炎姫にもコメントバンの権限があったなんて】
魔道具か……。使ってみようかと体内の魔力を人形に流そうとしていた時、足元が再び発光を始める。
そして次に飛ばされた場所は……。
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