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異世界勇者は常識知らず〜魔王を討伐した勇者が、地球で魔王とダンジョン配信始めました  作者: 冬狐あかつき


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250話 サクサク攻略


 そこからはしばらくは、とんとん拍子に進んでいった。

 ヘヴィホークが出る階層では空を飛べる紬が無双し、その他の階層でも二人が協力しながら進んでいく。


 俺の方は洞穴の階層が来るまでに、さっきの訓練を何度か上空で試したのだが……暴発の回数を増やしただけだった。

 幸いにもある程度まで高度を上げれば、暴発しても理沙たちには迷惑がかからないことに気がついたので、練習する目処自体はついた。

 だが魔力圧縮を遥かに凌駕する難易度の高さ。

 成功する気配がないのであれば、諦めることも視野に入れなければならない。


 戦闘に慣れてきてからは移動を優先して、四十階層まで休みなく移動する。

 二人の魔力は温存して、手持ち無沙汰な俺が走りながら、おもちゃの剣を使ってモンスターと戦闘する。

 ドロップ武具でもないプラスチックでできたおもちゃは、魔力の通りが悪く、限界強度も低い。

 思ったよりも魔力操作の鍛錬になった。


【五時間走り続けて何で息一つ切れてねえんだよ】

【魔法の絨毯が悲しい目で見ている】

【何であんなふざけた武器でモンスター殺せるの?】

【僕の妄想は黒歴史じゃなかったんだ!】

【これは勇者が異常なだけ。安心していい。お前の妄想は黒歴史だ】

【現実を受け入れよう】



 四十階層にきても理沙たちは苦戦することなく攻略できていた。

 元々防御力の低いスケルトンは理沙の魔法で倒しやすい相手だ。

 そして、そこまでのスピードもないため、空中からの奇襲も防ぐ術はなかった。


 身体強化はまだまだだが、空中移動やハンマーを取り出すタイミングはセンスを感じるほど短期間で上達しており、同じクラスの前衛程度なら何人集まっても薙ぎ倒せるだろう。


「……ここの階層は旨みが少ないから、早く抜けたいわね」


「スケルトン階層はあんまりドロップが美味しくないからなー。レオさんが出会ったような、カースドモンスターも出現する可能性が高いしね」


 背伸びをしながら紬が肯定する。

 彼女が纏う防具は俺があげたローブを使っており、前衛用の装備ではない。

 なので今度ショップを利用する時は、ドヴェ……防具屋のところで、彼女用の革鎧でも作ってもらった方がいいと二人に伝えてみる。

 紬は別に今の防具で構わないと言っていたが、理沙は俺の意見に賛成してくれた。



 今回の探索で出現した宝石種は二体。

 モンスター討伐を後回しにしたから、あまり集められてはいない。

 必要量の宝石が集まる前に、防具がドロップする可能性もある。

 地上で買うのも一つの手だと聞いてみると。


「地上で買うのならサイズ変更の機能がついてるやつがいいんだけど、高いしほとんど流通してないのよね」


「サイズ変更は全てについてるわけじゃないのか?」


 ドロップアイテムを回収している土人形を眺めながら、理沙が愚痴をこぼす。

 紬にあげたあのハンマーも、持ち主の体格に応じて持ち手の太さが変化するようになっている。

 デスパレードで手に入れたガントレットも、似たような力を持っていたので、それがこの世界の標準的な性能だと勘違いしていた。


 

【どこのサイズが合わないんでしょうかね。僕にはわかりかねます】

【胸いっぱいに夢が広がりますな】

【スリーサイズ伝えたら、リスナーが持ってるかもよ。他意はない】

【他意しかねえだろ】


 紬がダンジョンカメラに向かって笑顔で中指を立てている。

 何か嫌なことでも書いてあったのかと聞くも、何でもないとだけ返ってきた。

 

「ダンジョンドロップ品なら、サイズ調整の効果は珍しいってわけでもないけどね。でも、前衛用の防具は消耗が激しいから、すぐに売れちゃうの」


「身体強化を使えない前衛が……そういえば魔法使いが前衛をしてたな」


 ここ最近で多少変わってきているみたいだが、地球では少し前までモンスターを倒すのは魔法使いの役割だった。

 身体強化を知らない魔法使いであれば、あまり効率よく防具を扱うことはできないだろう。


【一年前と比べるとだいぶ変わったよね】

【最近は魔法の使えない前衛も買ったりするから、全然足りない】

【屑魔石の値段も全然屑じゃない】

【屑なのは俺の方だった】


「じゃあ今日は四十三階層で休憩しましょう。安全地帯があることは確認してるしね」


「安全地帯はダンジョンを出ても変わらないのか?」


「新規で潜る人が変わらない限り変わらないよ。見つけたのはレオさん一人だけど、僕たちもその前から一緒だったからね。今日はゆっくりと休んで明日に備えよう」


 回収が終わった土人形を魔法の絨毯に乗せると、探索を再開する。


 四十三階に降りた時、異変に気がついた。


「レオ、どうしたの?」


「……何でもないし、俺のせいでもない」

 

 遠方を見ながら頬を引き攣らせる俺を見て、理沙が問いかける。

 俺の言葉を受けた理沙は、紬に遠見の魔道具を出してもらうと、前方を確認する。

 遠見の魔道具から顔を離した後、なんとも言えないような表情を浮かべてこちらを見ると。


「……レオ、お友達よ」


「カースドモンスターは俺の友達じゃない」


 いわれのない言いがかりはやめてもらいたい。


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